2018/07/30
テイラー・スウィフトの壮大な【レピュテーション・ツアー】は、彼女の才能と優れた能力を2時間近いスペクタクルで存分に発揮している、これまでの彼女のコンサートの集大成だ。チケットが思うように売れてないという報告もみられるものの、このツアーの”評価”はそこに集中すべきではない (”レピュテーション”には一般の人が抱く評判、風評、評価などの意味がある)。
数字はどうあれ、カントリー時代からテイラーのコンサートを見てきた米ビルボードのライターが、【レピュテーション・ツアー】を評価するいくつかの理由を挙げている。
1. ただ巨大なだけでなく、スーパースターに相応しい精巧なセット
テイラーのステージ・セットはこれまでも凝っていたが、【レピュテーション・ツアー】のビジュアルは格別だ。巨大なスクリーンが映し出す2Dイメージはまるで3Dのように感じられる上、巨大な蛇、シーソー、実際に水が出る噴水などの3Dセットも現実とは思えないスケール感だ。
2. テイラーがこれまで以上にステージでリラックスしている
パフォーマンス中のテイラーが頼りないことはこれまでもなかったものの、以前は曲と曲の合間に少しダウンタイムがあった。今回のツアーでは完璧なプログラムを笑顔を絶やすことなく堂々とこなしており、激しいダンス・パートから弾き語りへの導入などもスムーズに行われている。
3. ビデオ・モノローグは魅惑的であると同時に自覚的でもある
おそらく最も印象的なビデオはアンコールの「Why She Disappeared」(何故彼女は消えた)だろう。映像は観ていて楽しく、物語もまるで古いおとぎ話のようだが、実は見かけよりも深い作品になっている。
4. 自分の弱さをさらけ出すことで伝えたいメッセージに親近感が湧く
【レピュテーション・ツアー】の初日、米アリゾナ州グレンデール公演で彼女は、アルバム『レピュテーション』の制作中に体験したことや、そのタイトルを選んだ経緯を観客に説明した。彼女は、「ステージからみんなに約10年伝え続けてきたことについて自分が大切な教訓を学んだ。すごくつらい教訓だったんだけど、それは自分の評判をどれだけ重視するかってこと」と話し、「私が学んだのは、自分を知っている人たちにさえ分かってもらえれば、自分を知らないたくさんの人に分かってもらえなくてもそれはあまり気にしない方がいいってこと」と述べたことで、コンサートを通じて伝えたいメッセージをより有意義なものにした。
5. ファンと自分の成長を重ね合わせている
2018年7月27日、米マサチューセッツ州フォックスボロにあるジレット・スタジアムでの公演で彼女は、15歳からツアーをしていて現在28歳になったことに触れ、ファンと一緒に成長してきたと語った。「観客席や交流会とかに来てくれる人々が成長して、例えば10歳だった頃に会ったことがある人が今やすっかり大人になっているのを見るとすごいことだと思う」と彼女は話し、「大人に、”あなたの音楽を12歳の頃から聴いていました”って言われたり。そういうことを当たり前に感じるなんて決してなくて、これからもずっと非常に興味深くてすごいことだと感じ続けると思う」と語っている。
彼女はさらに、「自分の音楽は人によっては一過性のものかもしれないと思っていたから、”今も聴いてます”って言われると、その人の人生の別段階にも自分が関わっているってこと」であり、嬉しいのだと明かしている。
6. 古いテイラーは死んでおらず、成長した
「ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥ~私にこんなマネ、させるなんて」に、”古いテイラーは今電話に出られない……彼女は死んだから”という衝撃的な歌詞が登場するが、【レピュテーション・ツアー】の公演で最後にファンが目にする言葉は、"And in the death of her reputation, she felt truly alive" (評判が地に落ちた(死んだ)時、彼女は本当に生きていると感じた)というものだ。音楽の進化と共にテイラーも成長してきたが、これまでの道のりや初期の情熱も忘れていないということをパフォーマンスで示しており、この評判こそが彼女とファンが望んでいたものなのだろう。
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