2017/07/25
Manhattan RecordsによるミックスCD『CITY HIP POP MIX』シリーズの第3弾が7月26日にリリースされ、併せて収録曲の中からExclusive Track曲「ROOM VACATION feat. 唾奇&おかもとえみ」のMVとオフィシャルインタビューが公開された。
今作は、DJ HASEBEがプロデュースし、Pitch Odd Mansion所属ラッパー唾奇と、バンド“フレンズ”のボーカリストおかもとえみというジャンルレスな2人をフィーチャリングした「ROOM VACATION」をExclusive Trackとして収録。さらに、iri、KID FRESINO、きのこ帝国、Suchmos、SALU、Chara、唾奇 × Sweet William、TOKYO HEALTH CLUBなどシリーズのテーマでもある“新旧シティ・サウンド”を25曲ミックスしている。なお、シングル配信は7月26日より各配信サイトで開始される。
また今回、『CITY HIP POP MIX』のExclusive Track曲「ROOM VACATION」で共演したDJ HASEBE、唾奇、おかもとえみの3人による対談インタビューが届いた。
※以下、インタビュー
---まず、新録曲となる「ROOM VACATION」のお話からお伺いできればと思います。
HASEBE「“CITY HIP POP MIX”シリーズの第三弾を自分が担当することになって、ただミックスするんじゃなくて、新録曲を入れたいと思ったんですよね。しかもリミックスとかじゃなくて、オリジナル曲で行きたいなって。その上で、自分のキャラクター的にも、ラッパーとシンガーを迎えた楽曲を構成したいと思ったんですよね」
---“今すぐ欲しい feat.Sugar Soul+Zeebra”や“Get Out! feat. BONNIE PINK & VERBAL”のように、HASEBEさんのビートに女性シンガーと男性ラッパーという組み合わせは、ある種鉄板ともいえますね。
HASEBE「過去のモノをなぞろうっていうつもりは無かったんですけどね。ただ、最近はDJ HASEBE“晴れた午後は代官山で feat. 野宮真貴”のように、大御所や自分の世代のアーティストと一緒に作る事が多かったんで、今回は最前線の世代、20代の人間と一緒に作りたいと思ったんですよね。それで最近聴いてたアーティストの中で気になっていた、おかもとえみさんと唾奇に声をかけさせて貰って」
---おかもとさんも唾奇さんも20代ですね。
HASEBE「唾奇はSweet Williamとの「Jasmine」や他の作品で気になってた存在で、おかもとさんは“HIT NUMBER - EVISBEATSとPUNCH REMIX”から聴き始めて、そこから他の作品も聴かせて貰っていて。それで、今回はその二人かなって思ったんですよね」
---オファーを受けたお二人の感触は?
おかもと「私はヒップホップの方面に友達はいなかったんで、初めましてのジャンルの方と友達になれるかな……って(笑)」
HASEBE「そんな風に思ってたんだ(笑)」
おかもと「もちろん新しく知り合えるのは本当に楽しみだったんですけどね(笑)。そこからお二人の曲を改めて聴かせて頂いたら、めっちゃ格好いいし、人間的に仲良くなりたいなって。出来上がったものも本当に格好良くて、何度も聴き返してます」
唾奇「HASEBEさんの楽曲はもちろん聴いてたし、おかもとさんの曲も聴いてたんですよね。それで、この人めっちゃいいなって思ってた時にこの話を頂いたんで、めっちゃ嬉しかったですね」
HASEBE「最初に唾奇と打ち合わせの時に、おかもとさんの名前を出したら「前から聴いてました」って言ってたから、これはリンクし易いなって。それで楽曲のコンセプトも唾奇に考えてもらって」
唾奇「俺は夏が嫌いなんですよ」
---「あの太陽を破壊したいぐらい」というリリックは、メタファーではなくて本当に破壊したかったんですか(笑)。
唾奇「暑いのが苦手なんですよ。汗かくのも嫌いだし」
おかもと「私と一緒だ」
唾奇「僕は家が大好きな人間なんで、夏だからってどっか遊びに行くとかも無いんですよね。だから「明るい夏の曲は書けないです」って(笑)。それで僕の方向で夏の曲を書くなら、こういうインドアでちょっとだらしない夏の曲になりましたね」
HASEBE「ダメ男と、それでも好きな女子っていう方向性に持っていこうって。チャラい夏みたいなストレートな方向性より全然面白くなったよね」
おかもと「私も『ダメ男好きダメ男好きダメ男好き……』って自分に言い聞かせて書きつつ、でも私自身、ダメ男が好きになりがちなんで、結構書きやすかったです(笑)」
唾奇「ダメ男好きになるっすか?」
オカモト「ダメだな、と思いながら、でも好きなんだよな、って。そういう情というか情けというか(笑)。そういう気持ちが組み込めたと思いますね。そしてだいたいそういう人って酔っ払ってるイメージがっ!?」
HASEBE「確かに(笑)」
---おかもとさんの「抱きしめたらアルコールの海ね」という歌詞もリアリティがあったと(笑)。
おかもと「ほらっ、ドラマとかでもダメな人と会うのってだいたい夜で、だいたい呑んでたりしません??」
唾奇「でも、あの表現めっちゃ格好良かったっすね」
---ポップで軽やかな感触があるから、もっと爽やかな夏かなと思ったら、スッキリはしない夏な感じも興味深かったですね(笑)。
HASEBE「トラックもキレイめなんだけど、そのリリックとのバランス感が面白いかなって。トラックはサンプリング回帰な方向で作りたいってイメージがありましたね。しかも大ネタ使いじゃなくて、コラージュ感のあるような形にしたくて。ここ最近はリミックスや歌モノが多かったんで、知らず知らずのうちにサンプリングが減って、キレイに作る事が多かったんで、自分としても違う刺激が欲しかったんですよね。その上で二人ともリクエストに応えてくれたし、バシッと仕上げてくれたんで、スゴく楽しかったですね」
---この曲ではMVも撮られていますね。
HASEBE「江ノ島で撮ったんだけど、だいたい部屋の中で撮影で(笑)」
---夏の江ノ島なのに(笑)。
HASEBE「台風が直撃しちゃってヒドイ天気だったんだよね」
おかもと「嵐でしたね」
唾奇「帰る時にコケて、普通に怪我してますからね、俺(笑)」
---話はミックス全体に移りますが、今回収録されたアーバン/メロウと親和性のあるヒップホップがシーンの一つの潮流になってますが、そういった楽曲についてのHASEBEさんはどう感じられていますか?
HASEBE「ラップもビートも日本の中で独特の進化をしてると思うし、オールドスクール感とは違ったサンプリングの使用感や、緩めのキャラクターも面白いし、こういう都会っぽい感じは興味深いですよね」
---こういったシティ・ヒップホップ的な流れは、サンプリングと同時に、R&B的な流れも影響していると思うし、その意味では、00年付近にヒップホップとR&BをクロスさせたHASEBEさんが、このシリーズを手がける事に必然性を感じるんですよね。
HASEBE「僕もラップのシーンとリンクしつつも、一定の距離を置いたり、差別化をしたいなと思いながら制作をしていて、そういう「ひねくれ」みたいな部分が、他の人とは違うビート感や感触のある作品作りに繋がってたと思いますね」
---今回ミックスする上でキーになった曲はありますか?
HASEBE「一曲というよりは、全体のトーンとして、ここ最近の自分のミックスの中ではラップは多めに入ったと思うし、唾奇とか20代中盤から後半ぐらいのアーティストの作品を積極的に入れたいと思ったんですよね。それはフック・アップとかって言うよりも、なんならちょっと僕が学び直さなきゃなって。いま僕が好きなアーティストから色々学ぼうとしたり、接点を作りたいって気持ちがありましたね」
---普段のプレイでもかけられますか?
HASEBE「邦楽は自分のプレイの後半で、泥酔しながらかけたりしてますね(笑)。こないだも沖縄できのこ帝国をかけて、そこから唾奇の曲につなげて、沖縄のオーディエンスに喜んでもらうっていう(笑)」
---唾奇さんは今回収録されたアーティストとの繋がりはいかがでしょうか?
唾奇「TOKYO HEALTH CLUBはこの前ご挨拶させて貰って、KID FRESINOくんとはさっき会いました(笑)。ittoさんやkiki vivi lilyとはSweet Williamの“Sky Lady feat.Jinmenusagi,Itto & kiki vivi lily”で一緒になったり、underslowjamsはリスナーとして好きでよく聴いてますね」
---おかもとさんはいかがですか?
おかもと「iriちゃんとか鈴木真海子さんの曲は、自分と違う歌詞の書き方や歌い方がが面白いなってリスナーとして聴いてます。G.RINAさんは超好きなアーティストで、彼女の“恋人はエイリアン”って曲が、私の“HIT NUMBER”で歌ってるヒット・ナンバーなんですよね。
HASEBE「それは面白い話だね」
おかもと「それを言うタイミングをいっつも逃してたんで、言えて良かったです(笑)。だから、自分の好きで聴いてた人とこのミックスの中で繋がるのがスゴく面白くて。あと、“POOL”のトラックを作ってくれたのが、ENJOY MUSIC CLUBの江本祐介さんなんですよね」
唾奇「そうなんすね。“POOL”は一番食らった曲なんですよ。ヤバ!って」
おかもと「マジすか、うれしい!」
唾奇「俺も“POOL”みたいな曲が作りたいです」
おかもと「あ!じゃあ一緒に作りましょう。ソロはホントに1人で作ってて、配信の仕方とかも分からないので、一緒に手伝って貰いたい」
HASEBE「……それはもっと実務の出来る人に頼んだほうがいいんじゃない?(笑)。でもこの座組でタイミングがあえば、また作ってみたいですね」
---最後に、このアルバムのリスナーに一言お願いします。
HASEBE「今までこのシリーズを聴いてる人には、この作品もまた聴いて貰えれば、っていうのと、新曲含め、いま最前線のアーティストの作品を入れてるんで、若い子はもちろん、おっちゃんおばちゃんも、勉強がてら最近の動向を聴いて貰えれば。勉強がてらっていうのは冗談だけど、僕も含めてちょっと歳を取ると、新しい音楽に反応出来なくなったりして、自分たちが好きな音楽は最近はもう無いのかなって勘違いしてる人もいると思うんですよね。だから、そういう人たちに「面白い音楽はあるよ」って伝わるといいですね。逆に新曲も含めて、若い世代に自分の僕が聴いて貰えるのも嬉しいし、そうやって刺激し合える作品として受け取って貰えると嬉しいですね」
text & interview by 高木”JET”晋一郎
◎ROOM VACATION feat. 唾奇 & おかもとえみ(MV)
https://youtu.be/riJG618MTLc
◎リリース情報
CITY HIP POP MIX『Manhattan Records® presents CITY HIP POP MIX - Special Chapter - mixed by DJ HASEBE』
2017/7/26 RELEASE
LEXCD17012
レーベル:Manhattan Recordings
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