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2018/12/20

【第61回グラミー賞】、CD発売なしのアルバムが<年間最優秀アルバム>候補に CD登場以来約30年ぶり

 2019年の【第61回グラミー賞】<年間最優秀アルバム>部門に、CDがメディアとして登場してから30年以上ぶりに、米国内でCDが発売されなかったアルバムが2作品選出された。

 同部門にCDリリースがなかった作品がノミネートされるのは1984年以来だ。CDが市販されるようになったのは1982年で、故マイケル・ジャクソンの『スリラー』とポリスの『シンクロニシティー』が、CDでもリリースされた作品として初めて1984年の【グラミー賞】でノミネートされた。

 カーディ・Bの『インヴェイジョン・オブ・プライバシー』とH.E.R.のセルフタイトル・デビュー・アルバムは、米国内での正式なCDリリースはなく、ストリーミングやデジタル・ダウンロード、そしてアナログ盤だけで発売された。米国でのCDセールスがここ10年の間に着実に減少していることを考えれば、彼女たちの判断は驚くべきことではない。ニールセン・ミュージックによると、2007年は90%がCDだったアルバム・セールスは、2017年は約18%にまで落ち込んでいる。

 この2作品が分類されるヒップホップとR&Bのジャンルでは特にCD離れが顕著で、今年米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”に初登場でTOP10入りしたヒップホップ/R&Bのアルバムのうち、少なくとも25作品がリリース時にCDを出さなかった。これらのうち、エミネム『カミカゼ』、カーディ・B『インヴェイジョン・オブ・プライバシー』、カニエ・ウェスト『Ye』、ミーゴス『カルチャーII』、トラヴィス・スコット『アストロワールド』、ザ・ウィークエンド『マイ・ディア・メランコリー、』の6作品がNo.1を獲得している。カーディ以外のアーティストは最終的にCDも出したが、リリースから数週間経ってからだった。

 ヒップホップ/R&Bジャンルの販売数に目を向けると、ニールセン・ミュージックによると2017年上半期には約633万枚のCDが売れたが、2018年上半期には39.4%も減少して約384万枚となっている。同時期にほかのジャンルでもCDセールスは減少しているものの、これほど大きな下落ではない(ロックが8.7%、ポップが7%、カントリーが10.7%)。

 米国では店舗でのCD小売業も深刻な打撃を受けており、たとえば米大手家電量販店Best Buyでは店舗でのCD販売を大幅に縮小し、現在は低価格CDやアナログ盤だけを取り扱っている。このように販売ルートが消滅していくなか、カーディやH.E.R.のようにCDを発売しない【グラミー賞】候補者は今後増えていくものとみられる。

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