2017/05/01
風間玲マライカ、神﨑風花、寺口夏花、山崎愛の4人からなるアイドル・ユニット、“オサカナちゃん”ことsora tob sakanaによる単独公演【月面の音楽隊】が2017年4月30日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにて開催された。
2015年の【月面の水平線】、2016年の【境界線上のサカナ】に続く、自身3度目の単独公演となるこの日は、初のフル・バンド・セットを伴ってのライブ。デビュー当初から音楽プロデューサーを務めてきた照井順政(ハイスイノナサ/siraph)はもちろん、佐藤香(ハイスイノナサ)、森谷一貴(ハイスイノナサ)、松下マサナオ(Yasei Collective)、中西道彦(Yasei Collective)、オータケコーハン(from LAGITAGIDA/sajjanu/あらかじめ決められた恋人たちへ)、小西遼(CRCK/LCKS)と、バンド・メンバーには国内の腕利きミュージシャンたちが大集合。sora tob sakanaのポストロックやエレクトロニカを基調とした楽曲群が、ついにそのポテンシャルを最大限引き出されてのお披露目となるのがこの日のライブだったのだ。
定刻をやや過ぎた頃、チケットがソールドアウトして満員状態の会場が暗転、緑葉、紅葉、雪結晶、桜の花びらがスクリーン上で舞い踊り出す。バンドによる「海に纏わる言葉」のインプロ・セッションが静謐なアンビエント・サウンドを紡いでいき、【sora tob sakana 月面の音楽隊】と公演名が映し出されたところでセッションも一気にバースト。オサカナちゃんたちも登場し、オーディエンスの興奮も冒頭からぐんぐんと高まっていくなか、最新作『cocoon ep』収録の「ribbon」からライブをスタートさせる。その後、疾走感溢れるピアノ・ロック「夜空を全部」へと続き、メンバー紹介を挟んだのちは「Summer Plan」「My notes」とテンポよく披露していく。冒頭でも述べたように、この日はsora tob sakanaの音楽がその魅力を最大限発揮することができる体制。普段とは比べ物にならない音の情報量、そしてVJ TONTONが描き出す多彩な視覚表現も相まって、楽曲派アイドルの枠すら越えた、壮大なサウンドスケープに思わず鳥肌が立ってしまう。
メンバー手描きのイラストがプロジェクションされた「帰り道のワンダー」では、弾けんばかりの笑顔を浮かべながら「帰り道! 回り道! 獣道! 迷い道!」のコール&レスポンスで客席を煽るなど、快活なパフォーマンスでオーディエンスと一体になってライブを楽しむメンバーの姿は、やはり年相応の女の子たちといった様子で微笑ましい。その後、マイペースなグッズ紹介のMCを挟んだところで、ノスタルジックなバラード「おやすみ」、小西遼のサックス・ソロが華やかさを加えた「まぶしい」、そしてsora tob sakanaのレパートリーの中でも随一のスリリングな展開を見せるマスロック・ナンバー「広告の街」と、この辺りのパートでは生バンド・サウンドの醍醐味をこれでもかと堪能させる。
ここまで披露された楽曲は、1曲目の「ribbon」を除くと全て1stアルバム『sora tob sakana』に収録されているもの。つまり、ファンにとってもお馴染みの既存曲たちがフル・バンド・セットによって再構築されるという流れ。そしてここからは、4月11日にリリースされたばかりの最新作『cocoon ep』に収められている新曲を交えながらのラスト・スパートになだれ込んでいく。
「夢の盗賊」「夜間飛行」と、バンドのアンサンブルはより一層厚みを増していくが、オサカナちゃん4人も負けじと複雑な変拍子を捉え、情緒的なメロディをしっかりと歌い上げていく。本編ラスト、この日一番の轟音に包まれた「夏の扉」でメンバーは、「私たちsora tob sakanaは、これからもみなさんにもっと良い音楽を届けます!」と宣誓し、楽器を弾き倒し続けるバンドを残してステージを去っていった。
盛大なアンコールを受けて最初に登場した照井は、「こんなに盛り上がるライブをやったのは人生でも初めてかもしれない。当初描いてた夢にも段々近づいてる感じがしてて。次に向かって構想も考えてるし、作りたい曲もまだあるので今後ともsora tob sakana共々よろしくお願いします」と話し、合流したオサカナちゃんたちと「新しい朝」を披露。
「さっき照井さんも言ってたようにここだけではまだ終わってられない。ここからもっと上を目指していきたいと思います」(神﨑風花)、「こんなにたくさん来てくれると思わなかった。今日は本当に楽しかったです。みなさんも楽しかったですか? それなら良かったです」(山崎愛)、「私はあんまり人がいっぱいいるの好きじゃなくて。でもこうやってステージから見てるのは大丈夫になったから、すごい成長できたなって思います。ありがとうございました」(寺口夏花)、「去年のワンマンライブでは簡単に“売れたい”って言っちゃったんだけど、今回の単独公演を通して、売れるのは簡単なことじゃないってよく分かりました。すぐ売れたとしてもつまらないと思うし、山あり谷ありの活動をしていけたらいいなって思います。みなさんと一緒に売れていきたいからこれからもよろしくお願いします」(風間玲マライカ)と、それぞれが挨拶し、「透明な怪物」「クラウチングスタート」をパフォーマンスしてライブを締めくくった。
この日のMCでも告知された通り、sora tob sakanaは、6月4日にMaison book girlとの2マン企画を恵比寿LIQUIDROOMにて開催。そして7月16日の【ピエールフェス2017】では再びバンド・セットでのライブを行う。さらにその翌日17日には東京・渋谷WWW Xでの【結成3周年記念ワンマンライブ】も決定した。この日の余韻未だ冷めやらぬままではあるが、sora tob sakanaの今後の動向からも目を離さずにいたいところだ。
Text:Takuto Ueda
<セットリスト>
SE. 海に纏わる言葉
01. ribbon
02. 夜空を全部
03. Summer Plan
04. My notes
05. 帰り道のワンダー
06. おやすみ
07. まぶしい
08. 広告の街
09. 夢の盗賊
10. 夜間飛行
11. 夏の扉
-En-
12. 新しい朝
13. 透明な怪物
14. クラウチングスタート
◎公演情報
【sora tob sakana 単独公演「月面の音楽隊」】
日程:2017年4月30日(日)
場所:東京・恵比寿LIQUIDROOM
<sora tob sakana band set メンバー>
Guitar:照井順政(ハイスイノナサ/siraph/sora tob sakana音楽プロデューサー)
Drum:松下マサナオ(Yasei Collective)
Bass:中西道彦(Yasei Collective)
Percussion:佐藤香(ハイスイノナサ/ex Aureole)
Keyboard:森谷 一貴(ハイスイノナサ)
Guitar:オータケコーハン(from LAGITAGIDA/sajjanu/あらかじめ決められた恋人たちへ)
Keyboard:小西遼(CRCK/LCKS)
◎公演情報
【sora tob sakana presents. ~月面の扉~】
日程:2017年6月4日(日)
場所:東京・TSUTAYA O-nest
時間:OPEN 11:00 / START 11:30
料金:前売り 2,000円(D代別) / 当日 2,500円(D代別)
出演:sora tob sakana / Maison book girl
◎イベント情報
【ピエールフェス2017】
日程:2017年7月16日(日)
会場:東京・恵比寿LIQUIDROOM
時間:OPEN&START 16:00
料金:4,181円(良いバイブス価格!tax in./D代別)
◎公演情報
【sora tob sakana結成3周年記念ワンマンライブ】
日程:2017年7月17日(月・祝)
場所:東京・渋谷WWW X
時間:OPEN 11:30 / START 12:30
料金:前売り 3,000円(D代別) / 当日 3,500円(D代別)
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