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2017/12/31

大塚 愛 安室ちゃんの影響で引退諦める!? 娘も「絶対辞めちゃダメ」そして救世主になる楽曲制作へ……デビュー14周年総括インタビュー公開

 大塚 愛のデビュー14周年を記念して実施してきた、14年間のインタビュー掘り起こし企画。その最終回となる第9弾は掘り起しではなく、12月に都内某所で行った最新インタビューだ。2017年の総括、そして今後の活動のキーとなる話をこれまた赤裸々に語ってくれた。

--2017年は大塚さんにとってどんな年でした?

大塚 愛:半分ぐらい憶えてないです(笑)。9月ぐらいまでの記憶がない。あと、毎年この時期になると忙しくなって苦しめられるので、来年はもうやめてほしいなと。〆切系はイヤです。

--大塚さん、〆切なかったら何も出さない可能性あるじゃないですか(笑)。

大塚 愛:安室ちゃんが引退すると9月ぐらいに発表したじゃないですか。なんてことを言ってくれたんだ?と思って。そんなに格好良く引退されたら「引退する」って言いづらくなっちゃうじゃないですか。

--ちょっと待って下さい。引退しようと思っていたんですか?

大塚 愛:また転職先を探していて……

--またですか(笑)?「歌うことがまた楽しくなってきた」と仰っていましたよね?

大塚 愛:あ、それはもう終わりました! それで「ダメだぁ」と思っていたら安室ちゃんが引退発表するもんだから「なんでこのタイミングで!?」みたいな(笑)。

--安室ちゃんの引退は寂しいですが、そのおかげで大塚さんの引退が阻止できたのならよかったです。

大塚 愛:いや、困ります! 安室ちゃんにあんなに格好良い引退されたら……(笑)。どうしよう? 私がおんなじことやったら大変なことになっちゃうから困ってる途中なんですけど、安室ちゃんが次何かやるなら私もそこに居れてほしい。

一同:(爆笑)

大塚 愛:「私もお願いします! 転職先がないんで!」って。

--謎の展開過ぎますよ(笑)。まぁでもこれで続けていく方向になった訳ですね。

大塚 愛:参ったな。

--話を戻します。2017年は大塚さんにとってどんな年でした?

大塚 愛:アルバム『LOVE HONEY』に取り掛かっていた時期が長すぎて、いつリリースしたのか分かんなくなっちゃって「あ、今年だっけ?」みたいな。もっと前の話だったような感じもして。だけど『LOVE HONEY』のツアーは「あ、ライブっぽい!」と思えたんですよね。プロの皆さんのおかげなんですけど、最終的に「一体感ってこういうことなんだな」と感じるライブが出来たんです。だから「あ、ライブって楽しいんだ」と思えて、その流れで夏フェス【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017】【情熱大陸ライブ2017】にも出たんですけど、特に【情熱大陸ライブ2017】では「あんなに肩の力を抜けたライブは今までないんじゃないか」と思うぐらい良いライブが出来たんですよ。アウェイ過ぎて最初から気合を入れるのはやめようと思ったんです。頑張っても空回りする気がしていたので。そしたらすごく力が抜けて、レコーディングに近い状態でライブが出来たんですね。そしたら葉加瀬太郎さんからも「面白いね!」と言ってもらえて「またどこかで」という話も出来たんです。

--すごく良い流れじゃないですか。

大塚 愛:でもその後の【LOVE IS BORN ~14th Anniversary 2017~】でまた「あれ?」って(笑)。LIVE DVD & Blu-ray / LIVE CD『LOVE IS BORN ~14th Anniversary 2017~』のミックスをやっているとき、自分のレベルの低さに気付いてしまって(笑)。

--いやいやいや(笑)!

大塚 愛:で、安室ちゃん引退発表、再就職どうしよう? という流れです(笑)。

--振り出しに戻った! というか『LOVE IS BORN ~14th Anniversary 2017~』、良いところもたくさんあるでしょ?

大塚 愛:映像が綺麗です。最新の技術は凄い。

--では、映像作品としては観てほしい作品なんですよね?

大塚 愛:そうですね。主役の人がちょっと悪いけど(笑)。

--いや、大塚 愛の作品ですから! なんでそんなに自分自身に対して「違うな」と思ってしまったんですか?

大塚 愛:うーん……………………「なんか足りないんだよな、この人」って感じ。やっぱり歌に対しては思うところがたくさんあって……歌も顔も悪い!

--そんなことないと思いますよ。

大塚 愛:イラっとするんですよ! 自分が笑ったりすると「何、この顔?」ってなる。生理的な感じで……

--どれだけ自分の顔が嫌いなんですか(笑)。

大塚 愛:私が見てこれだけイラっとするんだから、普通の人が見たらもっとイラっとするかもしれないじゃないですか。

--別にイラっとしないですよ。

大塚 愛:あと、私は音楽好きの記者の人に叩かれやすいんですよ。「あ、また叩かれてる!」みたいな。あの記者の人、誰なんだろう? 電話してみようかな?

--それも相手しなくていいです(笑)。ちなみに『LOVE HONEY』は今の自分のままで成立する感じだったんですか?

大塚 愛:『LOVE HONEY』は自分らしさみたいなモノで出来たアルバムで、すごく満足度が高かったんで「これをライブでやるのは楽しみだ!」と思っていたんです。実際、楽しかった。でも【LOVE IS BORN】は昔からのモノも合作するみたいな、色が見えづらいライブというか、色が見えたらおかしいライブなんです。だから過去から今をひとつに繋げているスケールのデカさがあって、それと自分の技量が比例していないんじゃないか? みたいな。『LOVE HONEY』のツアーは今の自分のまま出来るけど、【LOVE IS BORN】はそういうことについてよく考えなきゃいけない感じになってきちゃってる。

--大塚さんはその都度その都度やりたいことが変わるじゃないですか。なので、過去にやりたかったこと、やってきたことを今の『LOVE HONEY』の大塚さんがやろうとするとどうしても違和感が出てくる。じゃあ、それを成立させる為にはどうしようか考えるんだけど、なかなか答えが出ない中でやらなきゃいけないから苦しい。

大塚 愛:そうですね。だから本当はエレクトロもやって、バンドもやって、セットも曲ごとに変わります! みたいなことが出来たら成立するんでしょうけど、経済的にもなかなか厳しいので(笑)。

--世知辛い(笑)。

大塚 愛:だから早くパトロンを見つけないと!

--石油王的な?

大塚 愛:どこにいるんだろう? 社長パーティーとかに出ればいいのかな?

--そういう場、苦手でしょ?

大塚 愛:はい、面倒くさい(笑)。あ、アラブに行けばいいのか? インド? 中国?

--では、大金持ちに会う為に海外に飛び出しましょう! 大塚 愛の音楽を世界中で発信していく!

大塚 愛:そこが目標で(笑)。

--実際、2018年はどうしていこうと思っているんですか?

大塚 愛:【LOVE IS BORN ~14th Anniversary 2017~】が終わってから「自分が次にどういう作品を出していくか」その自分の道を描くのがちょっと面倒くさくなっちゃって。なんとなく道はあったんですけど、今その道を通る気力がない。だから1回、放浪の旅に出たい。1回、リセットしたい気分になってるんですよね。とりあえずお金持ちに会ったときの為に英語は習い始めたんですけど。

--英語がいちばん母数を広げられますからね(笑)。

大塚 愛:ハハハハハ! 英語を覚えてお金持ちゲット!

--そこから広がる未来(笑)。

大塚 愛:でも何にしても一皮向けないと先に進んじゃいけない気がしていて。

--今まで通りの形では気持ち良くクリエイティヴできないから、やり方を変えているアーティストは近年たくさんいますよね。

大塚 愛:私も「足袋屋だから足袋作ってろ」というところから「いや、それじゃあダメだからスニーカー作るんだ」と言っているような感じなんですよ。特に自分が過去にやってきたモノって「若いから良かった」というモノが本当に多いんです。でもそのイメージが強いんで「ソレをやってください、視聴率が獲れるんで」と言われちゃう。でもテレビに出なかったら「活動していない人」みたいな感じになってくる。かと言って音楽好きの人たちからは嫌われているし、すごく居場所がないんですよ。

--音楽好き全般に嫌われている訳ではないと思いますよ?

大塚 愛:あと、私生活でお母さんやりながら「あ、普通に生きていけば、それはそれで何の問題もない」と思うんですよ。でもシンガーソングライターとして考えると急に「普通に生きてても作品は生まれない」となる。そこの葛藤みたいなものがあって。苦しいことも嬉しいことも作品にしていくって普通の生き方じゃないというか、倍疲れる。でもそういう生き方にならないと作品が生まれない。「書くことがない、言いたいこともない、伝えたいことも別にない」ってなるから。だから「どうしようかな? 辞めようかな」って毎日言ってるんですけど、今それを娘が「絶対辞めちゃダメ」って止めている状態。それで「あ、そうっすか? どうして辞めちゃいけないの?」と聞くと「え? ただ単にママの歌が好きだからよ。きっとそう思っている人はたくさんいるわ」って言うんです。すごくないですか? ウチの娘。

--今ちょっと泣きそうになりました。生んでよかった!

大塚 愛:アハハハハ! だから最近は娘に曲を聴かせて「どっちの曲のほうが良いと思う?」って聞くんです。そうすると「こっちの曲のほうが良い……いや、こっちかな? あ、でもこっちのほうが良いかもしれない」ってすごく真剣に悩んでくれるんですよ。それで「どうして?」って聞くと「なんかこっちの曲のほうがあったかい気持ちになる」みたいに答えてくれるんです。あと、私が「この曲、微妙かもな」と思っている曲をあとになってから「あ、やっぱり良い曲かもしれない。すごく泣けてくる」と思ってボロ泣きしていたりすると、「やっと分かった?」って。

--凄い!

大塚 愛:「最初から良い曲って言ってんじゃん」みたいな(笑)。だから今は自分で判断できないことは自分で判断しないようにしていて。子供は正直だし、余計な先入観がないから、娘にいちばんに相談するようにしています。

--では、今後の大塚 愛を左右するキーマンは娘さんになるんですね。

大塚 愛:娘がプロデューサーになっている(笑)。あと、今後、やらなきゃいけないなと思っていることはあるんですよ。「そろそろコイツを立ち上げたいんだ」と思っている曲があるんです。どのアレンジャーにお願いしようか今迷っているんですけど、私的にはずっと信じているんですよ。その曲が「私の救世主になる」って。ただ、それには大きな力とタイアップといろんなことが必要。「さくらんぼ」のときもそうですけど、たくさんの人に届ける為には大きな力とタイアップと宣伝費が必要なんです。なので、当時は自分で会社に行って人を集めて「タイアップを獲って下さい」と自ら言っていて、あれをまた再びやんなきゃいけないのかなって……

--やりましょう!

大塚 愛:ハハハハハ! でもそれが上手く行ったら走り出せる気がするんです。でもそれに取り掛かる前に自分が一皮向けて次のステージに行かないと、なんかスッと進まない気がしていて。だから今は要らないモノをすごく削ぎ落としていきたい。断捨離って言うんですかね? ……「とりあえず髪長ぇな」って(笑)。でも娘から「ママは髪長いほうが可愛いよ。短くしないほうがいい」と言われて悩んでいるところです。

--プロデューサー(笑)。

Interviewer:平賀哲雄

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