2017/12/08
11月24日から26日にかけて、世界的ジャズピアニスト、上原ひろみと南米コロンビア出身で現在ニューヨークを拠点に活躍中の気鋭のジャズ・ハープ奏者エドマール・カスタネーダによる夢の共演がビルボードライブ大阪で行われた。3日間の公演は連日SOLD OUTとなっており、最終日の1st STAGEも会場に入ると既に、開演を待つ多くの観衆の熱気に包まれていた。
上原ひろみとエドマール・カスタネーダは、今年9月にアルバム『LIVE IN MONTREAL』を発表。この作品は、今年6月、カナダの【MONTREAL JAZZ FESTIVAL】に出演した際のパフォーマンスを収録したもの。上原ひろみのピアノとエドマール・カスタネーダのハープが生み出す化学反応が、会場の熱気と共に収められ、第59回 輝く!日本レコード大賞「優秀アルバム賞」を受賞するなど、日本国内でも話題となっている作品だ。「それまで抱いていたハープのイメージを根本から覆す、リズムにあふれたグルーヴ。まるでギターとベースとパーカッションを一人三役でやっているようだった」エドマールの演奏についてそう語る上原。今宵、どんなパフォーマンスが繰り広げられるのか、期待に胸を膨らませながら、開演の時を待つ。
定刻を過ぎ、客電が落ちる。大きな拍手と歓声の中、2人がステージに降り立つ。エドマールがつま弾くハープの音色に合わせて、上原のピアノが緩やかに旋律を繰り出していく。繊細かつ滑らかな音の波が、やがて攻撃的かつ扇情的なうねりを生み出し、一気に会場を包み込む。Edmarの繰り出す変拍子のフレーズに、切り込むように、掴みかかるように応える上原。生み出される音の向こう側に響く熱情が、更なる高まりを帯び、一気に沸点を刻んでいく。弦をなぞる指の余韻、残響までも逃すことなく、音を重ね、旋律を紡ぐその光景はまるでセッションのようでもあり、まさに「音楽」が生まれていく瞬間のようにも思えた。時に優美に、時に情熱的に音を生み出していく圧倒的なパフォーマンスの合間、挟み込まれるMCでは、二人のチャーミングかつ人懐っこい人柄が垣間見え、会場中が笑顔に包まれる。そんな穏やかな時間を経て、再び演奏が始まると、瞬時に高まる集中力と気迫に、会場が一瞬にして音の世界に引き込まれ、息を呑むのが分かる。弾けるような笑顔の合間に見せる、二人の鋭い眼差し、音の交錯は「戦い」のようでもあった。お互いの音楽性、人間性を認め合っているからこその、渾身のぶつかり合い。その光景は「音楽」という概念を越えて、「芸術」そのものだった。
今年7月の共演以来、既に60本のステージを経て、音を重ねてきた二人。今回の大阪公演の後も、名古屋・福岡・静岡・東京と公演は続く。演奏を重ねる度、二人のパフォーマンスはより研ぎ澄まされ、圧倒的な「芸術」へと昇華していくことだろう。今後「伝説」として語り継がれていくであろう、今回の来日公演をぜひ貴方自身の目で目撃して欲しい。
Text by 杉本ゆかり
Photo by 金田吉弘
◎公演情報
【上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ
LIVE IN JAPAN TOUR 2017】
ビルボードライブ大阪
2017年11月24日(金)~26(日) ※終了
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