2017/09/22 17:45
2017年9月23日より東野圭吾の大人気小説を実写化した映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が公開される。どんな悩みにも答えてくれる不思議な雑貨店が舞台の本作で、悲しい過去を持つ国民的シンガー、セリを演じた門脇麦にBillboard JAPANはインタビュー。劇中で山下達郎が手掛けた主題歌「REBORN」を披露している彼女に、撮影シーンや彼女の視点から感じた歌の思いなど、たっぷり話を訊いた。
――今作の見どころのひとつでもある、ご自身の歌唱シーンの感想をお聞かせください。
門脇麦:映像で歌うのは初めてでしたし、歌手役もピンクのメッシュも初めてだったので新鮮でした。でも恥ずかしい気持ちの方が大きいですね。
――ライブシーンにはエキストラも参加されていましたが、本番さながらの雰囲気は役立ちましたか?
門脇:普段は引き算をしているような感覚で、感情が湧いても心の中に留めるようにしているんです。今回、元ちとせさん、中島美嘉さん、絢香さん達のライブ映像をたくさん観たのですが、みなさん体で表現したり、感情が手や表情に表れたりしていて。「芝居をするな」と叩き込まれているので、壁が出来てしまうのですが、それを崩すというか、ぴょんと飛び越えるために、お客さんが目の前にいることはすごく助けになりました。
――山下達郎さんが、「これまで手掛けた映画主題歌の中でこの曲が1、2を争うくらい難しかった」とおっしゃっていましたが、この曲に引き込まれた箇所はありますか?
門脇:セリが林遣都さん演じる克郎さんから受け継いだ曲に歌詞を付けたという設定だったので、もちろん達郎さんの思いもしっかり感じて大切にしつつ、あの場では克郎さんを想いながら歌いました。私の出演はこのライブと高校生のシーンしかなかったので、この曲が私の役の拠り所でした。
――35歳のセリを演じていますが、実年齢よりも離れた役を演じるときは何を頼りにしているのでしょうか?
門脇:想像と諦めですね(笑)。あまりにも自分と違うキャラクターを演じる時は、どうしても恥じらいが出てしまうんです。例えば母親役の場合、母親っぽくしている自分にもの凄く恥ずかしさがあります。でも、それを吹っ切るためには、潔く諦めるしかないですよね! 35歳を演じたのはライブシーンだけだったのですが、日常場面だったら相当難しかったと思います。最初、35歳のカリスマシンガー役と聞いて、「え?」って感じだったんです(笑)。でも衣裳を着て、かつらを被ったら、自然に気持ちも変わりました。衣装、ヘアメイク、エキストラ、ライブ会場の雰囲気、照明、そういったもの全てにとても助けられました。
――自身に近い役よりも、かけ離れた役の方が演じやすいでしょうか?
門脇:そうですね。今回、自分とセリが共通する部分が無かったんです。高校生のシーンは十分インパクトのある場面で、消えてしまいそうな人に対して言う言葉にしては強いなと、戸惑いがありました。それを監督に言ったら、「セリはそういうことを言う子だから」と言われ、腑に落ちました。
――ライブ映像では涙を流す場面が印象的でしたが、あれは演技でしょうか?
門脇:監督から「どこかで泣いてください。場所はお任せします」と指示があったんです。当日に言われたのでノープランでした。なので、意図的とはいえ、赴くままですね。何カットか撮ったので、2回目以降は同じ場所で流す必要がありましたけれど。
――何テイク撮ったんですか?
門脇:結構録りました! でも、最後のほうに泣いたので、ほぼフルで使わざるを得なかったって監督が言ってました。最初に泣いてたら、バッサリとカットされていたのかもしれないです(笑)。頑張ったシーンだったので、最後に泣いて良かったなって思います(笑)。
――踊るシーンもありますよね。
門脇:ミュージックビデオを撮るとは聞いていたんですけど、何を撮るのか全く聞かされていなくて、「干潟で何を撮るんだろう?」って疑問でした(笑)。実は私が立ってたところは夕方の数時間しか潮が引かない場所だったのでリハーサルは近くの駐車場で行ったんです。本番ぶっつけで「さあ、踊ってください」って言われ踊りました。
――あれは、アドリブですか?
門脇:アドリブです。私が勝手に考えた麦ダンスです(笑)。バレエやジャズを取り入れて、ジャンルに分けるならコンテンポラリーに近いでしょうか。
Interview & Photo: Mariko Ikitake
◎公開情報
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
2017年9月23日(土)より、全国公開
監督:廣木隆一
出演:山田涼介、村上虹郎、寛 一郎、成海璃子、門脇麦、林遣都、萩原聖人、尾野真千子、西田敏行ほか
原作:東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川文庫 刊)
配給:KADOKAWA/松竹(共同配給)
(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会
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