2018/04/24 11:00
ニュージーランド・ハミルトン出身。今年(2018年)の3月で28歳になったばかりのキンブラは、わずか10歳の頃から曲を書き始めたという。2000年には競馬場、2002年にラグビーの会場で国家を歌い、ギターのレッスンを受け、ステージに立ち、合唱団のメンバーとして参加するなど、幼少期からデビューに至るまで音楽一色の生活を送っていた。
2007年には、 彼女の2枚目のシングル「Simply on My Lips」で<ベスト・ブレイクスルー・ミュージック・ビデオ>を受賞。2010年リリースの「Settle Down」を経て、翌2011年に発売されたのが、彼女の名前を全世界に知らしめたゴティエの「サムバディ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ノウ」だ。彼女がフィーチャリング・ゲストとして参加した同曲は、翌2012年の米ビルボード年間チャート(HOT100)で1位をマークし、同年の【ニュージーランド・ミュージック・アワード 】では<Album Of The Year>を含む5つの賞を受賞している。
本作『プライマル・ハート』は、デビュー作『Vows』(2011年)、前作『ザ・ゴールデン・エコー』(2014年)に続く通算3作目のスタジオ・アルバム。 エリカ・バドゥやラナ・デル・レイなど個性派を手掛けるジョン・コングルトン、 ポップ・シンガーのショーン・メンデス~大ブレイク中のラッパー=ポスト・マローンまで幅広いアーティストをヒットさせたアンドリュー・モーリー、そして先行シングル「Top of the World」などを担当したスクリレックスがプロデュースしている。
その「Top of the World」は、スクリレックスらしからぬ(?)サイケデリック・ビートに乗せた妖艶な彼女のボーカルが絡み合う。彼女の敬愛するビョークっぽさもあり、本作の中でも特に完成度が高い。リスペクトするアーティストには、 ビョークの他にもスティービー・ワンダーやレディオヘッド、エイミー・ワインハウスなど、様々なジャンルのアーティストがいるようで、確かにレトロなソウル~ロックを再現した「Recovery」や「Human」はエイミーっぽい泥臭さがある。
対照的に、宙に舞うハイトーンにいつまでも浸っていたくなるスペイシーな「The Good War」や、タイトルが目に浮かぶ「Black Sky」~「Right Direction」、フロアライクな 「Lightyears」など、エレクトロ・ポップも優秀。「Like They Do On the TV」あたりは若干サウンドが軽すぎる印象を受けるが、そこをキンブラの持つボーカルの力強さでカバーしている。エレポップだがソウルフルに歌う「Everybody Knows」も、彼女のボーカル・ワークが発揮された1曲。どの曲も違うアーティストが歌っているかのような、様々な顔を持つキャラの立ったキラー・チューンが並ぶ。
本作を制作する前には、米ニューヨークへ引っ越しや旅をしたりして、今の自分と向き合い、今後はどういう活動をしていくべきか模索していたと話しているキンブラ。迷いを感じる要素がなかったのは、その答えが出たからだろう。「ハングリーなアルバムにしたかった」と断言した通り、成長がみられる意欲作に仕上がっている。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
『プライマル・ハート』
キンブラ
2018/4/20 RELEASE
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