2019/01/17 18:00
2018年は、エド・シーラン&ビヨンセの「パーフェクト」や、ビービー・レクサ&フロリダ・ジョージア・ラインの「メント・トゥ・ビー」、カミラ・カベロ&ケイン・ブラウンの「ネヴァー・ビー・ザ・セイム」など、デュエット曲が途絶えることなくヒットを記録した。最高位は9位だったが、異例のロングヒットを記録して年間チャート19位にランクインした、R&Bシンガーのカリードとノーマニ・コーディによる「ラブ・ライズ」も印象的だった。
2019年のデュエット第一弾は、その「ラブ・ライズ」を大ヒットさせたノーマニ、そしてサム・スミスによる初タッグ・ソング「ダンシング・ウィズ・ア・ストレンジャー」。昨年、米ビルボード・アルバム・チャートで初登場1位を記録した2ndアルバム『スリル・オブ・イット・オール』を引っ提げた【スリル・オブ・イット・オール・ワールド・ツアー】の最中にサムが書いた曲だそうで、ソングライターにはサムの代表曲「ステイ・ウィズ・ミー」や「アイム・ノット・ジ・オンリー・ワン」などを手掛けたジミー・ネイプスと、いわずと知れたプロダクションチームー=スターゲイツもクレジットされている。
サウンドは、前述の『スリル・オブ・イット・オール』のテイストとは若干異なる、UKうけ必須のダンス・ポップで、昨年、こちらも大ヒットを記録した、カルヴィン・ハリスとのコラボ曲「プロミセズ」をちょっとトーン・ダウンさせ、リアレンジしたような感じ。澄んだ旋律と手を加え過ぎないシンプルなトラック。我々日本人の耳にも馴染みやすく、何度プレイしても飽きのこない中毒性をもつ。
「トゥー・グッド・アット・グッバイズ」やAppleのCM曲としても話題になった「プレイ」など、バラード曲のイメージが先行しがちなサム・スミスだが、「プロミセズ」やブレイクのキッカケとなったディスクロージャーとのコラボ「ラッチ」など、アップを歌わせても一級。ノーマニも、フィフス・ハーモニーで鍛えたボーカル・ワークが見事に反映し、また、グループとは違う哀愁漂わす歌い回しが、曲の雰囲気を醸成する。サムが5Hの大ファンということは周知の事実だが、『カープール・カラオケ』での競演がキッカケで、今回のコラボが実現したのだそう。ノーマニもサムをリスペクトしていて、両者の相性が抜群ということは、言う(聴く)までもない。
歌っているのは、どちらも未練たらたらの男女が、想いを断つためフロアに繰り出し「見知らぬ誰かと今夜は踊る」というもの。ありきたりではあるが、デュエット曲は意外とこういうシンプルな方が、ウケが良かったりする。この曲について、サムは「私生活と仕事で感じたことを1本の瓶に入れて混ぜ合わせた」と話していて、カバー・アートも、それをイメージしたパフューム・ボトルが描かれている。昨年夏、俳優のブランドン・フリンとの破局が報じられていたが、それも含めてのこの曲……とうことだろうか(?)。
一方のノーマニは、フィフス・ハーモニーからカミラに続いて全米TOP10入りした「ラブ・ライズ」に続き、ノーマニ×カルヴィン・ハリス名義の「チェックリスト feat. ウィズキッド」と「スロー・ダウン」、米アトランタ出身の新人シンガー/ラッパー=6LACK (ブラック)との「ウェイブズ」を2018年中にリリースしているが、リード・アーティストとしてのソロ・シングルは未だ発売されていない。「ダンシング・ウィズ・ア・ストレンジャー」のヒット次第では、待望のソロ・アルバムも年内には期待できるかもしれない。
Text: 本家 一成
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