2019/02/16
イギリス作家フィリップ・リーヴのファンタジー小説『移動都市』を『ロード・オブ・ザ・リング』、『ホビット』シリーズのピーター・ジャクソンが映画化した冒険ファンタジー『移動都市/モータル・エンジン』の日本公開を前に、こだわり抜かれた楽曲によって命を与えられた映画をご紹介しよう。
『移動都市/モータル・エンジン』は、人類が空や海、そして地を這う車輪の上に移動型都市を築き、他の小さな都市を捕食する世界を描いている。都市を次々に飲み込む巨大移動都市ロンドンを前に、少女ヘスターら反逆者たちが反撃を開始する。『キング・コング』(05)で【アカデミー賞】<視覚効果賞>を受賞した経験をもつクリスチャン・リヴァーズが監督を務め、これまで6度のオスカーに輝いたWETAデジタルがCGIを担当。最先端技術の限界を常に押し上げながら、CGIと感情豊かな登場人物たちの物語を見事に融合させてきた製作陣が、再び雄大な移動都市の世界を創り上げる。
本作の音楽を担当したのは、新しい映画音楽の先駆者として活躍を続け、【グラミー賞】ノミネートの経歴を持つトム・ホルケンボルフだ。ジャンキーXLの別名を持つホルケンボルフは「僕はロンドンを長い歴史を誇る高貴な都市だと考えている。また、フーリガン行為が根付く都市でもある」と語り、この巨大移動都市の特徴を表現するために金管楽器を多く取り入れた独特なテーマ曲が必要だと考えた。金楽器、弦楽器、木管楽器のパートを個別に演奏したり、通常のオーケストラよりホルン演奏者を増やしたりして、広範なクラシック音楽の知識を持つホルケンボルフならではのこだわり抜かれた楽曲が完成した。
ホルケンボルフは、オーケストラに加えてパーカッション、シンセサイザー、ベースギター、ハープ、コーラスなどを取り入れ、他にもごみ箱を叩いた音やチューブを吹いた音など、インスピレーションを与える音なら何でも採用。今までにない新しい音楽は命を与えられたかのように、映画を生き生きとさせている。製作を手掛けたピーター・ジャクソンは「トムの楽曲はとにかく素晴らしかった。彼が手掛けた音楽はこれまでにもたくさん聴いてきたが、今回が彼のキャリア史上最高の作品だと心から思っている。ある時、トムは空になった巨大な燃料タンクの中で音源を収録していたんだが、クレイジーな残響とエコーが響き渡っていたよ。色々な物を力強く叩いてこの世のものとは思えない音を生み出し、それを音楽にうまく取り入れていた」と、フレッシュでダイナミックな楽曲を絶賛している。
ホルケンボルフはヒーローと悪役でテーマ曲を明確に区別するというこだわりも発揮。「ヘスターは傷ついているが粘り強く、内面は純度の高いダイヤモンドのようだ。誠実で気骨あふれる女性でもある。そういった特徴を音楽に確実に反映することが重要だった」と明かし、世界の破壊を目論むロンドンの指導者サディアスについては「金管楽器や弦楽器の音色で重々しいダークな曲に仕上げた。彼のテーマ曲はこのラストシーンのあるアイテムのテーマ曲へと発展していくんだ」と明かしている。
今回、ホルケンボルフのこだわり抜かれた楽曲によって命を与えられた映画を一挙ご紹介。世界観が似ているあの作品から、ブラックジョーク満載のあの作品まで、ホルケンボルフが作り出す音楽の幅の広さに思わず感服してしまうことだろう。
◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)
【第88 回アカデミー賞】で計6部門を獲得。ヤー・ヤー・ヤーズのギタリストであるニック・ジナーも参加した本作は、音楽が映画を支配し、観る者を大興奮の渦に巻き込む。
◎『ブラック・スキャンダル』(2015)
重低音が効いた重苦しい音楽が、実話である『ブラック・スキャンダル』の悲しみを浮き彫りにする。派手なイメージが強いホルケンボルフの重厚感がある珍しい音楽を堪能することが出来る。
◎『デッドプール』(2016)
1950年代のムーディーな懐メロやEDM、ラップ、R&B、カントリーなど誰もが一度は聞いたことがある音楽から、この映画をきっかけに知ることが出来る隠れた名曲まで、センス抜群の選曲が楽しめる。
◎『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(2018)
観る者の心拍数を上げるような迫りくる音楽が印象的で、同じ音が繰り返される独特のリズムは、次々と巻き起こるミッションと、謎が謎を呼ぶミステリーにハラハラする気持ちを加速させる。
◎公開情報
『移動都市/モータル・エンジン』
2019年3月1日(金)より、全国ロードショー
製作:ピーター・ジャクソン
監督:クリスチャン・リヴァーズ
出演:ヘラ・ヒルマー、ロバート・シーアン、ヒューゴ・ウィーヴィング、スティーヴン・ラングほか
(C)Universal Pictures
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