2018/05/30
今年1月にソロ名義のデビュー・アルバムをブルーノート・レコードよりリリースしたばかりのドラマー/ビート・メイカー、クリス・デイヴ。近年ではアデルやジャスティン・ビーバー、ディアンジェロ、エド・シーラン、日本では宇多田ヒカルといった数々のメジャー・アーティストの作品やライブに参加し、現代最高峰のドラマーの一人にも数えられているのはファンのみならずとも知るところであろう。
そんなクリスが自身のバンド名『Chris Dave And The Drumhedz』を冠したアルバムには、ピノ・パラディーノ(b)、アイザイア・シャーキー(g)といった「ディアンジェロ&ザ・ヴァンガード」で共にステージに立つメンバーに加え、ロバート・グラスパー(p)、ケイシー・ベンジャミン(vo)、キーヨン・ハロルド(tp)、DJジャジー・ジェフといった、ミュージシャンが参加しており、ジャンルの壁を超越した唯一無二の音楽性が詰まった作品となっている。
今回のツアーには、「ディアンジェロ&ザ・ヴァンガード」でもおなじみ、ボビー・スパークス(key)、アイザイア・シャーキー(g)、さらにジーン・ムーア(vo)、ニック・マクナック(b)が参加。この日行われた大阪公演は超満員。間もなく始まるステージを待ちわびて、フロアにも高揚感が漂っていた。客電が落ち、アルバムでも使用されているトラックが流れ始める。クリスとメンバーがステージに姿を現すと、フロアからは割れんばかりの拍手と歓声が飛び交う。
「正確にリズムを刻む」という一般的なドラムの概念に捉われない、変則的かつタイトなビートに合わせ、うねりを帯びながら絡まるベースライン。鋭いギターのカッティング。ジャズを思わせるメロディアスなキーボードの旋律。いずれもがクリスの叩き出すビートの上で奔放に踊りつつ、自由に変容していく。このステージではアンサンブルやメロディが主役ではなく、クリスの叩き出すリズム、ビートこそが主人公なのだ。
ミニマムなセットに、両サイドに設置されたスパイラル・シンバルを打ち鳴らしながら、全身を使ってビートを刻むクリス。彼の演奏を目で追うも、速過ぎて全く見えないほど。それでいて時に打ち鳴らされる繊細で優美なリズム。と、次の瞬間放たれたかのように爆音のビート。破壊と再構築を繰り返しながら、発展していくそのパフォーマンスに、会場中が息を呑む。
ジーン・ムーアがボーカルとして加わり、その世界観は更に広がり立体感を帯びる。メロディアスなナンバー、エッジの効いたラップチューンなど、アルバム『Chris Dave And The Drumhedz』からのナンバーを織り交ぜ、ステージは白熱しながら進行していく。クリスが繰り出すリズムに、メンバーが如何に応えていくか。リズムとビート、メロディのまさにデッドヒートとも思える渾身のパフォーマンスに、息を呑んだ。
ヒップホップ、アフロ・ビート、ロック、さらにはジャズなど様々な要素のリズムを織り交ぜつつ、変幻自在にビートを奏でる「クリス・デイヴ」。彼の公演は5月30日、31日の2日間、ビルボードライブ東京へと続く。世界最高峰と評される彼のパフォーマンスを、ぜひこの機会に体感して欲しい。
Photo by Kenju Uyama
Text by 杉本ゆかり
◎公演情報
【クリス・デイヴ&ザ・ドラムヘッズ】
ビルボードライブ大阪
2018年5月29日(火)※終了
ビルボードライブ東京
2018年5月30日(水)~31日(木)
1st 開場17:30/開演19:00
2nd 開場20:45/開演21:30
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