2017/05/05
クリスタル・ガラスのようなポップス。思わずそんなことを連想してしまうのが、ノルウェーのベルマンだ。ベルマンは、シンガー・ソングライターでもあるアルネ=ヨハン・ラウアによるプロジェクト。2012年に『Mainly Mute』でデビューして話題を呼び、『The Curse』(2010年)、『Melopoiia』(2013年)とリリースを重ねてきた。この『モルフォロジー』は通算4作目となる。
ここで聴かれるのは、とにかく美しいメロディ・ラインと、そのメロディを最大限に生かした透明感に満ちた声だ。シガー・ロスやマーキュリー・レヴを引き合いに出されるだけあって、ポップスの王道的な旋律をベースにしながらも、モダンな雰囲気を醸し出している。加えて、キラキラとしたシンセサイザーの音色をふんだんにまぶしたアレンジと、絶妙なエコー感をたたえた音空間の構築は圧倒的。UKロックにあるような陰鬱さはまったくないのにも関わらず、深遠な雰囲気を作り上げているのが不思議だ。
また一方で、「The Best Of Me」のようなエモーショナルなギター・ロック・サウンドも披露するなど、バンド・サウンドとエレクトロ・ポップ的な味付けのバランスが非常に上手い。一時期のスウェディッシュ・ポップのムーヴメントを彷彿とさせるポップ感と同時に、他では聴けない多幸感を存分に押し出した世界観は唯一無二。いつまでも浸っていたいと思わせる心地良い音楽が、ここに存在する。
Text: 栗本 斉
◎リリース情報
『モルフォロジー』
ベルマン
2017/03/15 RELEASE
2,160円(tax incl.)
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像