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2018/02/06

全米1位獲得!2018年も勢い衰えないドレイクの最新作 / 『スケーリー・アワーズ』(EP Review)

 2018年1月19日にサプライズ・リリースされた、ドレイクのEP盤『スケーリー・アワーズ』。EP盤といっても収録されたのはたった2曲で、マキシではなく、いわゆる8cmシングルCD(パッケージ)のような感じか。

 そのメイン(A面的な役割?)タイトルである「ゴッズ・プラン」が、2018年2月3日付の全米HOT100チャートでNo.1デビューを果たし、ストリーミング・サービス=スポティファイとアップル・ミュージックで、1日に再生された回数の新記録を打ち立てた。日本では珍しくないが、全米チャートでの初登場1位は、ビルボード史上29曲目の快挙。

 「ゴッズ・プラン」は、ドレイクを中心に、通算9週のNo.1をマークしたリアーナとのデュエット曲「ワーク」(2016年)や、昨年のヒット曲「コントローラ」等を手掛けたボーイ・ワンダ、ケンドリック・ラマーやトラヴィス・スコットなどの仕事で人気急上昇中のカードー、そしてドレイクの作品には欠かせない存在となった、同郷トロントの音楽プロデューサー=ノア“40”シェビブが、楽曲を制作・プロデュース。40は、同曲の歌詞の中にも登場する。

 近年流行しているトラップでもなく、ハードコアでもなく、自身最大のヒット曲「ワン・ダンス feat.ウィズキッド&カイラ」(2016年)や「パッションフルーツ」(2017年)のようなトロピカル・チューンでもない。これまでの作品だと、デビュー曲「ベスト・アイ・エバー・ハッド」(2009年)や「ホットライン・ブリング」(2015年)のような、ラップと歌を絡ませたドレイクらしいナンバーで、面白味はないが聴きやすく、ヒップホップをクロスオーバーして、幅広い層に受け入れられそうな曲ではある。グルーヴの軽いサウンドとは対照的に、“神の計画”と題した歌詞は、自身のサクセス・ストーリーから「誰かが自分を潰そうとしている」などのネガティブな要素、宗教的内容も含み、重い。 

 また、2曲目(カップリング的な?)の「ディプロマティック・イミュニティ」も、同日のチャートで初登場7位にデビューし、通算22曲目の全米TOP10入りを果たした。この記録更新で、ラッパーとしてはジェイ・Zの21曲を抜いて歴代最多となり、全アーティストの中でも13位タイに並んだ。

 「ディプロマティック・イミュニティ」は、90年代の東海岸を彷彿させるクールな1曲。淡々とラップするスタイルが、ジェイ・Zをニオわせる一面も……。そのジェイ・Zは、昨年11月にドレイクの地元カナダでライブを行った際、ドレイクの「ノウ・ユアセルフ」を引用してラップを披露していたが、DJキャレドの「シャイニング」ではディスられたりと、不仲説も囁かれている。ラップ界のトップに君臨する両者だけに、ライバル視するのも無理はないが、「ディプロマティック・イミュニティ」を聴くかぎり、アーティストとしてはリスペクトしているのではないか、と……。

 この2曲はEP盤『スケーリー・アワーズ』として完結させるのか、はたまた、次のアルバムに収録される先行シングルとして扱われるのか。なにはともあれ、2018年第一弾シングルが全米1位を獲得し、今年もドレイクの“落ち目”がまったく感じられない。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『スケーリー・アワーズ』
ドレイク
2018/1/19 RELEASE

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