2018/07/15
2015年リリースの4thアルバム『ブラーリーフェイス』(全米1位)で大ブレイクを果たした、 米オハイオ州出身のオルタナティブ・ロック・デュオ=トゥエンティ・ワン・パイロッツ。本作からは、「ストレスド・アウト」(2位)と「ライド」(5位)の2曲が全米ソング・チャート(HOT100)でTOP10入りし、翌2016年の大ヒット映画『スーサイド・スクワッド』のサントラ盤に提供した「ヒーサンズ」も最高2位を記録。オルタナティブ・ソング・チャートでは、3曲連続のNo.1獲得を果たし、トップスターの座にのぼりつめた。
その『ブラーリーフェイス』から3年半振りとなる新作『トレンチ』を、2018年10月5日にリリースすると発表。さらに、本作からの先行シングルが2曲同時に発売され、早速トレンドで1位になるなど話題を呼んでいる。シングル曲としては、前作からの「へヴィーダーティーソウル」(2016年)以来、およそ2年振り。
1曲目の「ジャンプスーツ」は、タイラー・ジョゼフ“らしい”旋律のオルタナティブ・ロック。同日に公開されたミュージック・ビデオは、【2016 MTV ビデオ・ミュージック・アワード】で<最優秀ロック・ビデオ賞>を受賞した前述の「ヒーサンズ」に続き、アンドリュー・ドノホが監督を担当。無人島のような舞台で白馬に乗った赤いマントの男に追われるという、ファンタジー映画のような世界観と、強弱がハッキリしたドラマティックな曲の展開が、見事合致している。
もう1曲の「二コ・アンド・ザ・ナイナーズ」は、レゲエ・フュージョン風の「ライド」とはまた違うタイプの、ダブやレゲエの要素を絶妙な配分でブレンドしたミディアム・ロック。マッシヴ・アタックあたりのブリストル系をリメイクしたようなサウンドが、1周まわって斬新に聴こえる。
彼らの魅力は、オルタナを基盤に、ヒップホップやダブなど取り入れ形成した、独自のセンスにある。そういった意味では、「ジャンプスーツ」よりこの 「二コ・アンド・ザ・ナイナーズ」の方が持ち味を活かせているし、楽曲的な魅力も勝る。曲間で披露するタイラーの高速ラップなんかは、ロック系のアーティストでは決して真似できないし。
この2曲を聴くかぎり、前作のテイストと大きな違いはなさそうだが、「勢いに乗って売れるアルバムを作ってやろう」というビジネスライクな感じはしない。3年以上時間をかけただけはあり、成熟もしているし、ファンの期待も裏切らない、上質なアルバムが出来上がるのではないだろうか。できれば、「ストレスド・アウト」のような、ヒップホップ感覚のタイトルもあるとウレシイけど……。
トゥエンティ・ワン・パイロッツは、本作のリリース10日後、10月16日からワールド・ツアー<ザ・バンディット・ツアー>をスタートさせる。アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ各国~イギリスを回る予定だが、残念ながら日本に来る予定は今のところない。追加公演に期待したいところ……。
Text: 本家 一成
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