2018/09/25 13:15
オフィスオーガスタ所属のミュージシャンが勢ぞろいして音楽を奏でる年に一度のスペシャルイベント、オーガスタキャンプ。それが今年20周年を迎える。そもそもオーガスタキャンプは1999年、山崎まさよしの単独野外コンサート【YAMAZAKI MASAYOSHI in Augusta Camp】としてスタート。その後、事務所所属のミュージシャンが総出演する一大イベントとなり、メンバーの増加などさまざまな変化を遂げながらこれまで一年も休むことなく開催してきた。さらに今年はCOILデビュー20周年、スキマスイッチデビュー15周年、オーガスタが誇るスーパーユニット・福耳結成20周年とアニバーサリーが目白押し。いつになく特別な華やぎに満ちた【Augusta Camp 2018 -20th Anniversary- Presented by The PREMIUM MALT’S】は秋の彼岸である9月23日に行われた。
今年の会場は昨年、一昨年と同じ富士急ハイランドコニファーフォレスト。ここは第1回オーガスタキャンプの舞台でもある思い出の場所である。ステージの回りには例年通りメンバープロデュースのフード&ドリンクが並ぶ「オーガスタ食堂」、ミュージシャンにちなんだ軽食が味わえる「喫茶福耳」「Hata Cafe」、さらに今年は出演アーティストの楽曲を自由に歌えるJOYSOUNDのカラオケブースや、“The PREMIUM MALT’S”のフォトスポットも登場するなど、ライブ以外でも楽しめるアトラクションが多数用意されていた。
コンサートは正午に開場。この日は天候に恵まれ、青空がのぞき爽やかな風が吹いていた。ステージの背景には“20”という数字が誇らしげに飾られ、それが今年のテーマを表している。
開演時間の14時を少しすぎ、舞台の左右に掲げられたビジョンに映像が映る。“since 1999”という文字に続き、初年度のオーキャンの模様、2年目、3年目……と映像は続き「若い!」「なつかしい~」という声が客席のあちこちから漏れる。映像が2017年までたどり着いたところでメンバー登場。全員のハンドクラップから山崎の「ようこそ!」というシャウトが響き、COIL岡本定義のエレキギターがうなりを上げる。2018年のオーキャンは今日の主役のひとりであるCOILの「ミュージック」からスタート。続いて「今年はアニバーサリーが重なってるからお祭り騒ぎになる予感がしますよ!」という大橋卓弥のセリフから、本日2組目の主役・スキマスイッチの人気ナンバー「ガラナ」。ひとまず冒頭の2曲で今年メインの2組をフィーチャーし、盛り上がるという構成だ。
そこからライブは各メンバーが順にマイクを握り、ときにセッションを交えながら進行していった。郷愁を誘う杏子の「BOY」、のびやかなヴォーカルを聴かせる村上紗由里の「遠雷」、さかいゆうはフェンダーローズの音色で「薔薇とローズ」を歌い、秦 基博はギター一本の弾き語りで「ひまわりの約束」を披露する。元ちとせは奄美のソウルを「カッシーニ」で表現し、今日のステージを支えるAC Nice Bandのメンバーとしてドラムを叩くあらきゆうこは「Train Run」でイノセントな歌声を聴かせてくれた。セッションという部分では、浜端ヨウヘイの曲に山崎がハープで参加したり、松室政哉とスキマが共演したり(その後10月31日発売のデビューアルバム『シティ・ライツ』から最新シングル「海月」を熱唱)、若手とベテラン、世代を超えた組み合わせが観られるのが興味深い。近年はバンド・ALでの活動も目覚ましい長澤知之は新曲「Close to me」をリリックビデオ付きで披露するなど、唯一無比の個性を客席に叩きつけた。
前半戦のラストにはCOIL岡本による“サダ企画”なるコーナーが用意されていた。この8月、福耳は20周年を記念して2枚のアルバムをリリースしたが、そのうちの1枚はベスト盤である『ALL TIME BEST~福耳20th Anniversary~』。そしてもう1枚は岡本がオーガスタ所属のミュージシャンをシンガーとして迎え、彼らに楽曲を提供&プロデュースするというコンセプトで作られた作品集『シンガーとソングライター~COIL 20th Anniversary~』だった。今回はそのアルバムから3曲をピックアップ。まずは周年仲間のスキマと4ピースバンドを結成。岡本(B)、大橋(G)、常田真太郎(Key)、あらき(Drs)というメンツ(あらき=MI-GU、COIL、スキマスイッチの名前をとって“ミゴイルイッチ”というバンド名がこの場で決定・笑)で「雨天決行」を演ると、そこにティーカップを持った山崎がふらりと現れ「エーゲ海でお茶を」を演奏(山崎は珍しくギターを持たず手ぶらで歌に専念)。そして浜端、松室、村上を引き入れ「メロディー~君のために作ったんだから~」で岡本がリードボーカルを取る。先輩、後輩といったポジションに関係なく、それぞれの魅力を引き出そうとする岡本のプロデューサー手腕は、COIL流アプローチが垣間見えて実に独創的で面白い。
若手という意味では後半開始までの間に組まれたニューカマー・アクトのパフォーマンスには清冽なインパクトがあった。この日、ステージに立ったのは2組。出立樫太(でだち・けんた)とHaiRi(はいり)という男女のシンガーソングライター。実はこの2人、偶然にも今年高校を卒業したばかりの18歳。そのフレッシュなたたずまいもさることながら、2人とも事務所の先輩と同じく一度聴いたら忘れられない印象的な声の持ち主。彼らの歌声を聴いているとネクスト・ジェネレーションを加えてさらに拡がりをみせていくオフィスオーガスタの未来図が透けて見える。
後半の幕開けは竹原ピストルとスキマのコラボレーション。演奏したのは竹原がこの日のために書き下ろした新曲「デビュー同期の桜~スキマスイッチ デビュー15周年に寄せて~」。竹原はかつて野狐禅というユニットでオーガスタに所属していたが、野狐禅とスキマは同じ年のデビュー。つまり彼らは同期であり、竹原は同期ならではのライバル意識、仲間意識、そしてお互い紆余曲折を経て今一緒のステージに立てている喜びをこの曲に封じ込めていた。「スキマスイッチ15周年おめでとう!」という同志の言葉に大橋も常田も感無量の表情だった。
そこからは各アーティストの代表曲が立て続けに演奏されていく。元は「ワダツミの木」、さかいは「君と僕の挽歌」、秦は「鱗(うろこ)」、杏子はバービーボーイズの「STOP!」、スキマ「全力少年」「奏(かなで)」、山崎「One more time, One more chance」……それは今年の開催に向けて謳われた「過去19年のオーガスタキャンプのハイライトシーンを凝縮したかのような、まさに20年の集大成といえる公演」そのもの。これまでのオーキャンの思い出が走馬灯のようによみがえった観客も多かったことだろう。また、浜端からアナウンスされた「来年、メジャーデビューが決定しました!」という嬉しい報せには観客のみならず、ステージ上からも温かな拍手が贈られた。
そして後半の途中からは福耳。ここからラストまではこれまで福耳として発表してきた全曲(つまりオールタイムベスト盤収録曲すべて)を演奏するという怒涛の流れに突入する。「DANCE BABY DANCE」「10 Years After」「ブライト」「LOVE & LIVE LETTER」「惑星タイマー」「Swing Swing Sing」……主に“長女”杏子が楽曲を解説しながら進んでいったが、途中メンバーを代表し「音楽が大好きなみんなが集まってくれて、こうして一緒にすごせることに感謝しています」と改めてお礼を述べる一幕も。その一方でステージ上はアーティストが出たり入ったりを繰り返し、アットホームなMCが展開されるなど笑いが絶えない。ひとつの楽曲をみんなで演奏し、歌い分けている様子は、まるでタペストリーのように全員で福耳(=オフィスオーガスタ)という大きな一枚絵を描いているようだった。
アンコールはThe PREMIUM MALT’SのCMとして使われている「I wanna be loved by you」(杏子、山崎、元、スキマ、秦、さかいによるマリリン・モンローのカバー)の映像が流れた後、再び福耳として登場。最新曲である「八月の夢」を披露したが、パフォーマンスの前に楽曲を大橋と共にサウンド・プロデュースした常田は「特に歌詞をかみしめて聴いてほしい」、作詞作曲を担当した岡本は「1回1回が大事な思い出になる。今日のことを忘れないでほしい」と発言。きっとこの曲で歌われた“あたりまえみたいに夏が何度も訪れるけれど/君はいない/永遠じゃない”というフレーズが、20年止まることなく走り続けたオーキャンが辿り着いたリアルなメッセージなのだろう。所属ミュージシャンが結束するイベントが毎年行えることのありがたさ、今年もこうしてオーディエンスと一緒の時間を共有できたことの喜び……。
最後はニューカマー・アクトの2人も呼び寄せ、杏子の口から全出演者が紹介される。そしてスキマ、COIL、今日ドラムを担当したあらき(彼女もオーガスタ所属20年!)にサプライズの花束贈呈が行われる。感動的な雰囲気の中、ラストはやはり「星のかけらを探しに行こうAgain」。年を重ねることで見えてくるものもあれば、見え方が変わってくるものもある。20年というアニバーサリーを迎え、ますます風合いも味わいも増してきたオーガスタキャンプ。終演後、恒例のように打ち上げられた花火も今年は違った想いで見上げた人も少なくなかったに違いない。それはメンバーしかり、観客しかり……2018年のオーキャンはいつもよりファミリーのぬくもりを強く感じさせる情緒の中で幕を閉じたのだった。
Text:清水浩司
Photo:杉田 真
◎公演情報
【Augusta Camp 2018】
2018年9月23日(日)
山梨・富士急ハイランドコニファーフォレスト
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