2018/06/05
リアム・ギャラガーが現地時間5月11日、米ロサンゼルスのグリーク・シアターにて行った公演のライブレポートが到着した。
グリーク・シアターは、ロサンゼルスのグリフィス天文台があることでも知られるグリフィスパーク内にある伝説的野外ステージで、市が指定する歴史的文化財でもある。ソールドアウトした今宵の公演は、開場前から長蛇の列をなし、またVIP専用の入場ゲートではドレスアップした人も多数見られた。
前座を務めたのはリアムと同じマンチェスター出身のリチャード・アシュクロフト。真っ白なスーツ姿にサングラスで登場した彼に、歓声が上がる。アコースティック一本でバックバンドなしのシンプルな編成で、スポットライトがリチャードを照らすと、生成り色のエピフォン EJ200を持ちエッジの効いたストロークでソロ曲を交えつつ次々とThe Verveの「オン・ユア・オウン」「ラッキー・マン」「ソネット」「ザ・ドラッグス・ドント・ウォーク」「ビター・スウィート・シンフォニー」を演奏。プリンスのカバー「リトル・レッド・コルヴェット」ではそれまでしていたサングラスを外し、拳を振り上げギターをかなぐりエッジーなギタープレイとプリンスさながらの軽快なステップを踏み会場を大いに沸かせ次のリアムのステージに繋げた。
セットチェンジを終え、いよいよ待望のリアム登場。最前列は言わずもがな熱狂的なファンで固められ、アルバムタイトルの“As You Were”と書かれた自作の横断幕を掲げるイギリス人グループや、誰からともなくオアシスファンならおなじみのマンチェスター・シティの応援歌を歌い出しリアムを迎え入れる用意は万全だ。照明が暗転すると怒涛の歓声が波のように押し寄せてくる。「ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ」がかかるとフラッシュライトの照明が観客の興奮を煽る。割れんばかりの歓声だ。ステージ袖からバンドメンバー登場の後、リアム登場。ソールドアウトで満員御礼の客席を見渡すと「久しぶりだな。いい時間を過ごしてくれロサンゼルス! ロックンロールスター!」といいオアシスの「ロックン・ロール・スター」でライブの幕が開けた。リアムはおきまりの後ろに手を組んで歌うポージングだが、観客は初っ端からシングアロングとジャンピングで序盤からボルテージは最高潮に。
これまで以上にバンドのリズムがタイトになり、野太いリアムの声が炸裂する。サビの部分のファンとの掛け合いもバッチリ。ファンのシングアロングに負けじと、リアムは間奏になるとステージ脇のサウンドエンジニアにマイクの音量を上げろとジェスチャー。2度目のサビでリアムが観客を煽ると会場全体がこれまでにないダイナミックな光景に展開される。
出だしから観客の気持ちを鷲掴みにしたまま『モーニング・グローリー』だ。Beady Eyeからのメンバーであるジェイのギターがキーンという高音を鳴らすと一瞬緊張感を生み出し、そこから一気にハイスペックなパラレルワールドの突入。リアムは何度も「もっともっと」というようなジェスチャーで観客を煽る。ファストでラウドなアレンジを利かせまくりで観客の興奮の波状攻撃を作り出す。ビールや水がぶちまけられ2曲目で早くもエンディングに突入してしまうかのような盛り上がりだった。リアムはモニターに片足をかけ、前のめりになっている最前列のファンに手を差し出したかと思うと引っ込めたりする茶目っ気も見せた。
「グリーディー・ソウル」では、ドラムのダンの太いビートに合わせるかのように観客が足を鳴らすと、ギターのリフとベース音が体の奥底まで突き刺さるような感覚に陥る。このアップビートでハイエナジーな演奏にリアムのボーカルがユニゾンを多用し三位一体となり会場全体をゆさぶりまくる。ベテランのリアムからまだまだ攻めていくというブレない姿勢を感じられる。「ドゥー・ユー・ノウ・ホワット・アイ・ミーン?」ではブルージーな歌を聞かせる。野外ステージの最高の音響設備がさらにダイナミズムを与えていた。
ラストの「リヴ・フォーエバー」は今宵のステージを集約させたようなロックンロールがそこにはあって、オーディエンスとのレスポンスもさらに加速する。むせかえるような熱気をさらに天井知らずに煽り立てていくリアム。オアシスのカバーの連続で歴代アンセムを惜しげも無く畳み掛け観客の気持ちをつかんだままライブは幕を閉じた。
ロックンロールとは、ロックンロール・スターとは何かを再定義するようなロックの集大成のようなライブを見せつけられた今夜。ステージにはリアム・ギャラガーという心底ロックを愛するロックンロール・スターがいて、彼に魅了され続けるファンが世界中から集まり共に歌う。そこには言葉の壁も政治的なしがらみのなく、星空の下でただ一緒に歌っている。彼はその光景をステージ上から見つめ、余韻に至るかのように星空を見上げうなづきステージを去って行った。
photo & text by ERINA UEMURA
◎セットリスト:
<リチャード・アシュクロフト>
1.On Your Own (The Verve song)
2.Lucky Man (The Verve song)
3.They Don’t Own Me
4.Sonnet (The Verve song)
5.Paradise
6.The Drugs Don’t Work (The Verve song)
7.Music Is Power
8.Picture of You
9.Little Red Corvette (The Verve song)
10.Bitter Sweet Symphony (The Verve song)
<リアム・ギャラガー>
1.Rock ’n’ Roll Star (Oasis song)
2.Morning Glory (Oasis Song)
3.Greedy Soul
4.Wall of Glass
5.Bold
6.For What It’s Worth
7.Some Might Say (Oasis song)
8.D’You Know What I Mean? (Oasis song)
9.Come Back to Me
10.You Better Run
11.Cigarettes & Alcohol (Oasis song)
Encore
12.Supersonic (Oasis song)
13.Live Forever (Oasis song)
◎来日ツアー情報
【リアム・ギャラガー ジャパンツアー 2018】
2018年9月13日(木)東京・ 日本武道館
2018年9月17日(月)愛知・豊田市民文化会館 大ホール
2018年9月19日(水)大阪・Zepp Osaka Bayside
2018年9月20日(木)大阪・Zepp Osaka Bayside
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