2018/11/02
平成30年秋の叙勲にて、劇作家/演出家であるケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が、紫綬褒章を受章することが発表された。
学術研究や芸術文化への功労者を対象とした紫綬褒章。今回の受章では、KERAのほかに俳優の真田広之(下沢広之)や小説家の林真理子(東郷真理子)、将棋棋士の羽生善治、笙演奏家の宮田まゆみ、能楽師の金剛永謹らも名を連ねている。
KERAは、ミュージシャン出身の劇作家、演出家、映画監督、音楽家。近年の演劇活動の充実は目覚ましく、作品は高い評価を得ている。2015年第40回菊田一夫演劇賞受賞。2016年第23回読売演劇大賞 最優秀作品賞/優秀演出家賞受賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2017年第51回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞、読売演劇大賞 最優秀演出家賞受賞、第4回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞受賞、読売文学賞戯曲・シナリオ部門などを受賞している。
なお現在、KERAが作・演出を手がけるKERA・MAP #008『修道女たち』が、東京・本多劇場にて上演中。2019年6~7月には、東京・世田谷パブリックシアターにてKERA・MAP#009『キネマと恋人』の再演が控えている。
◎<ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント>
頂戴出来る物は拒まない主義の私とは言え、この度賜った章はひときわ大きな喜びです。「もっと好き勝手やれ」と背中を押された気分。これまで創作に関わってくれた全ての人と分かち合いたい。お客様も含めて。とりわけ、ずっと一緒にやってきた劇団員たち、昔自分の身勝手で迷惑かけまくったバンドメンバー、そして、舞台では女優、家では私設秘書にしてこの上なく信頼できるアドバイザーとして支えてきてくれた奥さんと。
僕は舞台の脚本を、日々の稽古を見ながら書く方法を取っているので、俳優さんが実際に動いてくれない事には、作品一本書き上げることもままならない。スタッフさんとも「この芝居、この制約の中で、何が出来るのか」という事を話しながら創っています。そういう意味で私の脚本はどの作品も、皆との共同執筆だと思っています。
もし、他の劇作家や演出家、音楽家と何か違う事があるとすれば、やりたいことしかやってこなかったこと。それから、これまで創ってきた作品の、“量×質”の総量。この点は自己評価としては大抵の同業者の3人分くらいはいくんじゃないかと。(笑)
集中力も体力も落ち、なにかと挫けそうになる昨今の私ですが、まだまだやらねばと背筋が伸びました。やりたくないことはやりませんが。
談 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
◎ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)
劇作家/演出家/映画監督/音楽家
1963年1月3日生まれ、東京都出身。1982年、ニューウェイヴバンド・有頂天を結成。
また自主レーベルであるナゴムレコードを立ち上げ、数多くのバンドのアルバムをリリースする。
並行して1985年に劇団健康を旗揚げ、演劇活動を開始する。1992年解散、1993年にナイロン100℃を始動。1999年「フローズン・ビーチ」で第43回岸田國士戯曲賞を受賞、現在は同賞の選考委員を務める。
舞台活動では劇団公演に加え、KERA・MAPなどのユニットも主宰するほか、外部プロデュース公演への参加も多数。2012年にはシアターコクーンに書き下ろした『祈りと怪物』を、自身による演出と蜷川幸雄氏による演出にて連続上演。また『かもめ』(13)を皮切りに、チェーホフ四大戯曲全四作品の演出に取り組んでいる。
映像活動では、自身の企画である『怪奇恋愛作戦』(シリーズ監督、脚本)が2015年1月クールテレビ東京系連続ドラマ(全12話)として放送された。それ以前にも『時効警察』(テレビ朝日)などがある。また初監督映画『1980』(03)から映画界にも参入、『おいしい殺し方』(06)、大槻ケンヂ原作『グミ・チョコレート・パイン』(07)、『罪とか罰とか』(09)の脚本・監督をつとめた。
音楽活動では、バンド「ケラ&ザ・シンセサイザーズ」でボーカルを務めるほか、2013年には鈴木慶一氏とのユニット「No Lie-Ssense」を結成。同年ナゴムレコード設立30周年を機に、鈴木氏と共同主宰で新生ナゴムレコードをスタート。2015年には「有頂天」を再始動、24年ぶりのアルバム『lost and found』を発売。2016年にはソロアルバム『Brown,White&Black』をリリース、ビルボード東京にて発売記念ライブを行う。各種ユニットによるライブ活動や新譜リリースも精力的に続行中。
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