2018/05/01
2015年8月にリリースしたデビュー曲「ホワイト・アイバーソン」が、米ビルボード・ソング・チャート(HOT100)14位、R&B5位/ラップ・チャート3位をマークし、その名を轟かせたポスト・マローン。マック・ミラーやウィズ・カリファが絶賛したのもヒットを後押ししたが、ここまでのビッグ・スターになると予想していた人が、どれだけいるだろうか。
正直、一発屋で消えていくと予想していた矢先、「コングラチュレーションfeat.クエヴォ」が初の全米TOP10入りを果たし(最高8位)、両曲が収録されたデビュー・アルバム『ストーニー』は現在までに米ビルボード・アルバム・チャートで最高4位をマーク、2017年の年間チャートでは7位にランクインするロング・ヒットを記録した。本作からは、「アイ・フォール・アパート」もR&Bチャート9位/ラップ・チャート8位まで上昇し、チャートを荒らしている。
勢いが加速する中、同年9月に発売した「ロックスターfeat.21サヴェージ」が8週1位を獲得し、全米・全英チャートの他、オーストラリアやカナダ、ニュージーランドなどの主要国でも自身初のNo.1を獲得。その「ロックスター」に続き、今年2月にリリースした「サイコfeat.タイ・ダラー・サイン」も2位に初登場し、2曲連続のTOP3入りを果たしたところでリリースされたのが、本作『ビアボングス&ベントレーズ』だ。
自身のルーツである“ロック”界のスーパースターに扮し、金やドラッグ、女性への卑猥な暴言を淡々と喋るように繋いでいく「ロックスター」、同曲をさらにスロウ・テンポにした、狂気を感じる中毒性の高い「サイコ」。どちらも独自の音楽性とセンスが光る傑作で、この2曲の他にも、攻撃的ながら卑猥な色が滲むポスト・マローン“らしい”タイトルが揃っている。
「ノー・リミット」の大ヒットが記憶に新しいG・イージーとYGがコラボした「セイム・ビッチーズ」、高らかに叫ぶ「リッチ&サッド」、リップロールを使った「ターキン・ショッツ」、ニッキー・ミナージュの高速ラップとキレっキレのフックが頭を駆け巡る「ボール・フォー・ミー」、腹に響く重量級の「オーバー・ナウ」といったヒップホップらしいハード系から、「ホワイト・アイバーソン」を下敷きにしたような「ザック・アンド・コデイン」、ドレイクの「ホットライン・ブリング」(2015年)に酷似した「ベター・ナウ」~「92 エクスプローラー」など、ボーカル・パートをメインとしたR&B寄りのミディアム・チューン、それから、独特なリズムを刻む「アザーサイド」や、フレンチ・モンタナの「アンフォゲッタブル」で再注目された、レイ・シュリマーのスワエ・リー参加の「スポイル・マイ・ナイト」といった、ワールドっぽい要素を含んだタイトルなど、静と動がバランス良く組み込まれている。
すっかり毒素の抜けたポップ・チューン「キャンディー・ペイント」や、輪郭のはっきりしたメロディの「シュガー・レイス」、さらにはフォーク・ギターの弾き語り「ステイ」のようなメロウ・チューンまであり、もはやラップ・アルバムとは思えないナンバーも収録されていて、ハードロックやメタル、R&B~ヒップホップまで、様々な音楽からインスピレーションを受けたことを象徴的に示したアルバムといえる。度が過ぎるほどの卑猥なリリックは、ラッパーらしい、が……。
プロデュースは、カミラ・カベロの「ハバナfeat.ヤング・サグ」やセレーナ・ゴメス&マシュメロの「ウルヴス」を今年大ヒットさせたアンドリュー・ワット、同月全米No.1デビューを果たした、ザ・ウィークエンドの新作『マイ・ディアー・メランコリー、』を担当したフランク・デュークス、ドレイクやリッチ・ギャングなど人気ラッパーを手掛けるロンドン・オンダ・トラック、ビヨンセの「ベイビー・ボーイ」(2003年)~50セントの「キャンディ・ショップ」(2005年)など、2000年代前期にヒットを連発したしたスコット・ストーチが担当。
ポスト・マローンは、現地時間2018年5月20日に開催される【2018 ビルボード・ミュージック・アワード】で、<トップ男性アーティスト賞>など計13の賞にノミネートされている。また、本作を引っ提げて7月27日から開催される【FUJI ROCK FESTIVAL '18】にも出演予定。その前に、本作が全米No.1を獲得することは間違いない。話は逸れるが、このヤッツケにも程があるジャケ写は、どういった意図があるのだろう……。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
『ビアボングス&ベントレーズ』
ポスト・マローン
2018/4/27 RELEASE
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