2018/01/12
2017年12月6日、THE ORAL CIGARETTESが全国ワンマン・ツアー【Diver In the BLACK Tour】の最終公演を、東京・新木場STUDIO COASTにて開催した。
オーラルといえば、2017年6月に日本武道館での単独公演を成功に収めたばかりだが、新木場STUDIO COASTでワンマンを行うのは今回が初。「普通、武道館やる前にここでやるんちゃうんけ(笑)」と山中拓也(Vo/Gt)。国内アーティストのキャリアとして、ある意味ひとつ飛ばしの道のりを辿った彼らが、キャパ1万超のスケールまで練り上げたパフォーマンスを、いま再び一回り小さい会場に持ち帰り、ギュッと濃縮したのが今回のツアーだ。そういう意味でこの日のアクトは、これまでのライブハウスでのそれとは一線を画すものであり、より高密度な最新のオーラルを体験できるショーだったといえる。
そして2018年2月には、地元である関西・大阪城ホールでの公演も決まっているオーラルが今後、会場の規模を着実に大きくしていくであろうことは明白で、そんな彼らの小~中規模なライブハウスでのパフォーマンスを体感できるのも、いよいよレアな機会となっていきそうなのである。
山中のエモーショナルな歌声を呼び水とし、早くも大合唱を巻き起こした「ONE'S AGAIN」から、バウンスの嵐で会場を揺らしまくった「カンタンナコト」、そして自由自在なビート・メイクで躍らせる「DIP-BAP」へ。ツアー・ファイナルだけあってこの日のオーディエンスの盛り上がりは格別だったが、それも無秩序な狂喜乱舞ではなく、ある種の統率のとれた熱狂といった感じで、国内ロック・シーンのトップランナーたるオーラルの求心力の高さが窺える。
怪しさと疾走感が溢れる「Uh...Man」からメジャー・デビュー曲「起死回生STORY」へ、序盤から出し見惜しみのないキラー・チューンの連打が次々とフロアの沸点を更新していく。(曲が始まる度に大歓声が起こっていた!)近年、Crossfaithのツアーに帯同したり、MUCCのトリビュート・アルバムに参加したりと、いわゆるラウド・ロック勢との邂逅も多いオーラルだが、この有無を言わせずオーディエンスを熱狂の渦に巻き込んでいくパワーがあるからこそ、彼らはジャンルレスに戦場を渡り歩いていけるのだろう。
【Diver In the BLACK Tour】というタイトルにも表れている“負の感情の肯定”という主題、そしてよりナラティヴに、よりコンセプチュアルになっていく彼らの音楽性に呼応するように、過去の楽曲もより一層鮮烈に鳴っていた印象だ。「嫌い」はまさにオーラルのダーク・サイドがダイレクトに表れている初期楽曲で、重厚なバンド・アンサンブルが雷鳴のように炸裂する中、山中が吐き捨てるように“嫌い 嫌い 嫌い”と歌い続けるという迫真のパフォーマンス。
それぞれ趣向が凝らされたライティングも秀逸だったこの日。アコースティックの温もりが夕暮れのような暖色照明で親密に表現された「トナリアウ」、そこから急転直下的になだれ込んだ「Shala La」や「mist...」では激しいレーザーの交差が刺激的で、「See the lights」の神々しいストロボに繋がっていく。
そんな視覚的にも目まぐるしく展開した後半戦も、「5150」、「CATCH ME」、「狂乱 Hey Kids!!」、「BLACK MEMORY」というラスト・スパートで締めくくられれば、後に残ったのは不思議な爽快感で、アンコールで披露された新曲「ReI」は、まさしく一筋の陽光のように心にスッと入り込んできた。「基本的に負の感情から曲を作ってる」「真っ暗になればなるほど光は見えやすい」と山中。この新曲が彼らにとっての光であるならば、この黒さ全開のセットリストはある意味必然。陰があっての陽であると、オーラルの伝えたい切実なメッセージが、今回のツアーでくっきりと浮き彫りになった気がした。
Photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)
Text by Takuto Ueda
<セットリスト>
01. ONE’S AGAIN
02. カンタンナコト
03. DIP-BAP
04. Uh...Man
05. 起死回生STORY
06. 接触
07. 嫌い
08. マナーモード
09. Flower
10. エンドロール
11. 気づけよBaby
12. トナリアウ
13. Shala La
14. mist...
15. See the lights
16. 5150
17. CATCH ME
18. 狂乱 Hey Kids!!
19. BLACK MEMORY
-En-
20. ReI(新曲)
◎公演情報
【Diver In the BLACK Tour】
日程:2017年12月6日
場所:東京・新木場STUDIO COAST
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