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2017/07/12

イングリッシュ・ナショナル・バレエ満を持しての来日公演『コッペリア』で開幕

 ロンドン第二のバレエ団と言われる、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)が、『コッペリア』『海賊』をひっさげて来日中だ。就任からたった4年でバレエ団を世界一流へと変革したタマラ・ロホ芸術監督も、スワニルダとして舞台に立った。

 古典バレエのひとつ『コッペリア』は、E.T.Aホフマン「砂男」を原作としたロマン主義的作品。まるで絵本から飛び出てきたかのような、色彩の美しい舞台や衣装、そしてコミカルでチャーミングなキャラクターマイムには誰もがクスッとほほえんでしまう、見る者を幸せな気持ちにする演出・振付は、プティパ版をもとに英国バレエ界の重鎮、ロナルド・ハインドが手がけた。ENBの看板演目のひとつだ。

 自分の工房で機械仕掛けの人形を作る、得体の知れないおじいさん「コッペリウス博士」を演じるのはマイケル・コールマン氏。デイリー・テレグラフ紙で「芸術の域に達している」とも賞されたコメディアンぶりを日本でも発揮してくれた。実験に失敗し大爆発の煙と共に登場、スワニルダとフランツという若く血気盛んな恋人たちを愛する人形たちの為に手玉に取ったり、終幕では大団円の祝宴の中寂しそうな表情を見せたりと、存在感抜群の演技で客席は笑ったり驚いたりと終始目を離せない様子だった。

 マズルカ、チャルダッシュ、ボレロ、ジーグなど、多彩な民族音楽に寄り添う振り付けと衣装が目に鮮やか。タマラ・ロホ演じるスワニルダは市長の娘という設定だけに、その堂の入りぶりも役柄ぴったりの安定感。フランツ演じるイサック・エルナンデスのお調子者ぶりとの対比も客席の笑いを誘い、終始和やかな雰囲気の客席が印象的だった。

 NBはこの後7月14日から『海賊』全幕を披露する。タマラ・ロホ芸術監督の新生ENBを象徴するこの演目は、パリ・オペラ座(ガルニエ)でも上演され連日満員御礼となった話題作だ。舞台美術には映画「バットマン」の衣裳を手掛けたボブ・リングウッドが起用されており、そのエキゾチックで絢爛豪華な舞台が見所。また分厚いダンサー層を見届けるチャンスになるショーケースのような演目だ。こちらも見逃せない。Text:yokano Photo:Kiyonori Hasegawa 

◎公演概要
【イングリッシュ・ナショナル・バレエ「コッペリア」全3幕】
振付:ロナルド・ハインド(マリウス・プティパに基づく)
音楽:レオ・ドリーブ
装置:デズモンド・ヒーリー
照明:デヴィッド・モール

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