2018/06/02
2011年のデビュー以来、2014年の解散、2016年の再始動、そして今日に至るまでアイドルシーンに様々な伝説を残してきたBiS。今春まで激動の日々を駆け抜けた5人(キカ・フロント・フロンタール、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、パン・ルナリーフィ)の物語が5月31日 渋谷WWW公演で完結、6月よりBiS1st/BiS2ndにメンバーが分かれた新体制での活動へ突入する。
<各時代のBiStory~デビューからひとつの歴史が幕を閉じるまで>
BiSには、これまで様々な時代があった。
2011年のデビュー~インディーズ時代(プー・ルイ/ヨコヤマリナ/ナカヤマユキコ/ヒラノノゾミ~プー・ルイ/ヒラノノゾミ/テラシマユフ)は電車の車両を勝手にデコレーションしたり、ストッキングをかぶってヘドバンしたり、全裸で樹海を駆け回ったり、悪魔の格好をして研究員(BiSファンの呼称)と渋谷の街を練り歩いたり、手段は選ばず注目を集めようと何でもして、その結果としてメンバーが脱退することもあった。
2012年にavexからメジャーデビューした5人(プー・ルイ/ヒラノノゾミ/テラシマユフ/ワキサカユリカ/ミチバヤシリオ)はスク水姿でダイブしたり、清純派アイドルとビンタし合ったり、24時間ライブイベントを実行したり、24時間100キロマラソンにも挑戦したり、メンバー同士の抗争を敢えて表面化したり、手段は選ばず注目を集めようと何でもして、その結果としてメンバーが脱退することもあった。
2013年に新体制となったBiSの6人(プー・ルイ/ヒラノノゾミ/ファーストサマー・ウイカ/テンテンコ/カミヤサキ/コショージメグミ)はハメ撮り疑惑動画を公開したり、スキンヘッドになって街を練り歩いたり、また100キロマラソンをやったり、食事は白飯だけの車中泊ツアーを強行したり、運営を信じられなくなったメンバーがボイコットしたり、全裸でステージに立たされそうになったり、鉄拳騒動があったり、ちょっとしたカルト集団にしか見れなくなったりしたけれど、その結果として横浜アリーナで解散して伝説となった。
2016年の再始動後の5人(プー・ルイ/キカ・フロント・フロンタール/ペリ・ウブ/アヤ・エイトプリンス/ゴ・ジーラ)はかつてのヒリヒリしたBiSらしさを踏襲しようとまた100キロマラソンをやったり、車中泊ツアーを強行したりしたけれども、どうにも勢いに乗り切れず、プー・ルイも病んじゃうし、メンバーもグループをどう盛り上げればいいか見出せず、その結果としてアヤ・エイトプリンスがGANG PARADEに異動となった。
代わりにカミヤサキがやってきて、新メンバーも加入した2017年の7人(プー・ルイ/キカ・フロント・フロンタール/ゴ・ジーラ/ペリ・ウブ/カミヤサキ/パン・ルナリーフィ/ももらんど)は個性豊かな動物園状態と化したり、坊主と白塗りでアイドルシーンのダーティーヒーロー感を滲ませたり、プー・ルイがダイエット企画に失敗して活動休止になったり、その関連でいろいろ炎上したり、かつてのBiSらしさを取り戻しつつあるように思えたが、2018年3月にBiS創始者であるプー・ルイがまさかの卒業。カミヤサキもGANG PARADEに戻り(アヤ・エイトプリンスもBiSに戻り)ひとつの歴史に幕を閉じた。
<BiSの概念を覆してみせた新時代~【BiS.LEAGUE】開幕へ>
そして、次世代メンバーのみで編成された6人(キカ・フロント・フロンタール/ゴ・ジーラ/ペリ・ウブ/アヤ・エイトプリンス/パン・ルナリーフィ/ももらんど)。具体的にどんなストーリーを歩んできたかは、先日公開したBiS現体制ラストインタビューをご覧頂けたらと思うが、
◎BiS現体制ラストインタビュー前編公開! 別れと対峙し続けた5人の物語「無駄じゃなかった、何も」 http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/63557
◎BiS現体制ラストインタビュー後編公開! 5月いっぱいで離れ離れになる5人の決意「伝説にしたいわ!」 http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/63694
このBiSはどんなグループだったかと言うと、それまでのBiSのイメージを完全逆転させるほどポジティブだった。プー・ルイとカミヤサキといったBiSの指針を失い、最初は完全なる手探り状態だったけれど、まだまだ幼いメンバーも多い個性派集団ゆえなかなか気持ちをひとつに出来なかったけれど、WACK合宿オーディションでも大苦戦を強いられていたけれど、前日に「頑張るって決めたから!」という言葉を残して居なくなってしまったももらんどとの別れに涙したりもしたけれど、近い将来にBiS1st/BiS2ndにメンバーが分かれてしまうこともあって素直にメンバー愛を口に出来なかった時期もあったけれど、そんないくらでも心折れておかしくない状況にありながら、そしてたった3か月しかない短期間体制であったにも関わらず、彼女たちは互いを励まし合い、何があろうと笑顔で前を向き、常に高みを目指し、素直にメンバー愛を表現するようにもなって、BiS史上最も明るく、笑いの絶えないフレンドリーかつポジティブなグループを完成させてみせた。言ってしまえば、BiSの概念を覆してみせた。
現体制ラストライブは、そんな彼女たちの生き様や在り方がどうやっても溢れてしまう内容だった。パンは「昨日で私がBiSに入って1年が経ちました。今日このWWWのステージで成長した姿を絶対に見せたいし、この5人のBiSを最高で残したいと思って、このステージに立っています」とメンバーたちとの絆の深さを感じさせ、アヤは「私はどこに立ちたいとかじゃなくて、どこのハコにも立ちたいと思っています。例えば、まだBiSがワンマンライブを行っていないZepp Tokyo、幕張メッセ、横浜アリーナ、中野サンプラザ、東京ドーム、さいたまスーパーアリーナ、武道館」と順不同に辿り付きたい場所を羅列し、ゴジは「BiSの力で世界幸福度を日本1位にしたいと思います。まずは日本中を、ゆくゆくは世界を幸せにできるよう精一杯頑張ります」と彼女らしいどデカい夢を掲げてみせ、ペリは「私は10人みんながオンリーワンになったときに覆したと思えます。オンリーワンということは1位です。私はみんなが1位になれる、そのときまで戦い続けます」とBiSの新たな概念を象徴するような宣言を残し、キカは「私はこれからもBiSを愛し続けます。たとえこの先、BiSのメンバーがどんなに増えて、お給料が減って(笑)、白塗りの道具が買えなくて顔がボロボロになったとしても、私はBiSの歌を歌い続けていきます」と並々ならぬBiS愛を叫んだ。
正直言ってこの5人(ももを入れると6人)のBiSは、これから先、BiSが横浜アリーナに立った旧BiSやBiSHを超えていくグループになると仮定した場合、世間に残せたインパクトが少なかった時代として語り継がれてしまうかもしれない。BiSの年表にもごく短い文章でしか刻まれないだろう。けれど、その短い文章には必ずこう刻まれる。「この6人によってBiSは大きく生まれ変わった」と。それを証明する為の戦いが今ここから始まる。2018年6月、BiS1st×BiS2ndバトルシリーズ【BiS.LEAGUE】開幕。
◎BiS現体制ラストライブ終演後コメント(隣のメンバーへのメッセージ付)
--この5人のBiSはどんなグループだったなと思いますか?
ゴ・ジーラ:楽しく活動できました!
ペリ・ウブ:心境が同じ!
パン・ルナリーフィ:1年ぐらい、困難の日々を乗り越えてきて残った精鋭です。
キカ・フロント・フロンタール:アヤがギャンパレから戻ってきてからは3か月ぐらいだけど、もう濃密過ぎて……信じられないです。「まだ3か月?」って。
アヤ・エイトプリンス:もっと一緒に居た気がします! 戻ってきてから本当にいろんなことがあり過ぎて、もう1年ぐらい一緒に活動してきたんじゃないかと思えるぐらいの絆があるし。
パン・ルナリーフィ:時空が歪んでます。
ペリ・ウブ:歪んでんだよ! 体感速度が毎回「速い、速い」と言ってるんですけど、特に速い。うん、特に速い! ウチらだけ時が流れるのが速いからどんどん老けていっちゃう。すぐババアになる。
一同:(笑)
--明日から体制が変わってしまうので、最後にひとりずつ隣にいるメンバーへメッセージをお願いします。では、まずキカからアヤへ。
キカ・フロント・フロンタール:BiSに戻ってきたアヤはすごく頼もしくなっていて、それを日々感じていて。あと、歌がすごく上手くなったなと思って……でも負けねぇ。アヤと私はこれからも同じグループだから、切磋琢磨してやっていきたいです。
アヤ・エイトプリンス:私とキカは(モーニング娘。)プラチナ期なんです。高橋愛と田中れいな。
--どっちが愛ちゃんで、どっちがれいななんですか?
アヤ・エイトプリンス:わかんないです。
--そんな適当なの(笑)?
キカ・フロント・フロンタール:私、れいなさんが良いな!
アヤ・エイトプリンス:じゃあ、私が愛ちゃん。
--では、愛ちゃんからゴジへ。
アヤ・エイトプリンス:ゴ・ジーラさん! うぇーん! 寂しいんです、とても。なんで寂しいかと言うと、ゴ・ジーラさんは私が戻ってきてとても明るくなったなと思って。ゴ・ジーラに暗いイメージを持っている人もいるかもしれないんですけど、全然そんなことなくて、いちばん明るいんじゃないかな。みんながどよーんとしているときも一人だけ明るくしてるから、それが救いになったことも結構多かったんです。だから必要不可欠な存在なんですけど分かれちゃうから……そういうゴ・ジーラの良いところを見習ってBiS2ndでがんばりたいです。好きです、とても!
ゴ・ジーラ:ありがとう。私も好きだよ!
アヤ・エイトプリンス:ゴ・ジーラとはくだらないことですごく笑える仲なので、本当にさびしいです。
ゴ・ジーラ:私の性格がすごくくだらないから(笑)。
アヤ・エイトプリンス:私もくだらないから(笑)。
--では、ゴジからペリへ。
ゴ・ジーラ:ペリたんは面白いんですよね。だから離れるのは寂しい。まぁでもきっと「ロミオの心臓」とか歌っていたらペリの顔が浮かんでくるだろうし、そうやって歌に気持ちが入れやすくなりそうだから、それは大事な別れじゃなく離れ。ペリとの離れは大事な感情を私にくれると思う。ペリはすごく頭の良い子なんで、その感じを離れて見れなくなるのはちょっと残念と言えば残念ですけど、また会えるようにがんばります。
--続いて、ペリからパンへ。
ペリ・ウブ:こいちゅとは……
アヤ・エイトプリンス:こいちゅ(笑)。
ペリ・ウブ:“だっちゅうのどうめい”という同盟を築いてるんですけど、あの……そうだなぁ。なんかBiSが1stと2ndに分かれると発表されてすぐのときにパンの対応がそれまでと変わってしまって、距離を置いちゃうようになったことに私は気がついていてツラかったんですけど、でも……なんだろうなぁ。その感情は仕方がないことだし、私も寂しかったから気持ちは分かるし………………逆にそういう風にしかできないパンが愛おしいなと思って。
パン・ルナリーフィ:愛おしい(笑)。
ペリ・ウブ:うるせーなぁ!
一同:(笑)
ペリ・ウブ:だから離れるのはめちゃくちゃに寂しいんですけど……“だっちゅうのどうめい”は不滅なんですよ。不滅だし、これからもパンとはいろんなところに行く約束もしてるし、変わらず“だっちゅうのどうめい”続けていくし、また一緒に……。ライブが一緒に出来なくなるのは寂しいなと今日ライブをやりながら思ってしまったので、絶対にまた一緒に出来る日が来ると思うんで! 今日MCで言ったんですけど、オンリーワンになったら。みんなが一番になったら分ける必要がなくなると思うんで。だから私は一番になれるように、みんなも一番になろうと努力すると思うんで、がんばります!
--では、最後に、パンからキカへ。
パン・ルナリーフィ:キカには帰り道とかよく電話をしていたんですけど、悩んだときになきながらキカに電話する恒例行事みたいなものが謎にあって(笑)、そういう……気付けば心の支えになってくれていた部分があって。私が悩んでいるときはキカも悩んでいたりして、タイミングが同じだったりして、そんなキカとの思い出の中で印象に一番残っているのは「ロミオの心臓」のラスサビ、ペリが歌っているときにキカと目が合うんですよ。合ってる?
キカ・フロント・フロンタール:うん。
パン・ルナリーフィ:それが好きというか……そのキカの目を見た瞬間にみんなとのBiSを思い出すんですよ。離れるとそれもなくなっちゃうじゃないですか。つまり寂しいんですけど、この5人じゃなくなってしまうのが。でも言うて前の7人のときも6人のときも「今がいちばん良いね」と思っていたし、そうやってどんどんどんどん更新されていくのは良いことだと思うし……でも今回の5人は本当に今まででいちばん良いと思っているので、だから1stと2ndに分かれてもこの5人を超える時期が出来たら、そこからはもうどんどんどんどん良くなっていくだけじゃないですか。それを信じて前向きに楽しく、10人全員BiSなので、その仲間たちと共にがんばっていきたいと思っている所存です。ありがとうございます。
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:sotobayashi kenta
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