2018/03/05
前回のジャパン・ツアーでは、来場のレイディースがジョーとの2年振りの逢瀬に悦びを隠さず、ジョーもまた愛情を真っ向受け止めひとりひとり悦ばせていた、とてつもない濃厚なステージだったのは、kelpieさんによるライブレポでかいつまめる。
あれからちょうど1年、早くも日本のレイディースのもとに戻ってきたジョーの初演は、日曜夕方のショウとあってか、家族連れの姿もちらほら見かけ場内のフレグランス強度やや抑えめも、いつも通り艶っぽい装いのレイディースが半数以上を占める。
多少長めのイントロのあと、ジョーが袖から姿を現わすとレイディースの黄色い歓声が場内を包み、ひとりヴァージョンの「Love & Sex Part 2」でショウの幕が開く。ジョーは紺のジャケット、黒のフォーマルパンツ、上2つ分ボタンなしで胸を軽くはだける仕立ての黒シャツという、お馴染みのスタイリングだ。バックの面々もフォーマルスタイル、そして全員ボウタイ着用。
2曲目に「Don’t Wanna Be A Player (Still Not A Player)」。ジョーのショウを経験してきたレイディースならば文字面だけで「わぁ、もう立ち上がっちゃうの!」と連想するだろうが、この日のジョーは煽らずにジワジワとグルーヴしてゆき、そしていつも通り、振りをつけても背筋がビシっとしている。ジョーがスタイリッシュに映える理由はそういったところなのだろう。
その後も代表曲をほどよい熱量で披露したあと、サングラスを外し「1993年のデビューから25年レコーディング・アーティストとして続けてきたよ」と軽くMCを挿入、「I’d Rather Have A Love」を。前回のステージは[Jive]期ヒット曲網羅だったのに対し、今回の絶対のお楽しみどころはそれらより近年の、よりマーヴィン・ゲイらのテンダーなテイストを今に受け継いだ[Kedar]~[Plaid Takeover]期からの選曲も散りばめられている。この曲を歌うときもそうだが、ジョーは会場のあちこちに目配せし、指差して手を振るものだから、指されたエリアのレイディースはそのたびそれに応え、歓声を送る。
「Let’s Stay Home Tonight」でこの日初めてオーディエンスとのスキンシップ、それも握手から。続く「Ride Wit U」でようやくスキンシップのエンジンがかかり、定番のメイズ「Before I Let Go」でKappaさんのギターも唸りを上げ、バンドの演奏熱量が1ランク・アップ、曲間ではジョーもロジャー・ラビットをスタイリッシュに披露。
場内がようやくあったまり始めたところに「If I Was Your Man」のイントロが奏でられると、この日1、2を争うレイディースからの歓声。最前列のレイディースが立ち上がり始め、ジョーもその熱量を感じてかシンガロングを試みる。「Stutter」で、ジョーのショウではお馴染みの、レイディースからの真紅バラ贈呈。ジャケットを脱ぎ、ここでようやくこの日初の、レイディースとの温かい抱擁が。
MCを挟み椅子にかけ、アコースティック・ギターを手に3曲を披露。シンガーとしてのスタイルが割と近いベイビーフェイスもそうだが、ジョーもまた味のある爪弾きをする。これを自宅で、目の前のたったひとりのために披露されたらレイディースはたまらないだろう。ジョーは「No One Else Comes Close」を歌い終えるや、実にさりげなく、汗を拭いたタオルを最前列のレイディースに手渡す。渡されたほうは自分が特別な存在として選ばれた悦びを抱くのではないだろうか。
弾き語り後もムーディーなナンバーを揃え、Kappaさんのギターを合図にジョーのマスターピース『All That I Am』(‘97)からの甘美極まるバラード三連打を畳み掛ける。場内のレイディースからの「I Love You!」の掛け声に「I Love You More」と即答するそのアティチュードが、ひとたびジョーの魅力を知ってしまったレイディースが愛情を抱き続ける理由なのかもしれない。
前回はスターターに選んでいた、現時点での最新作『#mynameisjoethomas』から唯一のチョイス=アデル「Hello」を終盤に配した辺りにジョーのこの曲に対する思い入れがはかられ、実際にステージ中最も込み上げ、蒼き炎を焚き上げる。そこまでエモーショナルな己を現してしまえば、残すはもうあの曲しかない。ジョー最大の代表曲「I Wanna Know」。「みんな一緒に歌ってくれ」と促されれば、アリーナ席はほぼ総立ちで応える。定番の、アイズレー・ブラザーズ「Footsteps In The Dark」とのメドレー仕立てで袖に引き揚げようとするも、ひとりにサインをしたら次々とせがまれ、ようやく袖に下がり、客電が灯ってオーディエンスは夢見心地から現実世界に帰還する…。
結論。前回がお互いの求め合うパッションを確かめあう付き合いたてのカップルのようなステージだとすると、今年はお互いの愛情度合を把握のうえ理性をもってじっくり温め、高めあってゆくマチュアなステージ。「大人の疑似恋愛」を味わいたいレイディースにぜひお薦めしたい。
Text: yoshi-p
Photo: Masanori Naruse
◎公演情報
【JOE】
2018年3月4日(日)※終了
ビルボードライブ東京
2018年3月5日(月)
ビルボードライブ大阪
1st 開場17:30 開演18:30
2nd 開場20:30 開演21:30
2018年3月6日(火)
ビルボードライブ東京
1st 開場17:30 開演18:30
2nd 開場20:30 開演21:30
詳細:http://www.billboard-live.com/
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