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2018/03/02

ネットから火が付き米チャート上昇中、ユニークな詞&美しい旋律に浸る / 「マイン」Bazzi(Song Review)

 Bazzi(バジ)は1997年生まれ、現在20歳のシンガー・ソングライター。動画共有サービス“Vine”で注目され、2016年にシングル「アローン」でデビュー。同年12月には、Funというアーティスト(バンドではない)の「ファンシー・カーズ」という曲にフィーチャーされ、翌2017年には「ソーバー」、「ビューティフル」の2曲をリリース。「マイン」は、それに続く通算4曲目のシングルで、同年10月の発売以降、徐々に人気が拡散し、2018年2月3日付米ビルボード・ソング・チャート(HOT100)で56位にデビューした後、1か月後の3月3日付では18位まで急上昇している。

 ヒットしたキッカケは、写真共有アプリSnapchatやツイッターなどのSNS、動画投稿サイトYouTubeから。この曲のヴァース1「You so fuckin' precious when you smile(君の笑顔、超カワイイ!)」という歌詞に乗せて、一般ユーザーが動画を投稿しまくっていることが、ストリーミングの増加に繋がった。ダンス動画でブレイクしたサイレントの「ウォッチ・ミー」(2015年)や、マネキン・チャレンジから火が付いたレイ・シュリマーの 「ブラック・ビートルズ」(2016年)など、ここ最近はスマホに投稿できる“ネタ”からヒットするケースが増えている。まさに、現代を象徴するプロモーションだ。

 ただ、ヒットしているのは「投稿しやすいネタだから」だけではないだろう。ユニークな表現で綴られた優しさ溢れる歌詞の世界観から、メランコリックなスロウ・ジャムと、文句のつけどころのない美しい旋律。ベースはシンセポップだが、R&Bのようでもあり、ラップのような歌い回しからヒップホップ的要素も感じられる、ジャンル分けできないBazzi独特の音楽性、全てが素晴らしい。聴き心地の良いロマンティック・メロウにずっと浸っていたいのに、2分弱であっさり終わってしまうのが残念なところではある。これも、ストリーミング時代を象徴した作りか。

 2018年1月31日に公開されたミュージック・ビデオも、クオリティが高い。ファンタジー映画に登場するような逆さの塔や、生体細胞のアップ、女性の裸体から花を咲かせたり、首の下から手が伸びてくる映像など、それぞれのシーンは不気味だが、美しい配色と残像効果でアートタッチに描かれているため、いやらしさや気持ち悪さは全く感じない。むしろ、見事過ぎて見入ってしまう。アイドルシンガーのように整った顔立ちと、それに比例したBazziの甘いボーカルも最高。

 米ミシガン州ディアボーン生まれ、レバノン系アメリカ人。高校卒業後、単身米LAに移住し音楽活動をスタートさせ、ネット(スマホアプリ)を利用してアメリカン・ドリームを実現させた。2018年1月には、トラップのようなミッド・チューン「ホワイ?」、2月にはザ・ウィークエンド流のオルタナティブR&B「ゴーン」を立て続けにリリースしている。大ヒット中の「マイン」をはじめ、これまでリリースしたシングルがどれも素晴らしく、早くデビュー・アルバムが聴きたい……。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
「マイン」
Bazzi
2017/10/12 RELEASE

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