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2017/08/29 17:00

浜崎あゆみ/D-LITE(BIGBANG)/GENE/iKON/TRF/VAMPS/マイファスら……夏の終わりの異種格闘技戦(a-nation独自取材記事)

 エイベックス所属アーティスト中心にスーパースター達が集結する、音楽野外フェスティバル【a-nation】。夏の風物詩となっている同イベントが8月26日と27日、今年も東京・味の素スタジアムにて開催された。

<BLACKPINK×Happiness日韓女性グループ対決~ET-KINGの矜持>

 2002年の初開催から早15年。当初は女性ポップスターの祭典的な色合いが濃かったものの、近年は音楽シーンの変化に合わせて多種多様なアーティストが一堂に会するイベントへ。特に東方神起の台頭以降は韓国発グループの参戦が多くなり、今年も韓国グループ史上最速1億回再生を記録した4人組ガールズユニット・BLACKPINKが27日のトップバッターを飾るなり、凄まじい歓声が巻き起こった。そんな彼女たちのハイレベルかつセクシー&キュートなパフォーマンスに負けじと、日本勢からは同じくガールズユニット・Happinessが応戦。今や【a-nation】名物のひとつとも言える大所帯のキッズダンサーたちを引き連れ、夏フェスのイメージにピッタリのカラフルかつストリート感満載の衣装で、激しくもポップなダンスパフォーマンスで観る者を魅了した。

 続くET-KINGは「頑張って音楽続けていたらこうして再び【a-nation】のステージに立てた」と喜びを露にしながら、ド頭から代表曲「愛しい人へ」をお届け。彼らのヒストリーにどんな苦難があったか詳細に書くような野暮はしないが、今太陽の下で汗を垂れ流しながら「おまえとおったらおもろいわ どこのどいつもかなわんわ いつまでも いつまでも はなさない この手だけは」というフレーズを真っ直ぐに歌い上げる姿は、胸を打つものがあった。

<マイファスのドーム宣言! 超アウェイのバンド勢が逆に洗礼浴びさせる>

 その後は打って変わって、いつもはロックフェスで大暴れしている勢いあるバンド勢が続けて登場。SWANKY DANK、MY FIRST STORY、感覚ピエロ、いずれもロックキッズにとっては大興奮必至の存在だが、ここ【a-nation】においてはアウェイ感半端なし。どんなキラーチューンもここに集まっている観客にとっては未知の新曲であり、それでも一切動じる様子なく、むしろロックフェス以上にぶち切れたアクトを展開していく。

 Hiro(vo/MY FIRST STORY)は「僕達は6年前にあるひとつの志を持ってこのバンドを組みました。そのたったひとつの志、なかなかの時間や労力が必要みたい。俺たちを餌にしようと近づいてきてニヤつく大人たちを何人も見てきたよ! その上で、その上で俺達は唯一信頼できる仲間達と今このステージに立っています。今日はインディーズでありながらこの【a-nation】というジャングルで戦ってる! 今日俺達が集まった意味は……「今日一日楽しかったね」なんてつまらない一言で終わらせられるのはイヤなんだ! 今日は最後まで、最後まで全力でよろしくお願いしまぁぁぁぁす!!!!!」と叫び、そしていつしか東京ドームに立つことを宣言! 最終的には逆にロックの洗礼を5万人に浴びさせた。

<VAMPS ガラベーヤ姿のhyde「僕達ダンスできないんですけど、大丈夫ですか?」>

 そんな若手バンド陣の必死なアクトを受け、今日ここまでで最大の歓声を浴びながら堂々と登場したのは、近年の【a-nation】では常連になりつつあるVAMPS。髑髏が記された黒いフラッグを掲げ、頭を茨で巻いたガラベーヤ(エジプトなど砂漠で人々が着ている白い布の服装)に身を包んだ姿で「騙されないでね。正義の中にも罪はありますからねぇ!」とメッセージするhydeと、漆黒の衣装にサングラス姿で寡黙にギターを弾き続けるK.A.Z、そしてラウドなヘヴィロックを唸らせるバンドメンバーたちの光景は異様。しかし眼前で繰り広げられるそのアクトから一切目を逸らすことの出来ぬ覇気がそこにはある。その一方で「僕達ダンスできないんですけど、大丈夫ですか? 間違ってない? 一緒に楽しんでもらえたら嬉しいと思います。とは言えまだひとつになっていないと思うので、ここでひとつになる錬金術を仕掛けたいと思います!」と5万人をウェーブ上にジャンプさせるという秘儀(!?)を繰り広げ、「そろそろ【a-nation】の本性見せてもらおうかなぁ!」と最終的に凄まじい熱量の一体感を生んでみせた。

<iKONにBIGBANG 今年の【a-nation】でも尋常じゃない人気ぶりだった韓国勢>

 まだ青空が広がる明るい時間帯でありながら、肉眼でしっかりと確認できる真っ赤な光の群れ。そして鼓膜が痛みを軽く覚えるほどの歓声。この状況、かつては東方神起が登場する度に生んでいたものだが、彼ら不在となった【a-nation】の中で何組もの後輩たちが圧倒的なパフォーマンスとチャーミングなキャラクターで【a-nation】の新たな主役となり、その内のひとつが徐々に同フェスの常連になりつつあるiKON。もう1組が大トリの一つ前の登場となったD-LITE擁するBIGBANGだ。iKONの人気と実力と愛嬌も凄まじかったが、D-LITEにおいてはゴキゲンなバンドメンバーとキュートな女性ダンサーを従え、ほぼ全編日本語詞の「J-POP」と言っても違和感一切なしのオリジナルナンバーを連発し、もはや日本とか韓国とか国で分けて音楽を語る意味が分からなくなるほど、日本のリスナーと親和性100%のアクトを繰り広げていく。BIGBANG自体が時にジャパニーズコメディアンだと勘違いされるメンバーもいるほど(?)親日家であるが、ここまで日本の土俵に乗っかった上でみんなを笑顔に出来る歌声を届けられたら、そりゃみんな好きになってしまう。そしてあのお得意のカバー、いきものがかり「じょいふる」を躊躇なく投下しちゃうんだから、お見事としか言いようがない。頭が下がります。

<TRF 2002年の初開催から【a-nation】を支え続けてきた者達の凄み>

 そんな彼らの止まることを知らない勢いもあって大変革してきた【a-nation】において、2002年の初開催から同イベントを支え続けてきた者たちがいる。それはエイベックスの存在を一気に日本中どころか世界中に広めた立役者・小室哲哉プロデュースで天文学的な大ヒットを連発、そこから約25年間にわたってダンスミュージックで大衆を沸かし続けているTRFだ。この日の1曲目は今や日本のダンスクラシックとも言うべき「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」! 5万人が手に持つ【a-nation】のウチワが一斉に青く輝き出し、時代も世代も超えて熱狂の渦を生み出す。夕暮れに吹く風とドラマティックに絡み合う「LEGEND OF WIND」も心地良い。そして再び熱狂を生んでいく「BOY MEETS GIRL」「メドレー:CRAZY GONNA CRAZY~EZ DO DANCE」の流れ、目の前に広がる美しい光景にYUーKIが「歌ってくれてありがとう! みんな凄いよ!」とあまりに無邪気に喜ぶものだから思わず涙が溢れる。そのまま厳しいオーディションを勝ち残った77名のアクトダンサーと今回最大のレイヴショーを創造し、極めつけは打ち上げ花火と共に「survival dAnce ~no no cry more~」! 今年もみんなで一緒に踊って歌ってはしゃいだ、最高の夏の思い出を提供してみせるのだった。「来年デビュー25周年なので、皆さんも応援してねー!」

<GENERATIONS from EXILE TRIBE【a-nation】の勢力図を揺るがす人気ぶり>

 そんなTRFがエイベックス最初の革命を起こした者たちだとしたら、今現在新たな革命を次々と生み出している筆頭はやはりLDH、EXILE TRIBEファミリーの面々であろう。この日はその強烈な一角としてGENERATIONS from EXILE TRIBEが登場! その歓声のボリュームたるや前述の韓国勢にも一切劣っておらず、いよいよメンバーたちはもちろんファンも本気で【a-nation】の主役の座を奪取しようとしている印象すら受けた。それもそのはず、近年はどのチャンネルに合わせても、どの映画館に足を運んでも、どのジャンルのエンターテインメントを見てみても、必ずそこにEXILE TRIBEファミリーの面々は存在しており、音楽の世界だけでなく確実にエンタメ界の一大勢力として定着した感は否めない。しかもGENERATIONS from EXILE TRIBEは、あのEXILEや三代目J Soul Brothersに続いて本気でトップの座を目指している者たちだ。この日も全員バラバラな衣装で各キャラクターを全開に打ち出しながらも一丸となり、まるで友達同士のように心底楽しそうに歌い踊る姿は好感が持てたし、それでいて歌もダンスも確かにハイレベルなものをお届けしていく。エンターテイナーとして大切なものをナチュラルに兼ね揃えている印象も受け、その大人気ぶりにも合点がいった。2017年に「Y.M.C.A.」(西城秀樹カバー)でこれだけの熱狂を生めるアーティストは他にいるまい。

<浜崎あゆみ「2017年、a-nation、この曲で最後になります」出逢う為の明日へ>

 その後、今年の【a-nation】の中でナンバーワンの歌声を響かせ、かのマライア・キャリー「エモーションズ」で初めて7オクターブというものを耳にしたときにも劣らない衝撃を与え、久しぶりに「怪物現る」感を覚えさせたBeverly。そして前述したD-LITE(from BIGBANG)の鮮烈なアクトを経て、今年の夏の終わり【a-nation】の大トリを務めたのは、もはやこの場を守る為に、ここからみんなに歌と笑顔を届ける為に夏を生きているであろう浜崎あゆみだ。

 噴き上がる炎に包まれたステージの上、兵隊を引き連れた女性騎士さながらの出で立ちで激情を叫んだかと思えば、次の瞬間にはデビュー当時を思い出させるキュートな金髪ショートによく似合う笑顔を輝かせながら「fly high」、今日までとにかく会いたくて会いたくて仕方なかったみんなと歓喜のシンガロングを生んでみせる。もちろん、よっちゃん(野村義男)のギターソロは今日も絶好調! 中盤の見せ場「会いたいよ ねぇ会いたいよ 記憶の中の笑顔だけ優しすぎて もうどうしようもない」と泣き叫ぶように歌い上げた「HANABI」では、最後に彼の肩に顔をうずめて涙を誘ってみせた。そして後半戦では恒例のトロッコでスタジアム一周! 「もっと大きな声で! もっと大きな愛を!」ミニ浴衣姿でタオルを振り回しながらホープフルなサマーチューンを畳み掛け、幾度となく幸せなコール&レスポンスを生んでいく。「輝きだした僕達を誰が!」「止めることなど出来るだろう!」「はばたきだした彼達を誰に!」「止める権利があったのだろう♪」そんな代表曲「Boys & Girls」を今年もみんなと共に歌い上げると、トロッコはステージに到着。引き続き「You & Me」「BLUE BIRD」と明るくて……けれども一抹の切なさが胸に沁みる夏の歌ばかりをお届け。それにしても今夜のあゆ……笑顔がいつにも増して可愛いかった! みんなとこの瞬間この音楽でひとつになれていることを無邪気に喜んでいる、まるで子供のような表情を浮かべていた。そして「2017年、a-nation、この曲で最後になります」と今年もこの曲「July 1st」でフィナーレ。愛するファンと仲間たちに囲まれながら「明日晴れたら 君に会いに行こう そうさ明日も明後日も ずっと一緒にいよう♪」と、夏が終わっても僕たちの物語は終わらないことを明示し、今夏最後のシンガロング! みんなで華々しく輝く打ち上げ花火を眺めながら、また再び出逢う為の明日へと踏み出していく。 

 全く異なるジャンルの猛者達が各々の魅力と矜持をぶつけ合い、まるで天下一武道会さながらのスリリングなお祭りとなった【a-nation 2017】。果たして来年はどんな顔ぶれが音楽シーン代表としてこの舞台に立ち、どんな生き様を見せてくれるのか。今から実に楽しみである。

取材&テキスト:平賀哲雄

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