2018/07/04
ドレイクのニュー・アルバム『スコーピオン』が2018年6月29日にリリースされてからSpotifyが大々的に展開しているプロモーションに嫌気がさしたユーザーが返金を求める騒ぎとなっている。
Spotifyでは“Scorpion SZN”(スコーピオンの季節)と銘打ち、同社初の試みとしてドレイクをあらゆるプレイリストにフィーチャーして猛プッシュした。プロモーションが功を奏したのか、『スコーピオン』は米国内の1週ストリーミング記録をたった3日で破り、最新の米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場1位を獲得する見通しだ。
Spotify側としては元々ドレイクが同社で最も聴かれているアーティストであることから、ニュー・アルバムの発売を記念するちょっとした遊び心のつもりだったようだが、彼の音楽が含まれていないプレイリスト、例えば“Best of British”、“Massive Dance Hits”、“Happy Pop Hits”などにまで彼の顔が表示されたことから一部のユーザーから不満の声が上がった。
広告が表示されないアカウントを購入しているのに表示されたとしてSpotifyに苦情を申し立てるユーザーが続出している。RedditユーザーSchwagschwagは、Spotifyに連絡したところ1か月分の利用料を返金してもらったと2018年7月1日に音楽板に書き込んでおり、他にも返金または1か月分無料のクレジットを受け取ったユーザーが数名いる一方で、同じようにSpotifyに連絡しても返金に応じてもらえなかったと報告している者もおり、退会者まで出ているようだ。
この騒動は2014年にApple社が全てのiTunesライブラリにU2の『ソングス・オブ・イノセンス』をユーザーの承諾なしにアップロードした問題を想起させる。だが今回のSpotifyの場合、自分の興味に基づいてパーソナライズされたサービスを提供されることに慣れたユーザーの多くが、同社が突然編集に介入してきたことに裏切られたと感じたようで、Appleの例より問題の根が深そうだ。
Spotifyから正式なコメントは出ていないが、関係者によるとこうした苦情は比較的少数にとどまっており、返金の方針は導入されていないようだ。一人のアーティストが同日に複数のプレイリストをジャックするのは初の試みだったSpotifyだが、同種のプロモーションが再び行われるかは未定で、“ブラウズ”のランディング・ページにどの程度のマーケティングやアーティスト支援が適切なのかという議論が提起されたと言えるだろう。
◎Spotifyによる投稿
https://twitter.com/Spotify/status/1012579625376067584
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