2017/04/08
2016年5月30日 日本武道館にて「時間はかかっても、必ず大きく深みのある人間になってステージに戻ってくる」と約束し、アンジュルムを卒業した田村芽実。2017年5月17日~上演される舞台【minako-太陽になった歌姫-】の主演として芸能活動をいよいよ再開する。これに伴い、同舞台の脚本・演出を手掛ける野沢トオルとの対談が実現。今回はその第三弾をお届けする。
第一弾はこちら→ http://bit.ly/2lotSIc
第二弾はこちら→ http://bit.ly/2nNysBC
<「私は歌いたい歌をうたうの」「私は歌う為に生まれてきたんだから」>
--奇跡のような巡り合わせで本田美奈子.役に抜擢された訳ですが、アンジュルム卒業時にはこんなに早くステージに戻ってこれるとは思ってなかったんじゃないですか?
田村芽実:あ、1年後というイメージは自分の中でもあったんです。でもアンジュルム卒業時には本当に何も決まってなかったですし、そのくせに取材とかコンサートで「絶対戻ってくる」とか言っちゃって……でもそれは自分を絶対に戻って来させる為に自分で言ってました。あんまりにも「絶対戻ってくる」って私が言うもんだから、事務所の方とかも「それだけ言い切るってことは、本当は次入る事務所決まってるんでしょ?」って言ってたりして(笑)。それぐらいドンと構えているところがあって、なんか「絶対平気だ!」と思ってたんですよね。そしたら今回のお話が来たので「巡り会えることが決まっていたのかな」って。
--これから本格的な稽古も始まっていくと思うんですけど、上演に向けて田村さんから野沢さんに聞いておきたいことはありますか?
田村芽実:アンジュルムの頃はコンサートでMC監督や総合的な演出をしてくれている方と、アイドルグループの中のひとり。という関係性だったんですけど、お芝居になると演出家さんと役者という関係性になって、1対1になることがおそらく多くなってくると思うんですけど、私の中では元々遠い存在のイメージなので……何を聞こうかな? でも今のうちに何か聞いておきたいのでちょっと考えますね。
野沢トオル:俺って別に遠い存在じゃないでしょ?
田村芽実:野沢トオルさんっていう人間は凄い近しくお話させて頂いたり、家族ぐるみでファミレスに行ったりもするんですけど(笑)、でも演出家という肩書きになるとぐーんって遠い、高い存在になっちゃう気がして。
野沢トオル:そう? 演出している途中も大体娘のことばっかり考えてるけどね(笑)。
田村芽実:トオルさん、娘さんのことが大好きなんですよ! 一緒にご飯食べに行ったときも私のことなんて全く見ずに「可愛いね」って娘さんにずっと言ってて(笑)。
野沢トオル:親バカですわ。
田村芽実:あ、聞きたいことあります!【minako-太陽になった歌姫-】のオーディションを見学させてもらったときに、トオルさんが手掛けた脚本のワンシーンを観させてもらったんです。とあるオーディションを受けた帰りに友達に「こういう曲を歌って、こういう曲も歌って」と話しているシーンなんですけど、その友達から「どうしてそんな曲歌うの?」と聞かれて「いいの! 私は歌いたい歌をうたうの」って答えるんです。このセリフっていうのは今回のお話の中のキーワードになるんじゃないかなってすごく感じて。そのセリフは大事に大事に発するというか、話そうと思ったんですけど……合ってますか?
野沢トオル:合ってる。
田村芽実:よかった!
野沢トオル:「私は歌いたい歌をうたうの」と「私は歌う為に生まれてきたんだから」っていう言葉は本田美奈子.さんの拘りというか、本作の中ですごく大きなテーマにしているんですけど、これをもっと噛み砕いて噛み砕いて記号的に、目印的に、もっと演劇的に分かりやすく表現できるんじゃないかと思っていて、どれだけお客さんの中にスゥーっと入り込ませることが出来るか。そこはすごく考えていて、なのでめいめいの着眼点は合ってる。
田村芽実:オーディションで本田美奈子.さんのそのセリフをいろんな方が言う度、私は涙が出そうになって。本当に「歌いたい歌がうたいたい」って気持ちでずっといたんだろうなって改めて感じたんです。
野沢トオル:そうだね。だからそこのセリフは純粋に書かなきゃなと思っていて、あんまり「セリフにしよう、セリフにしよう」と思ってしまったら本田さんの想いが伝わらなくなってしまうんだろうなって。だから乱暴な言い方をしてしまえば、あとは役者に苦しんでもらおうと(笑)。「歌いたい歌をうたうんだもん」と台本に書いてしまえば、役者もラクだと思うんだよね。お客さんにも伝わりやすいし、役者も労せずして伝えられると思うんですけど、ストレートに「歌いたい歌をうたうんだもん」って書くよりは役者に苦しんでもらって、それがお客さんに伝われば……僕もプレイヤーだから分かるんだけど、役者冥利に尽きると思うんだよね。だからあまり作り込もうとせず、本当にピュアにシンプルに本田美奈子.さんのセリフにしていこうと思ってて。だって、本田美奈子.さんもそんな丁寧に言った訳じゃないと思わない?
田村芽実:そうですね。
野沢トオル:彼女は想ったことをバァ~って口にしたんだと思うんだよね。そんなに丁寧に言った訳じゃないと思うんですよ。だからセリフとして丁寧に作り込んでしまったら、本田美奈子.のイメージが伝わらないと思うし、そういう意味で役者に苦しんでもらおうと思ってる(笑)。
--これから苦しむんですね?
田村芽実:がんばります!
野沢トオル:でも楽しいよね。それを伝えようとするのはすごく楽しいと思う。
<田村芽実第二章のスタート、これから成長していく田村芽実のストーリー>
--ちなみに、今回の初主演舞台。アンジュルムのみんなにも観てもらいたい気持ちはある?
田村芽実:あります! アンジュルムのみんなにも絶対に観てもらいたいです! メンバーのみんな、特に2期メンバーまでは私が本田美奈子.さんを好きなことは知っているので、すごく喜んでくれたんです。なので、アンジュルムのみんなはもちろんそうだし、今までお世話になったスタッフさんたちにもお手紙を書いて「来てほしいです」と伝えたいと思ってます。
--本田美奈子.さんもよく立たれていた帝国劇場に自分も立つこと。それが夢だとかつて語っていましたが、それは今も変わらず?
田村芽実:変わらないです! ミュージカルの聖地と言えば帝国劇場じゃないですか。アーティストさんが東京ドームや日本武道館を目指すように、ミュージカルをやっている方はみんな「帝劇に立ちたい!」っていう気持ちがあって、私もいつか立ちたいと思ってます。
野沢トオル:ぜひ2年ぐらいの計画で立ってほしいね!
田村芽実:2年!? でも立ちたいです!
--田村芽実の今後の女優人生、それこそ帝国劇場に立つ夢を叶える為にも【minako-太陽になった歌姫-】は重要な舞台ですよね。
田村芽実:そうですね。帝国劇場で上演されている『ミス・サイゴン』は、日本での上演にあたって本田美奈子.さんが初めて主役のキムを演じたんですけど、まだ私が『ミス・サイゴン』を観る全然前、小学生の頃から「本田美奈子.さんが演じたから、私もキムを演じたい」と思っていたんですよ。本田美奈子.さんが演じた役をとにかく自分も演じたかったんですよね。『レ・ミゼラブル』のエポニーヌに対してもそういう気持ちがありましたし、本田美奈子.さんの影響というものはそれぐらい大きいんです。
野沢トオル:めいめいがレミゼ出たら絶対観に行くよ。
田村芽実:絶対演じたいです!
--本田美奈子.を演じた女優が、本田美奈子.の演じたキムやエポニーヌを演じる。こんなストーリー、いまだかつてないですからね。
野沢トオル:実現したら凄いことだよね。でもやれるさ! 俺には見えるね。
一同:(笑)
--では、最後に。5月17日より上演される【minako-太陽になった歌姫-】。ご覧頂きたい皆さんへメッセージをお願いします。
田村芽実:トオルさんにとっても私にとっても新たなスタートのお芝居になりますし、これまでお芝居が好きじゃなかった人にも観て頂きたいですし、何より本田美奈子.さんを愛していた方たちに観て頂きたいなという気持ちがあって。でもその為には私自身にちゃんと本田美奈子.さんを落とし込むことが大事だと思うので、そこはとにかくとにかく頑張っていきたいと思います。私自身はまだひよっこでもない、まだ玉子でもない、何も分からない状態の1年生からスタートなので、いろんな人の話を聞いて、とにかくガムシャラに頑張りたいと思います!
野沢トオル:この作品は本田美奈子.という人物にスポットを当てて、もうひとり架空の人物である作家の目を通して本田美奈子.を見つめていく。という側面も持っているんです。そのニ側面から笑顔だったり、家族だったり、生きる力だったり……様々なテーマを描いて、それをひとつの舞台作品として皆さんに観てもらいたい。ひとりの女性のドキュメンタリーだけではなく、劇でもある。コメディの要素もふんだんに盛り込んでいるし、そういう意味では面白く。また、本田美奈子.という女性、歌姫の生き方も見てもらう。全編生演奏も入りますし、皆さんに楽しんで頂ける作品になると思います。そして、本人もまだ「玉子でもない」と言っていましたが、5月17日から始まる【minako-太陽になった歌姫-】という作品で田村芽実第二章のスタート、これから成長していく田村芽実のストーリーの始まりをぜひ目にしてほしいですね。
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada
◎舞台情報【minako-太陽になった歌姫-】
2017年05月17日(水)~21日(日)CBGKシブゲキ!!(東京都渋谷区)
概要:2005年に急性骨髄性白血病で逝去した、歌手「本田美奈子.」。日本の歌姫と呼ばれた彼女の軌跡を描く。愛と夢と希望の物語。2017年春・野沢トオルの脚本・演出、株式会社BMIエグゼクティブプロデューサー・高杉敬二氏の総合監修により遂に舞台化が決定した。
http://stage-minako.com/
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