2017/06/01
フレンチ・ポップ・ファンなら絶対に聴いておくべき作品と断言したいのが、カレンヌ・ブリュノンの作品だ。もともとは偉大な映画音楽作家であり、フレンチ・ジャズの第一人者でもあるミシェル・ルグランに見出されたヴァイオリン奏者だったが、様々なアーティストのサポートを行っているうちに、いつしかヴォーカルも担当。それが、ソロ・アーティストとしてのデビューにつながった。
本作『私が奏でる愛の旋律』は、そんな彼女のヴォーカリストとしての魅力を最大限に活かした作品集に仕上がっている。プロデュースを手がけたのは、バンジャマン・ビオレ。自身もソロ・シンガーとして活躍する売れっ子プロデューサーであり、新人はもちろんジュリエット・グレコやアンリ・サルヴァドールといったベテランを手がけて大きく評価された。一部では“新世代のセルジュ・ゲンスブール”と讃えられることも多く、本作でもチリー・ゴンザレスやケレン・アンなどをゲストに組み込むなど、仕掛けがふんだんに盛り込まれているのが特徴だ。
とはいえ、主役はあくまでもカレンヌの声だ。どことなく70年代から80年代にかけてのフレンチ・ポップを思い出させるアンニュイな雰囲気が全編に充満。ジェーン・バーキンやフランソワーズ・アルディに通じる艶っぽい歌声は儚くも美しい。また、とにかく楽曲のクオリティが高く、情感豊かなマイナー調のメロディは比類無きものになっている。しかも、大半をカレンヌ自身が作曲しているということや、時折聞こえて来る自身の的確なヴァイオリンのプレイからも、非凡な才能がうかがえるだろう。今現在、フレンチ・ポップの真髄を知りたいと思うなら、ぜひ本作を手に取ってほしい。
Text: 栗本 斉
◎リリース情報
『私が奏でる愛の旋律』
カレンヌ・ブリュノン
2017/04/05 RELEASE
2,700円(tax incl.)
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