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2019/03/15

全英No.1新世代ピアノ・マン=トム・オデール、3年ぶり来日公演のレポートが到着

 トム・オデールが、3年ぶりとなる来日公演を3月14日東京・渋谷ストリームホールにて開催した。

 デビュー前にして “イギリスのグラミー賞”と称される<ブリット・アワード>の「批評家賞」を受賞、1stアルバム『ロング・ウェイ・ダウン』で全英No.1デビューを果たし、これまでの累計アルバム・セールスは180万枚を超えるという、人気と実力を兼ね備えた英国が誇る新世代ピアノ・マン、トム・オデール。その端整な顔立ちも相まって日本でも大きな注目を浴び、2013年、そして2016年にフジロック・フェスティバルで来日を果たしたものの、以来しばらく日本から遠ざかっていた彼が、この度3年ぶり、そして初となるピアノ弾き語りによる単独公演の為に来日した。最新アルバム『ジュビリー・ロード』からの楽曲を中心に、至高のメロディー、踊るピアノ、エモーショナルな歌声で彼の来日を待ちわびていた熱狂的なファンを魅了した。

 トム・オデールは2年半ぶりの来日公演のオープニング曲に、『コンステレイションズ』を選んだ。それは決して偶然ではなかったと思う。なぜならこの曲には“ピアノ・マンがお決まりのメロディを弾いている”と、まさに本公演でのトムの姿を描写するフレーズが登場するのだから。

 そう、3月14日に東京・渋谷ストリームホールで彼が敢行したのは、過去にフジ・ロック・フェスティバルで見せたバンド編成のライヴとは一線を画す、ソロのピアノ弾き語りによるパフォーマンス。飾りをはぎ取ることで、楽曲のクオリティ、メロディの美しさ、歌い手としての表現力と説得力を証明し、ピアニストとしての実力も見せつけて、これぞレス・イズ・モアと呼びたいショウを披露してくれた。

 そもそも7歳の時にピアノを習い始め、曲作りも常にピアノを弾きながら行なっているトム。「ピアノ・ソロだと、生まれた時に近い形で曲を聴かせられるんだ」とMCで話していたが、ならば我々が目撃したのは、トム・オデールというミュージシャンの最もピュアで自然な在り方なのだろう。

 中でも、アルバム音源ではバンド・サウンドを強調していた『ゴー・テル・ハー・ナウ』ほか、セカンド『ロング・クラウド』以降のより作り込んだ曲をこういう形で聴くのは、新鮮極まりない。ただピアノ・ソロと言っても、時折床を踏み鳴らしてビートを加えたり、『ビハインド・ザ・ローズ』にはハーモニカを交えたり、随所で添えたちょっとした彩りが実に効果的だった。

 そして、観客とアーティストの距離が近い親密な空間が生まれるのも、ソロならでは。曲の合間にトムは気さくに色んな話を聞かせ(この日は時差ボケで3時に目を覚まして代々木公園を散歩したとか)、彼自身がリラックスして演奏を楽しんでいることが、表情や言葉の端々から伝わってくる。

 2つの新曲を含む計12曲・80分のセットは、そうこうしているうちにあっという間に終わってしまったが、ラストのデビュー・シングル『アナザー・ラヴ』まで全曲がハイライト。「君たち全員をハグしたい気分だよ!」と挨拶してトムがステージをあとにし、客電が灯ってからも、しばらく拍手は止まなかった。

Text:新谷洋子


◎公演情報
【トム・オデール】
2019年3月14日(木)
東京・渋谷ストリームホール
<セットリスト>
1. Constellations
2. Heal
3. Wrong Crowd
4. Ordinary Love *new
5. Behind The Rose
6. Magnetised
7. Grow Old With Me
8. Go Tell Her Now
9. Tears That Never Dry *new
10. Half As Good As You
11. Can't Pretend
12. Another Love
*上記セットリストによるプレイリスト
https://open.spotify.com/playlist/1AunWf1JoeOf6BhLEIAKgI?si=hk48vDWHRMeWCjJWisLg0g

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