2018/08/27 13:50
アリアナ・グランデの新作『スウィートナー』がNo.1デビューを飾った、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
本作は、2016年5月発売の3rdアルバム『デンジャラス・ウーマン』から約2年振り、4枚目のスタジオ・アルバム。その前作は、初動175,000ユニットを打ち出したが、当時トップを独走していたドレイクの『ヴューズ』に及ばず、惜しくも2位デビュー(2016年6月11付)となり、1stアルバム『ユアーズ・トゥルーリー』(2013年)、2ndアルバム『マイ・エヴリシング』(2014年)に続く、3作連続の首位獲得を逃した。
その『デンジャラス・ウーマン』の記録を上回る初動231,000ユニットを獲得し、本作『スウィートナー』で通算3作目の全米1位獲得を果たしたアリアナ。231,000ユニットは、2018年にリリースされたアルバムの中でも高記録で、女性アーティストとしては、カーディ・Bの『インベージョン・オブ・プライバシー』(今週10位)が打ち出した255,000ユニットに次ぐ2番目に高い初動ユニット数、女性ポップ・アルバムとしては最高記録となる。
231,000ユニットのうち、アルバムの純粋な売上枚数は127,000枚で、ストリーミングによるみなし売上と割合はほぼ同等だった。一般的にストリーミングはヒップホップ系のアーティストが強い傾向にあるが、『スウィートナー』の週間視聴回数は1億2,670万回で、ポップ・アルバムとしては異例の数字を叩き出し、ヒップホップ以外の女性アーティストとしては、現時点で最高記録を更新した。週間1億2,500万回以上を記録したアルバムのうち、37作はヒップホップ・アルバムで、それ以外のジャンルは4作しかない。そのうちの1作が本作『スウィートナー』で、その他には、エド・シーランの『÷(ディバイド)』(1億3,460万回)、ザ・ウィークエンドの『マイ・ディアー・メランコリー』(1億4,080万)、同じくザ・ウィークエンドの『スターボーイ』(1億7,520万)がある。
本作は、全米のみならず、イギリス(UK)、オーストラリア、スウェーデンなど主要各国でもNo.1デビューを果たした。2017年の5月に英マンチェスターのライブ会場で起きた自爆テロ事件以降、初のリリースとなったわけだが、まさに見事なカムバックを果たしたといえるだろう。
2週連続の首位をキープした、トラヴィス・スコットの『アストロワールド』は2位にダウンしたが、110,000ユニットを獲得し3週連続で10万台を突破する快挙を達成。一方、初動185,000ユニットを獲得したが、トラヴィス・スコットに及ばず、先週2位にデビューしたニッキー・ミナージュの『クイーン』は95,000ユニットまで数字を落とし、3位に下降した。ニッキーは、自身が1位になれなかったことの対応や集計法について、所属レーベルとストリーミング・サービス、Spotifyに激怒し、トラヴィス・スコットのプロモーションについても噛みついたことが、大きな話題となった。この騒動については、アリアナも意味深な発言をし波紋を広げている。
ドレイクの『スコーピオン』は3位から4位にダウンしたが、ソング・チャート“Hot 100”で5週連続の1位を独走している「イン・マイ・フィーリングズ」のヒットもあり、今週も93,000ユニットを記録した。ポスト・マローンの『ビアボングズ&ベントレーズ』も、シングル「ベター・ナウ」が5位まで上昇したことで、週間57,000ユニットを獲得して5位をキープしている。シングル曲がヒットすると、その曲のストリーミング・ポイントが換算されるため、アルバムも連動してヒットする。
先週の7位から6位に上昇したのは、アレサ・フランクリンのベスト・アルバム『30 グレイテスト・ヒッツ』。8月16日の訃報を受け、先週は集計期間1日で35,000ユニットを獲得し7位にデビューしたが、今週は52,000ユニットとさらにポイントを上昇させ、ワンランクアップした。集計期間が割れなければ、およそ9万ユニットを獲得していたことになる。52,000ユニットのうち、アルバムの売上枚数は18,000枚で、ストリーミングによるみなし売上の方が高かった。つまり、視聴がメインの若い世代にもそれだけ聴かれたということだ。アレサのアルバム・チャートでの最高位は、『貴方だけを愛して』(1967年)、『レディ・ソウル』(1968年)が獲得した2位で、意外にも首位を獲得したことがない。
7位に初登場したのは、米テネシー州出身のカントリー・シンガー=コール・スウィンデルの『オール・オブ・イット』。2014年リリースのデビュー・アルバム『コール・スウィンデル』が同チャート3位、カントリー・アルバム・チャート2位の大ヒットを記録し、2016年の前作『ユー・シュッド・ビー・ヒア』も最高6位、カントリー・アルバム・チャート同2位に輝いた。本作は、その2作に続く3枚目のスタジオ・アルバムで、3作連続のTOP10入りとなった。週間ユニットは50,000で、そのうちアルバム・セールスは39,000枚。ロックやカントリーのアーティストは、圧倒的にセールスが強い。
続いて8位にデビューしたのは、ラッパーのヤング・サグが自身のレーベル<Young Stoner Life Records>からコンピレーション・アルバムとしてリリースした『スライム・ランゲージ』。41,000ユニットのうち38,000がストリーミングによる売上で、コール・スウィンデルとは対照的に、ポイントのほとんどがストリーミングによるものだった。コンピレーション・アルバムのTOP10入りは、2018年2月17日付チャートで10位にランクインした『ナウ65』以来6か月ぶり、2018年では2作目のランクインとなる。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、8月31日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『スウィートナー』アリアナ・グランデ
2位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
3位『クイーン』ニッキー・ミナージュ
4位『スコーピオン』ドレイク
5位『ビアボングス&ベントレーズ』ポスト・マローン
6位『30グレイテスト・ヒッツ』アレサ・フランクリン
7位『オール・オブ・イット』コール・スウィンデル
8位『スライム・ランゲージ』V.A.
9位『グッドバイ&グッド・リダンス』ジュース・ワールド
10位『インベージョン・オブ・プライバシー』カーディ・B
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