2017/04/08
今年3月にファーストアルバムをリリースし、来る5月16日には浜離宮朝日ホールで本格リサイタルデビューを果たす尾崎未空。彼女がピアノを始めたのは4歳の時。同じくピアニストとなった兄、尾崎有飛の影響だった。
「子供の頃から身近にピアノの音が流れていたので、ごく自然に始めました。他に水泳やバレエも習いましたが、とくにバレエは、体が柔らかくなかったことと、衣装が好みでなかったこともあって(笑)、続きませんでしたね。そんな中でピアノを選び、小学5年生のときから江口文子先生に師事しました。すばらしい先生の存在、そして目標になる兄の存在がある恵まれた環境のおかげで、ピアノへの気持ちが深まっていきました」
今度のデビューリサイタルは「5月の春らしい雰囲気が感じられる」バッハ=ラフマニノフ編の「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」ではじめ、「近づきやすい存在」だというリスト、そして「自分が全部出てしまう」ショパンを取り上げる。「リストは、自ら優れた演奏家で、ピアノで自分を表現することが上手な人です。正直で社交的、他人の作品も良いと思えば素直にほめるタイプ。そんなところに近づきやすさを感じるのだと思います。それに対してショパンは難しいですね。弾いていると自分の良いところや悪いところが見えてしまいます。今度演奏するピアノソナタ第3番も、これで完璧に理解できたといえる時はずっと来ないと思いますが、今の時点で感じていることを伝えられたら」
加えて、前半最後に演奏するシマノフスキの「変奏曲」は、中学3年生のときから弾き続けている大切なレパートリーだという。「初めて出会ったとき、こんな素敵な曲を書く作曲家がいるんだ!と、譜読みしていて感動してしまいました。テーマや複雑な和声、最後は長調になって救われるように終わるところも、とても好きです。シマノフスキがこの曲を書いたのはちょうど今の私の年齢の頃だと気づいて、今回のデビューリサイタルで取り上げずにはいられませんでした」
現在21歳の彼女。2016年ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ受賞で活動の場を大きく広げた。「一人で練習していると、作品の細かいところに興味が湧いてどんどん突き詰めていってしまうタイプなのですが、こうしてステージで弾く機会をいただくようになって、客観的な視点が持てるようになり、流れる時間の中で演奏するからこそ見える大切なものに気がつきました。誰かと音楽を共有することを改めて楽しいと感じています。アンサンブルの演奏機会が増えたことも、その楽しさに気づいたきっかけです」
ステージの経験を重ね、音楽性を花開かせている真っ最中の彼女。デビューリサイタルでは、客席とどんな音楽を共にしてくれるのだろうか。インタビュー・文:高坂はる香(音楽ライター)
◎公演情報【尾崎 未空 ピアノ・リサイタル】
2017年5月16日(火) 19:00
浜離宮朝日ホール
◎リリース情報『MISORA』
KICC-1357 3,000円
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