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2017/03/23

カントリー・ガールズ ももちと後輩たちが完成させた絆! こぶしファクトリーは偉大なるフォークの歴史継承(ハロプロ'17連載vol.3)

 モーニング娘。'17、アンジュルム、Juice=Juice、カントリー・ガールズ、こぶしファクトリー、つばきファクトリー、ハロプロ研修生が一同に会し、1月2日より全国各地で開催された【Hello! Project 2017 WINTER】。先月末に全公演が終了し、そして今週末3月25日と26日に【Hello! Project ひなフェス 2017】が開催されるこのタイミングでハロー!プロジェクト各グループのアクトを振り返りつつ、その凄みについて連載形式で記したい。今回はその第3弾となる。

01.モーニング娘。'17 13期がデビュー戦から覚醒! そして天才まーちゃん活動再開へ「優樹はモーニング娘。に戻ります!」(vol.1)はこちら→ http://bit.ly/2neM996

02.Juice=Juice 武道館実現後も更なる高み見据えたアクト! 覚醒したつばきファクトリーは先輩にも動じない姿勢示す(vol.2)はこちら→ http://bit.ly/2nKMapI

<こぶしファクトリー 偉大なるフォークの歴史を継承「春を告げる花になろう」>

 ハロプロ楽曲群の中でも時に見受けられる、聴く者を鼓舞するメッセージソング。それはポップスやロック、ヒップホップ等、様々な音楽スタイルを用いてここ日本でも何十年にもわたって発信されているが、かつてはその受け皿として最も多く活用されていたジャンルはフォークだった。岡林信康「私たちの望むものは」、吉田拓郎「人生を語らず」、泉谷しげる「春夏秋冬」、長渕剛「逆流」など抗いようのないものに対してボロボロになりながらも立ち向かっていく、或いは見えない明日への渇望を発信していくフォークが次々と生まれ、その歌にかつての若者は心を重ねては涙し、共に歌い叫んだ。「今ある不幸せにとどまってはならない」「越えて行け そこを 越えて行け それを」「今日ですべてがむくわれる 今日ですべてが始まるさ」「だって僕は僕を失う為に 生きてきたんじゃない」

 そんなフォークの先人たちが紡いできた魂のフレーズ。メロディー。歌。それらの継承とも受け取れるメッセージソングが、なんと日本を代表するアイドルの祭典【Hello! Project 2017 WINTER】にて響き渡ったのだから驚きである。そのタイトルは「辛夷の花」。歌い手は、平気年齢16歳前後の少女たちによるこぶしファクトリー。共演者たちがキラキラした笑顔で歌い踊る中で、彼女たちは熱い眼差しで目の前を真っ直ぐ見つめながら「誰も皆笑うことを忘れ 誰も皆ふさぎ込んでいても 私たちは笑おう」と矜持を述べ、さらには「冬のように 凍えてる 人々の心に 春を告げる花になろう!」と歌い上げてみせた。

 時代も違えば、年齢も違うし、ましてや彼女たちはアイドルだ。当時のフォークとは切実さが違うと笑う人もいるかもしれないが、平気年齢16歳前後の少女たちが懸命に理想へ向かって立ち向かっていく様、それをありったけのエモーションでもって歌っていく純粋さは、彼女たちにしか表現し得ないフォークであり、メッセージソングであろう。

 なお、彼女たちは同公演で「懸命ブルース」なる楽曲も披露している。かの音楽特番で長渕剛がギターを掻き鳴らしながら早口で感情をぶちまけていったシーン。あれを彷彿させるような展開に驚いていると、終盤ではかの富士山オールナイトライブを連想させるシンガロングと、もちろんあそこまで重厚でぶっ飛んだ次元ではないにしても、どのアイドルも踏み込んだことのないアプローチでオーディエンスを沸かしていた。新旧フォークシーンのファンをも巻き込める可能性を持ったアイドルグループ・こぶしファクトリー。まだ知らない人はぜひ着目してほしい。

<カントリー・ガールズ ももちのギレンばりの名演説に拍手喝采!>

 そんなハロプロに新しい血潮を注入している若手の台頭に対し、今回の【Hello! Project 2017 WINTER】が最後のハロコン出演となったアイドルがいる。嗣永桃子。ももちと言えば、アイドルに興味がない人でも分かるだろう。アイドルシーンに限らず、お茶の間から全国各地に笑顔を届けまくった人気者である。Berryz工房、Buono!、そして現在のカントリー・ガールズの主要メンバーとして約13年にもわたってハロプロを牽引してきた彼女だが、いよいよ今年6月30日をもって卒業。教育の分野に進むべく芸能界から引退する。自他共に認めるアイドル以外の人生は想像できない逸材であり、卒業発表の際に「アイドル界に伝説を残したい」と述べていたが、すでに彼女が残した伝説の数々は挙げればキリがない。卒業まで約3か月となった今も彼女がアイドルじゃなくなるということに対し、現実味が湧かない人も少なくないだろう。

 しかし彼女は悔いなく残りのアイドル人生を謳歌するべく奔走中。同公演では「ももちはいろんな曲を今まで歌わせて頂いたんですけれども、中でも思い入れのある曲を各グループから1人ずつ選抜して一緒にコラボレーションで歌いたいなと思います!」と、ももちの大ファンとして有名な譜久村聖(モーニング娘。'17)をはじめ、佐々木莉佳子(アンジュルム)、宮本佳林(Juice=Juice)、梁川奈々美(カントリー・ガールズ)、浜浦彩乃(こぶしファクトリー)、岸本ゆめの(つばきファクトリー)といったドリームチームと共にBerryz工房の「ギャグ100回分愛してください」をパフォーマンス。何ともももちらしい選抜と選曲であったが、誰よりも長くハロプロメンバーとしてハロプロを観てきた彼女が認める、自身の卒業後のハロプロを引っ張っていくであろう逸材たちとのコラボは、楽曲の振り切れたポップネスも手伝って「これぞアイドルの真骨頂!」と思わせる内容で我々を唸らせ、この上なくトキメかせてくれた。

 そんなももちがアイドル人生最後の場所として選んだカントリー・ガールズ。そのメンバーたちとの絡みも印象的だった。自らを「世界一可愛いアイドル」と自称する彼女の姿勢に相応しく、可愛いメンバーと可愛い楽曲を可愛いパフォーマンスでお届けする結成当初からのコンセプトは洗練され、例えば【Kaleidoscope】における終盤の「恋泥棒」「浮気なハニーパイ」「ブギウギLOVE」では、各メンバーそれぞれの振り切れた可愛い(歌も動きも表情も)をコンボ式に叩き込んでくる離れ業でもって観客をノックアウト。その一方で「Good Boy Bad Girl」なる最新ロックチューンでは、男勝りのパンチあるボーカルワークと鋭く激しいダンスも繰り広げ、どのハロプログループもそうであるように“決して可愛いだけではない”パフォーマンス集団であることも証明していく。

 また、各グループが揃うMCコーナーでも本領発揮。ももちが「MCで前に出ていく為にはどうすればいいか?」という問いに対して「自分が発言したり何かをやったときにシーンってなるんじゃないか。スベるんじゃないか。そういう恐怖心から前に出れなくなる。だから私はみんなに言いたい。スベった責任は誰にあるのか。それは発言者だけの責任ではなく、その周りにいる人たち。すなわちグループの責任である!」と断言。途中でエーイングが巻き起こるも、そのギレン・ザビばりの名演説に会場中が拍手喝采! そこでカントリー・ガールズの面々が「さすが嗣永さん!」「涙が出てきそうだよ~!」と抜群のチームワークを見せると、ももちは「これよ、これ! 盛り上げていくグルーヴ感をみんなで作っていくことが大事なの!」と畳み掛け、会場は笑いと共にまさかの感動的な空気に包まれた。

 紆余曲折を経てきたカントリー・ガールズが、それでも決してメンバーからは苦味を感じさせず、笑顔を絶やさず、今こんなにもハロプロの中心で胸を張っている姿はお見事としか言いようがなく。それこそももちが卒業発表で語っていた「アイドルは泣き顔よりいつでも笑顔。っていう私のモットーをみんな守っているんだと思う」という言葉。そのスピリットが同公演からはヒシヒシ感じ取ることができた。3月25日と26日に開催される【ひなフェス 2017】では「嗣永桃子プレミアム」公演もあるが、そこでカントリー・ガールズの面々がももちに対して、そしてももちと共にどんなトキメキと笑いと感動を届けてくれるのか。こちらも要注目である。

vol.4へつづく―――

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada

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