2019/03/04 15:50
『アリー/スター誕生』のサウンドトラックが返り咲きの首位獲得を果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
日本時間2月25日に開催された【第91回アカデミー賞】で、本作収録の「シャロウ」が<主題歌賞>を受賞。さらに、レディー・ガガとブラッドリー・クーパーによる同曲のパフォーマンスが大絶賛され、ストリーミング、セールスが飛躍的に伸びた。週間ユニット数は128,000で、3位にランクインしていた前週から152%もポイントが上昇している。
本作は、初登場週の2018年10月20日付~11月3日付チャートまでの計3週の首位をキープした後、21週間連続でTOP10にランクインし続け、今週通算4週目となる1位復帰を果たした。サウンドトラックが4週以上首位を獲得するのは、日本でも大ヒットを記録した2014年の『アナと雪の女王』(13週)以来、およそ5年ぶりとなる。実写版の映画サントラとしては、2007年のテレビ映画 『ハイスクール・ミュージカル2』(4週)以来12年ぶりの快挙。テレビ映画ではない実写版の映画としては、2003年の『バッドボーイズ2バッド』(同4週)以来、約16年ぶり。
『アリー/スター誕生』に押され2位にダウンしたアリアナ・グランデの『thank u, next』だが、登場3週目にして116,000ユニットを獲得し、依然高い数字は維持している。週間セールスは19,000枚程度で、ポイントのほとんどがストリーミングによるものだった。なお、『アリー/スター誕生』、『thank u, next』共に、通販サイト<Amazon>で週末セール(値下げ)が行われたが、前者は大きく売上を伸ばしたのに対して、後者はさほど反響がなかった。若者はアルバムを購入して聴くのではなく、ストリーミング(視聴)が主流になったため、アリアナのような若層に支持の高いアーティストは、逆にセールスでは勝負し辛くなった。
その「シャロウ」は、今週のソング・チャート“Hot 100”で、アリアナの「7 rings」を破り、No.1を獲得する可能性が高いと米ビルボード誌が報じている。
3位にデビューしたのは、米ジョージア州出身の若手ラッパー=ガンナのデビュー作『ドリップ・オア・ドラウン2』。週間ユニット数は90,000で、そのうちアルバムのセールスが7,000枚、8万ユニット強がストリーミングだった。本作は、ガンナにとって初のスタジオ・アルバムで、ソング・チャート含めTOP3入りは自身初となる。これまでの最高位は、リル・ベイビーとコラボしたミックステープ『ドリップ・ハーダー』(2018年)の4位だった。本作からのシングル「ワン・コール」が、ソング・チャートで56位まで上昇中。
続いて4位にも、ラップ界からオフセットのソロ・デビュー・アルバム『ファザー・オブ・フォー』が初登場。週間ユニットは89,000で、ガンナとは僅差だった。こちらも、ユニット数の内訳7,000枚がアルバム・セールスで、ストリーミング・ポイントが8割近くを占めている。オフセットは、2017年に21サヴェージ、メトロ・ブーミンとコラボした『ウィズアウト・ウォーニング』をリリースしているが、本作の最高位も4位で、記録更新とはならなかった。なお、ミーゴスとしての作品は、『カルチャー』(2017年)、『カルチャーII』(2018年)の2枚がNo.1を獲得している。
今週は、TOP10中5作が初登場作品で、6位には米テキサス州出身のシンガー・ソングライター、ゲイリー・クラーク・ジュニアの新作『ディス・ランド』が初登場している。本作は、2015年リリースの2ndアルバム『サニー・ボーイ・スリムの物語』(最高8位)以来3年半ぶり、3作目のスタジオ・アルバムで、2012年のデビュー作『ブラック・アンド・ブルー』(最高6位)から3作連続のTOP10入りとなった。週間ユニット数は54,000で、51,000枚が実売によるもの。前2者とは対照的に、セールスがユニット数の大半を占めている。
リル・パンプの2ndアルバム『ハーバード・ドロップアウト』は7位にデビュー。週間ユニット数は48,000で、アルバム・セールスとストリーミング・ポイントの内訳はほぼ半々。ラッパーのアルバムとしては珍しく、セールスが貢献した。2017年のデビュー・アルバム『リル・パンプ』(最高3位)に続く2作連続のTOP10入りを果たしたものの、初動ユニット数、ランキングともに数字は落としている。
9位には、R&Bシンガーのケラーニによる新ミックステープ『ホワイル・ウィー・ウェイト』が初登場。週間34,000ユニットの内訳、6,000枚がセールス・ポイント、28,000ユニットがストリーミングだった。2017年のデビュー・アルバム『スウィートセクシーサヴェージ』は最高3位をマークしていて、本作はそれに続く自身2作目のTOP10入りとなる。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』のサウンドトラックは、週間61,000ユニットを獲得し、5位にランクイン。前週よりも若干ポイントが上昇したものの、トップに返り咲いた『アリー/スター誕生』と比較すると伸び率は悪く、【第91回アカデミー賞】の効果はさほど反映しなかった。本作では、主演を務めたラミ・マレックが<主演男優賞>を受賞している。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、3月8日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『アリー/スター誕生』サウンドトラック
2位『thank u, next』アリアナ・グランデ
3位『ドリップ・オア・ドラウン2』ガンナ
4位『ファザー・オブ・フォー』オフセット
5位『ボヘミアン・ラプソディ』サウンドトラック
6位『ディス・ランド』ゲイリー・クラーク・ジュニア
7位『ハーバード・ドロップアウト』リル・パンプ
8位『Hoodie SZN』ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディ
9位『ホワイル・ウィー・ウェイト』ケラーニ
10位『ビアボングズ&ベントレーズ』ポスト・マローン
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