2017/12/09
Hi-STANDARDが18年ぶりとなるフルアルバム「THE GIFT」を10月に発表し、現在これを掲げた「THE GIFT TOUR 2017」を開催中!今回は自身初のアリーナ公演とライブハウス公演のどちらもあるスタイルで行われ、11/25・26、唯一の2デイズで行われた大坂公演では大阪城ホール初登場を果たすことに……。そんなチャレンジ精神であふれた今ツアー、11/26のライブの模様をレポートする。
全公演ソールドアウトで巡る11/26の大坂城ホール公演は、ツアー8か所9公演目。開場前から会場付近は人であふれ、親子で記念撮影をする姿もちらほら。ライブ以前に"ハイスタ魂"が長い沈黙の時も越えて人々の心に生き続けているのが伝わってくる。また今回は各会場セットリストもゲストバンドも異なるというから、大阪2日間参戦の猛者も多いようだ。そして、いよいよこの日のゲストバンド・MAN WITH A MISSIONからその幕を開ける。
会場はSEが響いた時点で即沸騰。アウェイ感ゼロのなか「Get Off of My Way」や「Hey Now」などで彼ららしい耳に残るリフレインやラップ、エフェクターのザラつきある音色で不敵に攻め出す。「皆サン、ハイスタンダードハ好キデスカー?」(Jean-Ken Johnny)の声も響き、待ってました!とばかりに観客もジャンブ、ダンス、モッシュとライブを謳歌し始める。それはステージ上も同じようで「相当イイ顔シテルジャナイデスカ! デモ、日本デ今一番イイ顔ヲシテイルノハ、ステージ上ノ狼デゴザイマス! ソコカラ表情ハ見エナイカモシレナイケド……」(Jean-Ken Johnny)と狼ジョークを交えながら、今日の自身の沸き立ちぶりを言葉にする。そして「Emotions」の抒情的なメロディで怪しげな空気も生み出したかと思えば、「database」や「My Hero」でキレッキレのパフォーマンス。自由自在に会場を躍らせ、そして歌わせる。しかもその熱のなかから「我々、アル一曲ヲヤリニ来マシタ。ムシロ、ソレダケノタメニ来タト言ッテモ過言デハナイデス。スベテヲ込メテ…」(Jean-Ken Johnny)と揺さぶるひと言から、Hi-STANDARDへの情熱を凝縮させた「1997」をプレイ! 狼とオーディエンスの"ハイスタ愛"が一つの大きな塊となり、その軽快なビートと華のあるサウンドによって昇華されていく。そんな全8曲、興奮の向こう側……恍惚とした時を作り、狼たちはステージを後にした。彼らによってHi-STANDARDへの期待は増幅し、もうはち切れんばかりだ!
当然、転換中もざわつきは納まることはなく、ステージ横の大画面にはファンのアップが次々と映し出される。そこにはいわゆる"ハイスタ世代"も少年少女も、あらゆる人たちの顔があり、入場中にも感じた現在進行形のハイスタ人気を感じずにはいられない。そんなビッグスマイルばかりのなかついに3人が姿を現す!
「さあ、始まるぜ!」(難波)の雄叫びと同時に着火。そして"Fighting Fists Angry Soul"のシンガロングからという、どっしり腰を据えた戦闘態勢で驚きのスタートを切る。そして「全員、掛かって来いよ!」(難波)とさらに煽り最新作「THE GIFT」収録の「All Generations」のスピード感たっぷりの世界へ。今回は同作のリリースツアーだけあり、新旧の曲を聴くことができるのが大きな幸せ。そして3人が、にやりと目を合わせながらプレイする様子も印象的だ。舞台上にある楽しさと心地いい緊張感は、難波の「新曲と(昔の曲を)一緒にやるのは初めてだからさ。ホント、こんなツアー、ヤバいね(笑)」という興奮気味のMCからもわかる。もちろん横山との掛け合いで笑いも起こし、加えて恒岡も「楽しんでくれてますか~?」と希少なシャウト。「ちょっと泣きそうだ(笑)」(難波)と全員のワクワクが止まらない。そして「音楽ってすごいね」(難波)、「最高にロマンチックずら。マンウィズ観に来た人にも何か残るといいな」(横山)とニューカマーのような純粋さで突き進む。そんな気持ちは音となって寄り沿い、「Close To Me」や「Can I Be Kind To You」では優しさと強さを感じるメロディとコーラスで胸を締め付け、観客を大いに跳ねさせる。さらに「Pink Panther Theme」「MY FIRST KISS」といったカバーも連投して、パンクのチャーミングさも再確認。気が付けば会場はハッピームード満点だ。この多幸感は「インドネシア行きたいんだよね。J-パンクっていうジャンルがあるらしいよ」(難波)、「俺たち少女時代ずらか(笑)? でもまず、日本の皆さんにね……」(横山)、「まだ(日本で)やることあるからね!」(難波)と彼らに未来を語らせる。そして「Asian Pride」「Pacific Sun」という新旧楽曲で"お祭りパワー"を放てば、ギターが観客と会話するように響き会場は伸ばされた手がひらひらと舞う。そこからまだまだとばかりにエンジン再噴射。「Time To Crow」のドラムに畳み掛けられ、歌うギターと軽やかな歌声に持ち上げられる。しかも先程のMCに続き「もう一枚オリジナルアルバム作りたいね」(難波)とうれしい今後の展望も……。今のバンドの充実感が漏れ出している。「歳重ねるのもいいもんだ。おじさんになるのもいいいもんだ(笑)」(難波)にも納得といったところ。続く「My Girl」は、そんな重ねた年月だからこその味わいを心の深いところに届ける。加えて「STARRY NIGHT」では観客の放つスマホの灯りが曲名よろしく星空をホールに作り出し、今日一番の大合唱と相まって感動的。このスケール感はアリーナ公演ならではの醍醐味だ。だが、ストレートかつキャッチーに耳に突き刺さる「DEAR MY FRIEND」では、打って変わって大会場だということを忘れさせ、ライブハウスの距離感。3人がすぐそこにいるような感覚に陥ると、次の「Free」ではアリーナの上をいくスタジアム級の壮大さで圧倒。膨張する"ハイスタワールド"を体感し、その締めくくりにはキラーチューン「STAY GOLD」!という、豪華かつ振り切れる感情が思わず笑い泣きにさせる見たことのないラストシーンとなった。
しかし、今夜の感動はまだまだ終わらない! アンコールで3人は神戸のライブハウス・太陽と虎の松原裕さんと一緒に再登場。Hi-STANDARDと深い交流がある彼は、現在重い病と闘っていて、この日は何とか退院を許されライブに来ることができたという。そんな彼を紹介し「お前はそこ(袖)で聴いておけ(笑)! バンドとみんなで松ちゃんにパワーを送ろうぜ!!」(横山)と「ANOTHER STARTING LINE」へ。全員の気持ちが乗った今日のこの曲は何をも超越して心に刻まれる。そして途中、難波は涙で歌えなくなる一幕も……。3人は音楽だけではなく生き様を聴かせ、見せてくれている。そう確信して身を委ねる「We're All Grown Up」「The Gift」は、まさに"Life goes on"のマインド。そして大ラスは「BRAND NEW SUNSET」。力強いビートと美しいメロディは帰り道、ぐるぐると頭の中で鳴り続けるに違いない。そんなメンバーにとっても観客にとっても余韻たっぷりの幕引きは、さらに貴重な体験をさせてくれることに……。なんと、ダブルではなくトリプルアンコールに3人が応えたのだ。「MOSH UNDER THE RAINBOW」でのサークルモッシュは大解放&大発散!の様相で会場を揺らし完全燃焼。それなのにその後、数十秒の演奏ではあるが「Turning Back」のために戻って来てくれた彼らの気持ち、心の動きが、最後の最後にはっきりとした輪郭で表れ、大切な瞬間になる。ありとあらゆる感情が入り混じり笑顔と涙になったかけがえのない約3時間。最後、難波の「また会いましょう!」の言葉は、ただのよくある挨拶ではなく、誠実に"また会いたい!"という熱さを持って轟いた。本当にこれからのHi-STANDARDが楽しみで仕方がない。また会いましょう、絶対に!
Text by 服田昌子
Photo by
Teppei Kishida(Hi-STANDARD)
Daisuke Sakai[FYD Inc.](MAN WITH A MISSION)
<セットリスト>
MAN WITH A MISSION
01.Gett Off of My Way
02.Hey Now
03.Emotions
04.database
05.My Hero
06.1997
07.FLY AGAIN
08.Raise your flag
Hi-STANDARD
01.Fighting Fists,Angry Soul
02.All Generations
03.Summer Of Love
04.Start Today
05.Standing Still
06.Going Crazy
07.Close To Me
08.Can I Be Kind To You
09.Pink Panther Theme
10.My First Kiss
11.Lonely
12.Nothing
13.Asian Pride
14.Pacific Sun
15.Time To Crow
16.My Heart Feels So Free
17.My Girl
18.Starry Night
19.Teenagers Are All Assholes
20.Dear My Friend
21.Free
22.Stay Gold
-En-
23.Another Starting Line
24.We’re All Grown Up
25.The Gift
26.Brand New Sunset
27.Mosh Under The Raimbow
-En.2-
28.Turning Back
◎公演情報
【Hi-STANDARD「THE GIFT TOUR」】
2017年11月26日(日)大阪城ホール
GUEST:MAN WITH A MISSION
◎ツアー情報
東京・下北沢SHELTER
2017年12月11日(月)<SOLD OUT!>
open 18:30 / start 19:00
GUEST: HOTSQUALL / DRADNATS
(問)H.I.P. 03-3475-9999
埼玉・さいたまスーパーアリーナ[TOUR FINAL]
2017年12月14日(木)<SOLD OUT!>
open 18:00 / start 19:00
GUEST: マキシマム ザ ホルモン
(問)H.I.P. 03-3475-9999
協力:さいたまスーパーアリーナ
Hi-STANDARDオフィシャルHP:http://hi-standard.jp/
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