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2018/04/20

paionia、Sentimental boys、灰色ロジック【年輪】で魅せた音楽の本質

 2018年4月8日 吉祥寺WARPにて、paionia、Sentimental boys主催イベント【年輪】が開催された。

 本イベントは、第1回が2017年11月26日 下北沢GARAGEにて、paionia、Sentimental boysの2マンイベントとして開催されたが、今回は、灰色ロジックをゲストに迎えた3マンイベントとして開催された。

 「トップ、僕らが務めさせていただきます。よろしくお願いします。」と、【年輪】の幕を上げたのは、paionia。朝焼けの如く雰囲気たっぷりに「未明の将来」が始まると、観客の聴覚が一気にステージに集中するのが手に取るように感じられた。高橋勇成(g,vo)の感情にリンクした浮遊するギターに、菅野岳大(b,vo)の奇想天外ながらも確実に高橋の声を押し出すベースライン、自由に音を奏でる2人を指揮するサポートドラマー佐藤謙介。3人が紡ぎ出す“生歌”は、ドキュメンタリー映画を見ているかのような、リアリティに溢れた作品だ。気の利いたMCやド派手なステージングも必要とせず、伝えたい“言葉”を純粋なプレイのみで伝える音楽の本質を地で捉えたライブは、近代ロックシーンの中で異彩を放つ貴重な存在だろう。終始ノスタルジアでグッドメロディなライブを届けてくれたpaioniaは、6月6日に1stフルアルバム『白書』をリリースすることを発表した。結成から10年という月日を経て放たれる今作とともに、paioniaの研ぎ澄まされた説得力がどのように広がっていくのか、ぜひ注目してほしい。

 2番手に登場したのはゲストとして招集された灰色ロジックだ。彼らは、paionia、Sentimental boysのライブに足繁く通う、所謂2バンドの“ファン”だった。地元つくばのライブハウスPARKDINERで臨時スタッフとして働く深谷(dr)は、Sentimental boysがPARKDINERに出演した際に「働かせてくれ」と懇願し照明を担当(詳しくは3バンド対談で語られている(http://bit.ly/2Iz4au7))、paioniaのシングル『正直者はすぐに死ぬ』をメンバー3人がそれぞれ1枚ずつ買い、それぞれがツイートする……と語りだすとキリが無いほど、両バンドへの愛に溢れている灰色ロジックだが、その愛が形になったのが【年輪】への出演であり、本イベントでの純粋無垢なライブだろう。「一生懸命やるんで、どうか最後までよろしくお願いします。」と一言添えて始まった彼らのステージは、普段の若々しくも不器用な姿では無く、どこか大人びた堂々しさを感じさせつつ、各メンバーが全身全霊で楽曲と向き合っていた。「モーニング」、「知らない街」といったライブ定番曲も、いつもより壮大なスケール感を創出し、フロアを優しく包み込んで行った。「いつか地元つくばでこの3マンを実現したくて、その時にSentimental boysのカバーをやりたいから、今日はpaioniaのカバーだけにしました。」と、paioniaの「彼女の握る手」をカバーするなど、さらに両バンドへの愛を重ねていく。“夢”が“現実”へと成った瞬間に浮かれずに、喜びを噛みしめる如く届けられた楽曲たちで、観客達の心を鷲掴みにした。

 そして、3番目に登場したのは、Sentimental boys。「ここではないどこか」でステージに灯をともした。艷やかな歌声、複雑ながらも美しく絡み合うディレイの音色、夕暮れの帰り道を想像させる優しくも儚いリズム隊のグルーブで、観客がそれぞれ持つ“哀愁”の先にある感情を照らすべく、淡く光を落としていく。「“音楽”が持つ不思議な力を“音楽”で伝える。」といったプレーンだが本質を捉えた姿勢が、彼らのステージからは解き放たれていた。流れる暖かく心に響く音に、観客の表情も悲しげな人もいれば優しい笑顔を見せる人もいる、そんな色々な感情が入り乱れる、まさにセンチメンタルなステージで魅せてくれた。なお、5月30日に両A面シングル『ここではないどこか / 夜明けの夢』をリリースすることが同ライブで発表された。1年ぶりの新作はオープンリールを用いたアナログ録音となっている。さらに、6月22日 下北沢BASEMENTBARにて同作のリリースパーティー【ニュー・ナイト・トリップ】を開催することも発表した。

 アンコールではpaionia、Sentimental boysの混合メンバーで本イベントと同タイトルの「年輪」を披露。このイベントに関わった全ての人を肯定するかのような同楽曲は、【年輪】のエンドロール。もちろん灰色ロジックから半田(vo.g)も登場し、大サビでは3バンドのフロントマンによる3声が響き渡り、大団円となった。

 paionia、Sentimental boysの新作リリースに加え、灰色ロジックの次の夢でもある地元つくばでの同3マンの実現と、【年輪】を経て見えた次のステージ、期待は高まるばかりだ。


撮影:Jumpei Yamada(灰色ロジック)、
内山直也(paionia、Sentimental boys)


◎リリース情報
paionia 1stフルアルバム『白書』
2018/6/6 RELEASE
GNSP-003 2,500円(tax out.)
収録曲:
1.バックホーン
2.田舎で鳴くスズメ
3.暮らしとは
4.左右
5.正直者はすぐに死ぬ
6.the great escape only with love and courage
7.誰かのろまん指定都市
8.サニーハイフレット
9.after dance music
10.規則
11.跡形
12.フォークソング

Sentimental boys 両A面シングルシングル『ここではないどこか / 夜明けの夢』
2018/5/30 RELEASE
500円(tax out.)
収録曲:
1.ここではないどこか
2.夜明けの夢

◎ライブ情報
2018年5月14日(月)西荻窪FLAT
杉本惠祐 presents【たかが数字、されど三十路】※弾語り
出演:高橋勇成(paionia)/ 杉本惠祐(ドキュメンツ)/ 山田エリザベス良子

2018年5月27日(日)つくばPARKDINER
灰色ロジック、ILL WILL presents【NOW】
OPEN 17:30 START 18:00
出演:ILL WILL / ソウルフード / 灰色ロジック
チケット:前売 2,000円 / 当日 2,500円(別途1D500円)

2018年6月6日(水)下北沢SHELTER
リーガルリリー3rdミニアルバム『the Telephone』レコ発【遠距離恋愛ツアー】
出演:paionia / リーガルリリー
※チケット4月28日(土)一般発売

2018年6月22日(金)下北沢BASEMENTBAR
Sentimental boys『ここではないどこか / 夜明けの夢』release party
【ニュー・ナイト・トリップ】
出演: Sentimental boys 他

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