2018/11/15 10:31
東京バレエ団が新国立劇場で開催する【20世紀の傑作バレエII】の開催日程が迫る中、11月13日にジョン・ノイマイヤー振付の傑作『スプリング・アンド・フォール』の公開リハーサルが行われた。
本公演では、東京バレエ団に最もゆかりがあるベジャール『ボレロ』のほか、2017年に初めてレパートリーに入ったロビンズの『イン・ザ・ナイト』、同じく2017年に初めて取り組んだキリアン『小さな死』、そしてノイマイヤー『スプリング・アンド・フォール』、この4作品を一挙に上演する。
公開リハーサルは斎藤友佳理(芸術監督)、佐野志織(バレエミストレス)、木村和夫(バレエスタッフ)が見守る中、第1楽章~第5楽章まで通して行われた。無音の中、男性ダンサーが手を前に出し、ゆっくりと歩いていく。そこへドヴォルザークの音楽(弦楽セレナーデ)が流れると空気が一変。広いスタジオをいっぱいに使って一気にダンサーたちが躍動する。
1楽章が終わった時点で一度音楽が止められ、主役の川島麻実子、柄本弾には斎藤、木村が、群舞のダンサーたちに、佐野が一人一人に「身体をもっと大きく使って」、「動きの質をそろえて、回るときに腰の高さが変わらないように」など、細かい部分まで注意を与えていた。続く第2楽章では「青春の喜びをあらわすように!」など表現面についても、踊っているダンサーたちに声がかけられる。2楽章から5楽章まではノン・ストップで行われ、最後まで踊りきった後、ダンサー達は多くのアドバイスを受け、本番への糧としているようだった。
今回はダブル・キャストが組まれており、スタジオの空いているスペースでは別の日に出演するダンサーたちが熱心に斎藤らの声に耳をかたむけ、自主的にリハーサルを行っている姿も見受けられた。
リハーサル後、場所を移して行われた記者懇親会には、斎藤、川島、柄本の3名が出席。冒頭に斎藤からは「今回、この4作品を一挙に上演するのはダンサーにとって大きな挑戦だが、自分が監督に就任してから3年間の、ある意味で集大成だと思っている」と、今回の4作品を選んだ理由を熱く語った。
川島は「私にとっては夢のような作品。ダンサーとして幸せを感じる」と踊る喜びを語るとともに「気持ちの切り替えが大変だが、1つ1つの作品に気持ちをこめて演じたい。明確な物語がない作品だけに、自分にしか出せない“香り”が求められると思っている」と自らへの課題とリハーサルの感触を語った。
そして今回、4作品中3作品に主演する柄本弾は「体力的にハードだが、主役として皆をひっぱっていける存在でいたい。特に男性たちは背中で引っ張っていきたい」と、これまで数々の作品に主演してきた若きエースならではの矜持をみせた。柄本は『スプリング・アンド・フォール』を振付けたノイマイヤーから直接作品の指導を受けたことがあるそうで、「第4楽章の最初、女性に手をとってもらうところだけを何十回もやり直した。テクニックよりも感情の波を表現することを教えられた」とエピソードを交えて、作品の難しさを語った。
「4作品とも全くスタイルが違う」(斎藤)、「照明、衣裳含め、総合芸術として全く印象の違う作品」(川島)と最後に作品への愛溢れる言葉で懇親会は終了。ダンサーたちの想いのこもった公演の開幕はもうすぐだ。
◎公演情報
東京バレエ団【20世紀の傑作バレエII】
2018年11月30日(金)~12月2日(日) 全4公演
新国立劇場 中劇場
チケット(全席指定):S 10,000円、A 8,000円、B 6,000円
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