2018/10/03
新国立劇場が、大野和士芸術監督就任第一作となるシーズン開幕公演『魔笛』の演出家であるウィリアム・ケントリッジを迎え、9月30日にスペシャルトークイベントを行った。
大野和士新芸術監督による第1シーズンは、モーツァルトの名作『魔笛』を新制作で上演する。オペラファンのみならず誰も一度は聴いたことのある“おなじみ”の愛と冒険のファンタジーといえるこの作品だが、本プロダクションは演出を現代アートの巨匠でオペラ演出でも活躍するウィリアム・ケントリッジの手によるもので、素描とアニメーションを用いた美しく神秘的な舞台は初演以来世界の劇場で人気を博してきた。
このウィリアム・ケントリッジ本人を迎え、魔笛の制作秘話から本業であるヴィジュアルアートの制作まで幅広く話を聞くスペシャルトークイベントが、9月30日に新国立劇場のホワイエにて行われた。聞き手、司会としてオペラ演出研究者である森岡実穂が登壇。南アフリカ出身の現代美術家ウィリアム・ケントリッジが、美術家としての培ってきた技術と思想を、オペラという場で存分に手腕をふるっているのがわかるような、ヴィジュアルアーティストとしての側面を丁寧に追った紹介からのスタートだ。
ケントリッジは2010年に“素描とアニメーション等を融合させた新しい表現メディアを創出し、独自の世界を切り拓いた芸術家”として京都賞を受賞していることからも、わかるように、中心となる活動はドローイングを描いては消し、その度にカメラで撮影することでのアニメーションを作ること。魔笛の世界で象徴的な“闇”と“光”というふたつの世界は、奇しくもケントリッジが得意としてきた木炭や墨、カメラのネガやポジを用いることで写真的なしかけを随所にちりばめたという。
今回の新制作を行うにあたり、ウィリアム・ケントリッジの制作チームは総出で東京にやってきているとのこと。本公演に対する力の入れようもうかがえよう。初日公演は10月3日より開始。9月10日に新国立劇場で開催した、新芸術監督大野和士による『魔笛』解説イベント【オペラ玉手箱 with Singers Vol.1『魔笛』】はダイジェストで公開されている。これらの事前イベントの多さは、すなわち鑑賞体験の厚みとなって、オペラの楽しみをさらに増してくれるに違いない。今後のシーズン作品でも本公演以外のイベントを見逃さないようにしたい。
◎公演情報
新国立劇場 2018/2019シーズン
モーツァルト『魔笛』全幕
2018年10月3日(水)~10月14日(日)
全6公演
◎イベント情報
【大野和士のオペラ玉手箱 with Singers Vol.1『魔笛』】
2018月9月10日(月)
START 19:00
新国立劇場オペラパレス
【ウィリアム・ケントリッジ スペシャルトーク】
2018年9月30日(日)
START 14:00
新国立劇場オペラパレス ホワイエ
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