2019/01/22
クイーンの故フレディ・マーキュリーの半生を描いた伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が世界的に大ヒットを記録している。2019年1月20日の時点で世界興収が7億9,800万ドル(約874.6億円)を突破したこの映画は、22日ごろには8億ドル(約876.7億円)の大台に乗るとみられている。
このうち約2億ドル(約219.2億円)が北米の興行収入で、5億9,600万ドル(約653.2億円)がそのほかの地域の合計となっており、『アバター』や初期の『スター・ウォーズ』シリーズを擁する20世紀フォックスにとって、北米以外の地域での歴代興行収入5位にまで順位を上げてきている。
日本でも空前の大ブームとなっている同作は、国内で8,860万ドル(約97.1億円)を突破し、11月に公開されたにも関わらず2018年の興行収入トップに躍り出た。韓国でも大ヒットしており、7,600万ドル(約83.3億円)を突破、クイーンの母国U.K.では6,630万ドル(約72.6億円)を売り上げている。1970年代から80年代にかけて活躍した伝説のバンドが今も世界的に根強い人気を誇っていることがわかる。
製作予算が5,200万ドル(約56.9億円)だったこの映画は、収益が確実に見込めるハリウッド大作映画やアニメ、またはジェームズ・ボンドものにしか成し得ない結果を出している。たとえばソニー・ピクチャーズの『ヴェノム』は現時点で8億5,580万ドル(約938億円)、2017年の『ワンダー・ウーマン』は8億2,200万ドル(約901億円)の興収を記録した。
今月初めに【ゴールデン・グローブ賞】の映画部門<作品賞(ドラマ)>と<主演男優賞(ドラマ)>を受賞した『ボヘミアン・ラプソディ』が、【アカデミー賞】にノミネートされた場合、最終的に8.3億ドル(約909億円)以上を売り上げる可能性もある。
当初『ボヘミアン・ラプソディ』は、世界で2.5億~3億ドル(約273.8億~328.6億円)の興行収入を見込んで製作された。20世紀フォックスの国内配給担当役員のクリス・アロンソンは、「製作開始当初に誰かから4億ドル稼げるかもって言われてたら側転するほど喜んでいたよ」と話している。
ラミ・マレックが故フレディ・マーキュリーを熱演している『ボヘミアン・ラプソディ』は、プロデューサーのグラハム・キングが何年も粘り、クイーンの存命のメンバーたちやニュー・リージェンシー・プロダクションズの協力を得て製作を実現させた。クランクアップ2週間前にブライアン・シンガー監督が解雇されるなどのトラブルを乗り越えてようやく完成した同作は、2018年11月初週に全米公開された際、5,100万ドル(約55.8億円)でスタートし、評価もまずまずだったが先行きが不透明だった。
ところが観客はこの映画に熱狂し、音楽を題材にした伝記映画としては『ストレイト・アウタ・コンプトン』(2015年)が持っていた全米における年末休暇時期の興行収入記録、2億160万ドル(約220.7億円)を軽々と抜いた。欧州でも快進撃は続き、フランスでは3,320万ドル(約36.3億円)、ドイツでは2,980万ドル(約32.6億円)、イタリアでは3,050万ドル(約33.4億円)を記録、イタリアほか13か国で2018年の興行収入1位に輝いた。オーストラリアでも現時点で3,500万ドル(約38.3億円)を稼ぎ出している。
日本と韓国での大ヒットは、上映中に観客が一緒に歌って参加することができる“応援上映”も後押ししている。フォックス・インターナショナルの配給チーフ、アンドリュー・クリップスによると、これらの特別上映はSNSで大きな反響を呼んでおり、安定したリピート・ビジネスに繋がっているという。
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