2017/04/24
アルスマグナのライブにはたびたび登場し、圧倒的なダンスパフォーマンスとステージングで人々を魅了してきたK-POPスター、パクドルが、同じくセクシーでパワフルなダンスチーム、パクドラゴンを率いて東京・TSUTAYA O-EASTでワンマンライブ【PARKDOLL ONE MAN LIVE MONSTER】を開催した。
アルスワールドでは彗星の如く現れたスーパースターとして人気を博し、4月19日には1stアルバム『Yes...』をリリースしてますます注目を浴びているが、その存在はまだまだベールに包まれたまま。スターが目の前でたっぷりパフォーマンスしてくれると思うといっそう待ち遠しくなった。
世界の大都市をスクリーンが映し出すと黒い衣装のパクドラゴンと、彼のために駆けつけたパフォーマンス集団TRIANGLE CONNECTIONのアクロバティックなダンスで迎えられ、お立ち台にパクドル、堂々登場。ライブ1曲目は「Physical」だ。大歓声に包まれた彼はシルバーのトレンチコート姿のキリッとした顔つきで腕を大きく広げ、ダラーたちの歓声を受け入れている。いよいよパクドルワールドの幕明けだ。男性ダンサーとのフィジカルのぶつかり合い、女性ダンサーとのセクシーな絡み、観客を盛り上げる手拍子の仕草でさえも振り付けの一部。まったく隙のないパフォーマンスがいかにもパクドルらしい。コートを脱ぎ捨てた「Spend The Night」でも片手にワイングラス、もう片方はポケットにつっこみ、ダンディに踊る姿もまたクール。
「皆サン、遊ビニ来テクダサッテドウモアリガトウゴジャイマス。アー、僕ハチョット疲レチャッタカラ、アー、休憩スル」。多少のなまりはあるものの、大物感がにじむ日本語でのMCも完璧だ。お立ち台兼、手動式の小さなフロートに椅子を乗せて腰掛けるパクドルは、自身が描いたアーティスティックな母親の似顔絵と共に、謎に包まれていたおいたちを語り始めた。女優として活躍する韓国人の母と、日本人の父の間に生まれた彼は、母親の意向で物心ついたときからパクドルとしてデビュー。そのため友だちと遊ぶことは少なく、弟のHEROが唯一の遊び友だちだったのだそう。そう、彼は生まれながらのスターなのである。
気づけばサブステージから光が漏れている。その扉を自ら開けると、中には豪華なシャンデリアにティーテーブルと椅子が置いてある。ここはパクドルの部屋。ピアノ曲をBGMに、本を手に取ってカッコいい風に朗読し始めた。「愛ッテ何ダロウ……?」。声のトーンを下げて愛について哲学的風に読み進める中、会場から笑いが起こったのは懸命に話す日本語のたどたどしさがキュートだったからか、少しナルシストの匂いがする彼のキャラクターに対してか……。悲壮感を漂わせ“神はなぜ僕だけに美貌を与えたのだろう”と、気持ち悪いぐらい扉にすがりつきながら歌う「悲しみのオットカジョ」では、オーディエンスの笑いを一気に爆笑へと変えてしまった。さすがパクドル、計算し尽くした演出。
会場の空気を一瞬で変化させるのもお手のもの。アグレッシヴなダンスナンバーでは体が透けて見えるメッシュのタンクトップにシャツを羽織り、鍛え上げられた胸筋や腹筋を見せつけるべく、わざわざ送風機をステージ袖から持ってきて風の前に立ち、シャツを翻す。ダンスパフォーマンスは申し分なくハイクオリティでかっこいい上で、この奇抜な演出だからこそパクドルのステージは美しい。体の芯に響くビートの「SupaStar」では、歌の最中にベルト部分が光る緑のホットパンツに早替えして、ダラーたちからの黄色い声援を全身で浴びていた。“人はみなモンスターなのだ。そこに神が降臨した”という文字がスクリーンに流れると、今度は真っ白な衣装に身を包み、キレのいいダイナミックなパフォーマンスの「MONSTER」を披露。総勢12人のダンサーを侍らせ、その手足足先にまで神経を行き渡らせて時にしなやかに、時に高速で舞うパフォーマーとしての堂々たる佇まいはまさに神。この世界には人の数だけ欲がある、愛がある、光がある。その狭間でもがくことがあったとしても、誰にでも帰る場所はある。そんな優しくて大切なメッセージをパクドルは国境を越えて伝えに来たのだろう。本編のラストで「Home」を歌いながら両手を広げる彼の姿は、一心に自分を見つめるダラーたちに“それはここだよ”と語りかけているような気がした。
「今日ハ遊ビニ来テクダサッテアリガトウゴザイマス。コウシテ皆サンガ喜ンデクレルコトガ嬉シイデス」と、アンコールのMCで日本のファンのためにいろいろな仕掛けを用意してきたことを語ったパクドル。その極めつけに、なんとこの日は韓国にいる弟のHEROと中継で「Perfect Match feat.HERO」を競演するという、サプライズをダラーたちにプレゼント。日本のファンのためだけを想いながら、自身で構成から振り付けまで手がけたというパクドルのステージは、スーパースターに対する羨望のまなざしとユーモアが交差する、熱狂と興奮の世界だった。
文:恒川めぐみ
◎リリース情報
1stアルバム『Yes…』
2017/04/19 RELEASE
<初回限定盤>(CD+DVD)
UPCH-7248 / 2,778円(tax out.)
<通常盤>(CD)
UPCH-2124 / 2,000円(tax out.)
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