2018/07/08
2018年も7月に入り1年の半分が経過した。近年の音楽セールスランキングは発売後数週間の新譜が上位にランクインする傾向にあるが、音楽パッケージソフトの中には1年以上安定して売れ続ける作品も存在する。ここでは今年の上半期において、長期間売れ続けたアーティストに焦点を当ててみよう。
対象となる作品は現在より1年前となる2017年6月30日以前に発売された音楽パッケージソフト。2018年1月1日から2018年7月1日までの販売枚数を、SoundScanJapanのデータを使って調査した。まず、全売上の中で、2017年6月以前に発売された作品の売上枚数は、アルバムが35.7%、シングルが6.3%、音楽ビデオは19.0%。シングルについては新譜の影響度の大きく、過去に発売された作品の販売枚数は、さほど多くはなかった、しかしアルバムと音楽ビデオについては発売されてから時間が経った作品も多く、特にアルバムは全市場の3分の1を占めている。
〇アルバム
2017年6月以前発売アルバムのアーティスト別販売数ランキング
(集計期間2018年1月1日~2018年7月1日)
1位 松任谷由実 70,459枚
2位 西城秀樹 56,311枚
3位 ONE OK ROCK 50,165枚
4位 米津玄師 46,001枚
5位 BTS (防弾少年団) 43,107枚
6位 中島みゆき 37,736枚
7位 TWICE 34,754枚
8位 back number 34,679枚
9位 Mr.Children 26,511枚
10位 安室奈美恵 26,291枚
1位は松任谷由実で、2012年に発売したベスト盤『日本の恋と、ユーミンと。』が46,085枚を売り上げた。松任谷由実は、2018年4月に『ユーミンからの、恋のうた。』をリリースし、初週10.2万枚を売り上げセールス・チャートで首位を獲得。その結果、過去の作品が再注目されるという結果となっている。そして2位は5月16日に亡くなった西城秀樹さんで、『ゴールデン☆ベスト 西城秀樹』21,331枚や、『ゴールデン☆ベスト 西城秀樹 シングルコレクション』20,867枚等こちらもベスト盤で販売枚数を伸ばしている。また、5位の【2018 ビルボード・ミュージック・アワード】の<トップ・ソーシャル・アーティスト賞>を受賞したBTS (防弾少年団)も『THE BEST OF 防弾少年団-KOREA EDITION-』が14,445枚、『THE BEST OF 防弾少年団-JAPAN EDITION-』が13,657枚とそれぞれ売り上げの大部分をベスト盤が占めている。
また、3位のONE OK ROCKと4位の米津玄師は上記アーティストと傾向が異なりオリジナルアルバムで販売数を伸ばしている。ONE OK ROCKは『Ambitions』15,404枚、『Nicheシンドローム』13,175枚、米津玄師は『YANKEE』24,648枚、『Bremen』16,411枚を販売しており、『Diorama』の再発売分は発売日が2017年7月5日のため集計対象外だが12,309枚売り上げている。またTWICEは集計対象が『#TWICE』のみだが7位にランクインしている。
では、次にシングルの売上結果を見てみよう。
〇シングル
2017年6月以前発売シングルのアーティスト別販売数ランキング
(集計期間2018年1月1日~2018年7月1日)
1位 乃木坂46 58,333枚
2位 欅坂46 49,973枚
3位 嵐 20,989枚
4位 AKB48 19,357枚
5位 星野源 19,302枚
6位 安室奈美恵 15,097枚
7位 関ジャニ∞ 13,958枚
8位 Hey! Say! JUMP 12,945枚
9位 Sexy Zone 12,148枚
10位 SMAP 12,031枚
1位の乃木坂46は、『インフルエンサー』12,434枚、『サヨナラの意味』7,220枚、『裸足でSummer』5,977枚、『ハルジオンが咲く頃』4,547枚を売り上げた。販売店の在庫も関係していると思われるが直近にリリースされた作品から順の販売結果となった。
2位の欅坂46は、乃木坂46とは異なる結果となり、『不協和音』17,837枚、『世界には愛しかない』12,032枚、『サイレントマジョリティー』11,193枚、『二人セゾン』8,911枚と、リリース日順ではなく、いずれも高い販売実績となった。
3位の嵐は『つなぐ』1,802枚、『I seek/Daylight』1,708枚、『GUTS!』1,152枚で、この3作品以外のシングルもほぼ3桁以上の販売を続けており、多くの作品が継続して売れ続けているという積み重ねによって、3位となっている。
4位のAKB48も『唇にBe My Baby』2,616枚、『シュートサイン』2,568枚、『願いごとの持ち腐れ』2,075枚、『君はメロディー』1,768枚の4枚を筆頭に、◎作品以上が売れ続けるという結果に。そして5位の星野源は『恋』7,080枚、『ギャグ』2,246枚、『SUN』2,011枚と、『恋』が依然として強い人気を保っていることが分かった。
最後に、音楽ビデオのセールス結果は以下の通りとなった。
〇音楽ビデオ
2017年6月以前発売音楽ビデオのアーティスト別販売数ランキング
(集計期間2018年1月1日~2018年7月1日)
1位 安室奈美恵 84,665枚
2位 嵐 45,909枚
3位 関ジャニ∞ 25,539枚
4位 Hey! Say! JUMP 25,521枚
5位 乃木坂46 22,089枚
6位 ジャニーズWEST 18,769枚
7位 SHINee 17,788枚
8位 AAA 17,619枚
9位 B'z 14,126枚
10位 ONE OK ROCK 13,934枚
1位の安室奈美恵は引退発表後に以前販売されていた各パッケージソフトの販売量が増加し、その勢いが2018年になっても持続し、特に音楽ビデオでその傾向が強く出ている。『namie amuro LIVE STYLE 2016-2017』22,288枚、『Namie Amuro 5 Major Domes Tour 2012 20th Anniversa』13,818枚、『namie amuro LIVE STYLE 2014』7,593枚、『namie amuro LIVEGENIC 2015-2016』7,434枚となっており、唯一アルバム・シングル・音楽ビデオの3形態全てトップ10に入ったアーティストとなった。また、全ての商品を合計したランキングでも1位となっている事からも根強い人気が感じられる。
2位の嵐は『ARASHI LIVE TOUR 2016-2017 Are You Happy?』11,776枚、『ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism』3,558枚、『ARASHI BLAST in Hawaii』3,162枚、3位の関ジャニ∞は『関ジャニ'sエイターテインメント』4,412枚、『関ジャニ∞リサイタル 真夏の俺らは罪なヤツ』3,582枚、4位のHey! Say! JUMPは『Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2016 DEAR.』7,184枚、『Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2015 JUMPing CARnival』5,624枚、『Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2014 smart』4,527枚といったタイトルを中心に販売を伸ばしているが、これらアーティストの特色として発売隅のほとんどのタイトルが、この半年で1,000枚以上を売り上げており、安定して新規のファンを獲得している事が読み取れる。
そして5位の乃木坂46は『ALL MV COLLECTION~あの時の彼女たち~』6,175枚、『乃木坂46 4th YEAR BIRTHDAY LIVE 2016.8.28-30 JINGU STADIUM』3,227枚の販売枚数が牽引するという結果に。他のアーティストと違い、ライブ映像ではなくMV集が最も販売数が高いという結果となった。
アルバム、シングル、音楽ビデオを合計すると(表1:http://www.billboard-japan.com/d_news/image/65172/2)、1位は安室奈美恵、2位は乃木坂46、3位は嵐、4位は松任谷由美、5位はONE OK ROCKという結果に。現在は、新譜の発売時に特典を付ける作品が多いため、一定期間を過ぎてから商品を購入しても、特典を得られないことが多い。そのため、今回分かったような新譜の時点で購買しなかった層が購入しているということは、既存のファンがよりコア化して持っていないパッケージを揃えている可能性と、新譜の時点ではファンでなかった人がファンになり購入している可能性、または過去に好きだったアーティストが話題になり、昔を懐かしんで購入するといった可能性が考えられる。そのことから、ここに挙げられたアーティストは2018年上半期においてステップアップしていると言えるのではないだろうか。
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