2019/01/15
ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディの『Hoodie SZN』が首位獲得を果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
登場3週目で自身初の首位獲得を果たした、ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディ。本作『Hoodie SZN』の週間ユニット数は58,000で、ストリーミングによるみなし売上は56,000枚と高いが、アルバム・セールス(ダウンロード数)はわずか1,000枚程度だった。90,000ユニットを獲得した初登場週(1月5日付)の売上枚数もわずか6,000枚程度で、前週のセールスも今週と横ばいの1,000枚。いずれも、そのほとんどがストリーミングによるポイントだった。今週の週間視聴回数は8,300万回で、曲数の多さ(20曲収録)もストリーミングが安定している理由として挙げられる。昨年最大のストリーミングを記録したドレイクの『スコーピオン』(今週8位)も、トラック数(25曲)をアルバムのヒット(ストリーミング)に繋げている。
先週、2週連続の首位をキープした21サヴェージの『I Am > I Was』(今週2位)も、同週の売上枚数はわずか3,000枚で、1位を獲得したアルバムとしては歴代最も低い売上枚数となったが、今週、ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディがその記録を下回る過去最低記録を更新した。なお、この2作が記録を更新する前の最低売上枚数は、2011年2月12日付チャートで1位を獲得したエイモス・リーの『ミッション・ベル』で、週間売上枚数は40,000枚。当時はストリーミングがポイントとして反映していなかったため、売上枚数のみの集計だった。
なお、今週最大のセールスを記録したのは、7位にランクインしている映画『アリー/スター誕生』のサウンドトラックで、週間ダウンロード数は21,000枚。1月7日に発表された【第76回 ゴールデングローブ賞】の<主題歌賞>受賞が、セールス上昇の理由として挙げられる。セールス・チャートでは同サントラ盤が1位を記録しているが、ストリーミングを含めると上位には及ばず、上位6作は全てヒップホップ勢が占めている。昨2018年のR&B/ヒップホップ・アルバムの総売上は、前年から20.8%も減少し、全ジャンルのアルバム・セールスも17.7%まで下がった。ストリーミングが加わった2014年12月以降、視聴回数が稼げないアルバムが上位にランクインするのは難しくなった。
前週の5位から3位に上昇したのは、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』のサウンドトラック。週間ユニットは49,000で、本作もストリーミングによるポイントが半数以上を占めている。アルバムには、ニッキー・ミナージュやリル・ウェイン、タイ・ダラー・サインなど人気ラッパーたちが参加していて、サントラ盤というよりは、ヒップホップのコンピレーション・アルバムのような形態になっている。なお、本作からの先行トラックであるポスト・マローン&スウェイ・リーの「サンフラワー」が、今週のソング・チャートでNo.1に輝き、アルバムのヒットに大きく貢献している。
先週の137位からジャンプアップし、10位にTOP10したのはクイーンのベスト盤『プラチナム・コレクション』。かわって、映画『ボヘミアン・ラプソディ』のサウンドトラックは、前週の15位から76位まで転落している。というのも、楽曲それぞれのストリーミングがアルバムのユニット数(ポイント)に加算されるようになってからは、同一の曲が複数のアルバムに収録されている場合(ベスト盤など)、その曲のポイントは同週に最も売れているアルバムのユニット数に加算されることになっているからだ。今週は、本ベスト盤の売上が上回ったため、「伝説のチャンピオン」や「ウィ・ウィル・ロック・ユー」など人気曲の視聴回数が、『プラチナム・コレクション』に加算されたことになる。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、1月18日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『Hoodie SZN』ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディ
2位『I Am > I Was』21サヴェージ
3位『スパイダーマン:スパイダーバース』サウンドトラック
4位『チャンピオンシップス』ミーク・ミル
5位『ビアボングズ&ベントレーズ』ポスト・マローン
6位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
7位『アリー/スター誕生』サウンドトラック
8位『スコーピオン』ドレイク
9位『Dying to Live』コダック・ブラック
10位『プラチナム・コレクション』クイーン
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