2018/10/09
小沢健二が2002年にリリースした4thアルバム『Eclectic』が配信開始となる。
本作は、ヒップホップやR&Bのテクニックを再構築し、独自の作品世界に昇華させたタイムレスな名作。その唯一無二性を「オザケンの『Eclectic』っていうワン・ジャンル」と評したceroによってカバーされた『1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)』のオリジナルをはじめ、透明感のある楽曲が並ぶ。2000年代初期に構築されたその深度のあるグルーブは、むしろ今2018年の音楽シーンに通ずるかもしれない。
そして、満島ひかり、峯田和伸(銀杏BOYZ)と迎えてきたエピソードが大好評のApple Musicオリジナルコンテンツ『Tokyo, Music & Us 2017-2018』第三弾も10月10日より解禁される。
今回のエピソード3では、三浦大知が登場。先日ネットで「青髪のオザケンが三浦大知と銀座でゲリラライブやってる!」とバズっていたのは、実はこの番組の収録。青い髪でピンクのギターを持った小沢と、最上級の歌とダンスで知られる三浦との、茶目っ気のある会話と音楽の全貌が、遂に公開される。
エピソード1の東京湾に浮かぶ屋形船を改装したゴージャスなセット、エピソード2の下北沢の小さなスナックに続き、エピソード3の収録場所は東京を代表する交差点銀座4丁目に面した、NISSANのショールームであるNISSAN CROSSING。銀座中央通りの夜景とハロウィーンをテーマにしたセットにも注目したい。
セッション楽曲はアルバム『Eclectic』から、都会の夜の空気の香る「麝香」、そして昨年発表したシングル『フクロウの声が聞こえる』より、ハロウィーンを舞台にした楽曲「シナモン(都市と家庭)」。今回初めて、楽曲が2曲演奏されるのも見所の一つとなっている。
◎小沢健二コメント全文
エクレクティックについて 『Eclectic』は「ビート」という技術を試してみたアルバムです。 「ビート」という言葉を、僕は2000年頃のNYシティで聞くようになりました。「あのビートはアツい」「今ビート作ってる」。その「ビート」は、日本語で「トラック」とも言うと思います。8小節位のループで、ドラムがあって、その上で音が入ったり消えたりする、例のあれです。 街じゅうで鳴っていたあの音楽様式への関心から、『Eclectic』は生まれました。だから何よりも音楽技術的で、それ以前の『LIFE』とか最近の『流動体について』とかとは、出自が違います。 『Eclectic』の頃、歌詞についても気がつくことがありました。それは、ブラックミュージック、特にソウル・R&Bの場合、歌詞を意図的に軽く、薄くしていることが多い、ということです。 これは社会的にも、音楽的にも、よく考えたら当たり前のことなのに、盲点だったりします。ともあれ『Eclectic』の歌詞は、僕の他の歌詞に比べると意図的に薄くて、軽くて、ぼんやりしていて、シンプルなリフレインが多いと思います。 だから、最近の『フクロウの声が聞こえる』とか『アルペジオ』みたいな音楽とは対極にあるのかもしれませんが、でも、やっぱり『Eclectic』への探求がなかったら、僕の最近のやつはないのです。 静かな夜に、聴いてみてください。 Tokyo, Music & Us #3について 第3回は最上級の歌とダンスが眩しい三浦大知くんと、銀座4丁目からです。 ショーウインドーの中で演奏しているので、音は外に全く聞こえない中、収録を見守ってくださった多くのみなさん、ありがとうございました。 大知くんはとてもかしこく、鋭くて、対話でも演奏でも、気持ち良いの一言でした。今回は彼の声で聞きたい曲を僕が2曲選んでお願いしたのですが、大人っぽくも茶目っ気のある音に仕上がったと思います。 ギターは子ども用のミニ・ストラトを弾きました。リズムボックスは1994年から使っているローランドの名機TR-808の実機を、なんとFunkboxという携帯アプリで動かしています。 これができるのは、ヤマハの小さなBluetooth MIDIドングルでiPhoneからMIDI信号を808に送っているからで、レトロ複製のお手軽アプリが本物を動かしている、意外性が好きです。 番組をよく見ると、808からの音を僕がペダルでオン・オフしている様子もわかると思います。 Apple Musicにて、お楽しみください。(あ、ストリーミングは音楽ファンにとって辞書みたいなもので、持ってると便利です、よ。) 2018年、東京 小沢健二
◎配信リリース情報
アルバム『Eclectic』
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