2018/05/23 08:00
およそ5年振りとなるバックストリート・ボーイズの新曲「ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート(DON'T GO BREAKING MY HEART)」は、結成25周年の幕開けらしい、華やかなエレクトロ・ポップ。ピアノのイントロで静かに幕を開け、色香醸すニックのソロ・ヴァースから5人のハーモニーが重なるブリッジ、そして煌びやかなコーラスへと繋げる、非の打ちどころのない展開。ニックとは対照的な、A.J.のソウルフルなソロ・パートも良い。
初期のヒット曲「クィット・プレイング・ゲームズ」(1996年)や、「オール アイ ハフ トゥ ギブ」(1998年)などのソフト&メロウとは全く違うタイプで、ザ・チェインスモーカーズやゼッドあたりを意識した哀愁系エレクトロ・サウンドは、彼らのカラーに“ピッタリ”とは言い難いが、流行を取り入れ、衰えない若さをアピールした…という視点からみれば(聴けば)、ファンキーで高密度なジャムへの挑戦は「アリ」だと思う。
“衰えない若さ”といえば、ミュージック・ビデオで披露したフォーメーション・ダンスだ。そもそもダンス・グループではないし、この曲でも本格的なパフォーマンスをしているワケではないが、軽やかなステップと見事に揃ったルーティンには驚かされる。というのも、40歳になったA.J.はじめ、ブライアン(43)、ハウィー(44)、一番若いニックでさえもう38歳。歳年長のケヴィンにいたっては46歳とアラフィフ…にもかかわらず、ダンスを披露するのは1999年の大ヒット曲「アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ」以来、20年振りだという。若干ふっくらしたメンバーもいるが、体系を維持する彼らのプロ意識も見逃せない。
このビデオは、マドンナやマイケル・ジャクソン、クリス・ブラウン等スーパースターを手掛けたプロダクション=リッチ+トーンが担当。楽曲のソングライターには、カイゴやジェニファー・ハドソンなどのヒット曲で知られるロンドンの音楽プロデューサー=ジェイミー・ハートマンと、全米アルバム・チャートでNo,1に輝いたケシャの新作『レインボー』(2017年)に楽曲提供した、スチュアート・クライトンというイギリス出身のミュージシャンがクレジットされている。当初はマルーン5に書かれた曲だった、という噂も…
タイトルからもお分かりの通り、「振り回したりしないで、僕を悲しませないで欲しい」と歌う、スタンダードな“切な系”ラブソング。これまでのバックスらしからぬサウンドとは対照的に、歌詞は良い意味で変わらない、彼等らしい内容になっている。SNSに投稿されたコメントなどをみても、評価は上々。完璧に近いカムバックになったのではないだろうか。
1993年結成。1995年にシングル「ゴーイン・オン」でデビューし、同曲や前述の「クィット・プレイング・ゲームズ」(全米/全英2位)などを収録したデビュー・アルバム『バックストリート・ボーイズ』(1995年)は、ダイヤモンド・アルバム(1000万枚)に認定される大ヒットを記録した。日本でもミリオンセラーに輝いた2nd『ミレニアム』は全世界で3000万枚を売上げ、2013年の8thアルバム『イン・ア・ワールド・ライク・ディス』まで、全作が全米アルバム・チャート(Billboard200)でTOP10入りという快挙を達成している。
新曲「ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート」は、今年後半に発売予定のニュー・アルバムからの先行シングルと報じられているが、具体的な詳細は明らかになっていない。夏から秋にかけては、米ラスベガスでの公演が決定しているため、そのタイミングに合わせてリリースされるのかも?Text:本家一成
◎配信情報
バックストリート・ボーイズ「ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート」
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