2018/07/02
2018年6月24日、東京ミッドタウン日比谷内の「ビルボードカフェ&ダイニング」にて、KIRINJIによるトーク&サイン会イベント【MY TUNE, MY TIME, MY TALK vol.1 KIRINJI】が開催された。
6月13日に発売されたアルバム『愛をあるだけ、すべて』のリリース、そしてビルボードカフェ店頭ショップ内においてKIRINJIメンバーが選書・選盤キュレーター勤めたことも記念して行われた同イベント。堀込高樹、田村玄一、楠均、千ヶ崎学、弓木英梨乃の全員が登壇、司会進行はライターの油納将志氏がつとめた。
飲食店での開催ということで、まずは高樹がこの日の為に用意されたオリジナルカクテル「愛をあるだけ、すべて」を片手に観客やメンバーに向けて乾杯の音頭をとってイベントがスタート。話は今年3月29日の「ビルボードカフェ&ダイニング」のオープン時にKIRINJIメンバーがキュレーションしたCDやレコード、書籍商品の中から、集まった観客に特におすすめしたいものを紹介、各々がセレクトの理由を語るパートから開始した。
高樹は自身が選んだCDの中から新作の収録曲「ペーパープレーン」にも影響を与えたというサンダーキャットの『Drunk』や、公衆道徳のアルバムを紹介。アート・リンゼイの『Cuidado Madame』の紹介時には「なぜかセレクトが千ヶ崎くんとよく被るんだよね」と選盤の裏話を明かした。書籍では、玉村豊男の『料理の四面体』や沢木耕太郎の『流星ひとつ』、長嶋有『三の隣は五号室』の内容を説明し、観客も和やかに聴き入っていた。
千ヶ崎は「(仕入れの状況等の関係で)選ぶもの、選ぶもの、どれもNGだった(笑)」とキュレーションの苦労を明かした上で、ここ数年、ブラジルのミナス地方の若手アーティストやその関連作に注目しているとコメント。その中からジョアンナ・ケイロスとアントニオ・ロウレイロ、カート・ローゼンウィンケル等の作品を紹介した。書籍に関しては「実は、一番入れたかったのは『モモ』(ミヒャエル・エンデ作)」と作品への溺愛を明かしつつ、「お金に関するエンデの発言をまとめた一冊」として『エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと』を紹介した。
弓木は「皆さん、こんばんわ~」という挨拶で一気に会場を和ませてからトークをスタート。まずは、自身と同い年くらいのバンドだというEinar Stray Orchestraを紹介。男女混声で全員が歌って演奏するバンドということで「KIRINJIっぽいと思った」と語った。また書籍の紹介では、土岐麻子「愛のでたらめ」を紹介。「誰よりも私が一番読んでると思う」というくらい、土岐とこの一冊の大ファンであることを告白した。
田村は、セレクトした中で唯一のサントラ作である『Field of Dreams』について、ケビン・コスナー主演の同名映画はストーリーも含めて非常に面白く、音楽も良かった、と振り返った。また書籍では「タイトルに一目惚れした」という『写真集 必死すぎるネコ』を紹介。「ネコって色々なめてるんですよ」という一言から「ネコたちが本気を出すと(普段は見られない表情などが見られて)面白い」という書籍の見所を解説。そのほのぼのとした内容に会場が笑いに包まれた。またセレクトに含まれていた料理本(※仕入れの関係でショップでの取扱はナシ)の話題から、料理が得意だという音楽家として意外な一面を明かした。
楠は、自身の選んだセオ・パリッシュの『First Floor』について「何か『ものすごく退屈な思いをしたい』と思う人におすすめ」と独特の解説。「道路にかりんとうを並べていくとこういう音楽になる」とユーモラスで絶妙な比喩を加えて「退屈が好きになる、素晴らしい音楽」と締めた。また書籍ではG・K・チェスタトンの『木曜の男』について「『なんだ、これ?こんなものを書く意味があるの?』という気分になりたい人に読んで欲しい」と、こちらも普段は味わえないような気分を味わえる作品として太鼓判を押した。
その後、話題は新作『愛をあるだけ、すべて』の話題へ。5月から6月にかけて新作のプロモーション期間だったこともあり、“新作への反響”や“インタビューで訊かれた印象的な質問”など司会者からメンバーへ質問が飛んだ。
“メンバーそれぞれのお気に入りの曲は?”という質問では、千ヶ崎と弓木の双方が「悪夢を見るチーズ」を選曲。千ヶ崎は「(歌の)メロディとベースラインを先に考えて、後からハーモニー(和音)をつけた」という、ひと味変わった作曲プロセスを説明。一方、弓木は初めて千ヶ崎とコーラスを重ねたことと、千ヶ崎の作ったコブシの部分がクセになってお気に入りだと説明した。
終盤には、先行シングル『時間がない』のミュージックビデオ鑑賞を挟み、観客からのアンケートにメンバーが答えるコーナーも実施。“子供の頃になりたかった職業は?”という質問に、高樹は「漫画家」、千ヶ崎は「特になかった」、弓木は「(中学1年生まで)スポーツ選手」、田村は「コックさん」と答えた。その中で楠は「小学校1年生の時に相撲取り(力士)」と衝撃的な回答。その頃はものすごく強かったが、地元にさらに強い同級生がおり、夢を挫折したというほろ苦いエピソードも明かした。
その他メンバーそれぞれの「おふくろの味」は?”など、様々な質問やツアーへの意気込みなど話題も尽きない中、イベントは終了時刻に。最後のあいさつで高樹は「今年がKIRINJI(キリンジ)として20周年という節目の年」と報告。「20年という時間はすごく長くて、こうして活動を続けていられるのも、今日いらっしゃっている皆さんをはじめとするファンの皆さまのおかげだと思います。ありがとうございます。」と感謝の意を伝え、さらに「今回のアルバムのように、フレッシュでありつつ馴染みのある音楽が届けられたら理想だなと思います」と今後へ意欲も語ると、会場からは大きな拍手が贈られた。
飲食店ならではの親密な空気感で、終始和やかに進んだ「ビルボードカフェ&ダイニング」初開催のトークショー。終了後はメンバーが店内でサイン会を実施。ファンとの会話をじっくりと楽しみつつ、持ち寄ったグッズやCDにサインする姿も印象的だった。
◎イベント情報
2018年6月24日(日)
東京ミッドタウン日比谷「ビルボードカフェ&ダイニング」
【MY TUNE, MY TIME, MY TALK vol.1 KIRINJI】
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