2018/09/12
葉加瀬太郎が、生誕50周年を記念して2018年8月1日にリリースされた初の『ALL TIME BEST』アルバムを引っさげたホール・コンサートツアー【日医工 presents ~ 葉加瀬太郎 コンサートツアー 2018 「ALL TIME BEST」】の初日公演を、2018年9月11日に東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールにて開催した。
今年はアコーシティックだけではなく、エレクトリック楽器やコンピューターも使ったいつものハイブリッドなサウンドにさらに磨きをかけての登場。バックを固めるメンバーは、同じHATSレーベルの盟友、鳥山雄司(ギター)、葉加瀬と同じく東京芸大出身の榊原大(ピアノ)と柏木広樹(チェロ)、リズム・セクションには川崎哲平(ベース)、玉田豊夢(ドラムス)、仙道さおり(パーカッション)、さらに大島俊一(キーボード・サックス・フルート)と、クライズラー&カンパニー時代から葉加瀬の右腕的存在の八巻誠(マニュピレーター)という鉄壁の布陣。CDで聴く以上に重厚でダイナミックな演奏を聴かせてくれる。
コンサートは「Another Sky」でスタート。ヴァイオリンとチェロで始まり、続いてヴァイオリンとガット・ギター、最後にヴァイオリンとピアノという構成の贅沢なデュオ・ヴァージョン。そしてバンド全員による「A Different Day」「陽のあたる家」、MCをはさんで「ひまわり」「WITH ONE WISH」と人気曲が冒頭から惜しげもなく演奏される。
ここでギタリスト/プロデューサーである盟友、鳥山雄司を紹介。曲は榊原のピアノ・ソロに導かれ、「Time and Time again」へ突入。じつはこの曲、鳥山雄司が参加しているユニット、ピラミッドによる発売されたばかりのアルバム『PYRAMID 4』からの、葉加瀬太郎をフィーチャーしたナンバー。続く「冷静と情熱のあいだ」を経て展開する軽めの物販紹介も進行上の程よいアクセント。そして前半最後は「水族館~春~新世界」とクライズラー&カンパニー時代のクラシック・レパートリーをメドレーで爽やかに締めくくった。
休憩をはさんで始まった後半は、ビリンバウを持って舞台前方に登場した仙道さおりをフィーチャーしてエキゾティックにスタート。仙道はバラフォン、ガラブッカと民族的なパーカッションを操り、中東的雰囲気を持つ「ARAB EXPRESS」を鮮やかに飾って見せた。
そして、波のSEも気分を盛り上げてくれる夏気分満載のリゾート・メドレー「船上にて~シシリアン セレナーデ~長崎夜曲」、続く「エトピリカ」から、分数ヴァイオリンを用意し、観客を舞台に迎えての和めるコーナー「~ヴァイオリンを弾こう~」も。終盤には、仙道のバウロンとタップ、榊原のピアニカをフィーチャーした「One pint of love」から、コンサートのハイライト「情熱大陸」へと一気にヒートアップ。コンサート・グッズである “ハカセンス” をメンバー全員が振り、大いに盛り上がった。
そして、アンコールは美しい音色とメロディが印象的な「瑞風」と「万讃歌」。ヴァイオリンという楽器は本来、クラシック音楽の楽器である。そのヴァイオリンの可能性を探り、インストのマーケットを独自な形で開拓していった葉加瀬太郎の功績は大きい。たとえクラシック音楽に詳しくなくても、だれもがポピュラー音楽という共通の領域でヴァイオリンの音色を楽しめる。全国50公演にもおよぶこのツアーは、12月30日の日本武道館公演まで続く。
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