2017/03/21 23:00
現行インディー・ミュージック・シーンの中でもひと際注目を集める2組、LUCKY TAPESとWONKによる共演が3月16日、ビルボードライブ東京のステージで実現した。
2015年のデビュー・アルバム『The SHOW』で音楽リスナーからの注目を一気に集め、翌年にはtoeの美濃隆章氏を共同プロデュースに迎えて制作された2ndアルバム『Cigarette & Alcohol』をリリース、その後【FUJI ROCK FESTIVAL】への出演も果たすなど、目を見張るほどのスピードでシーンを駆け上っている真っ最中のLUCKY TAPES。昨年12月にNulbarichとのツーマンでビルボードライブ大阪のステージに立った彼らだが、ビルボードライブ東京でショーを行うのは今回が初だ。
大阪ですでに実証済みのことではあったが、高橋海(Vo/Key)、田口恵人(Ba)、高橋健介(Gt)のメンバー3人にドラム、コーラス、パーカッション、ホーン・セクションなどを加えた豪勢な“ラッキー・サウンド”は、ジャズ・クラブ然としたビルボードライブのステージでよく映える。黒い音楽の血筋を受け継ぎながら、J-POPの背景もしっかり持っている彼らの音楽が「レイディ・ブルース」を皮切りに響き渡れば、会場の隅々まで多幸感が沁みわたっていく。ちなみに、この日の公演からコーラスの担当が新メンバーだ。新たにサポートとして加わったのは、都内を中心に活動するシンガー・ソングライターUKO。その艶のある歌声で高橋のシルキーな歌声と美しいハーモニーを見事奏でてみせた。未だ音源化されていない最新曲「シェリー」や、ペトロールズのトリビュート・アルバムに収録されている「Profile」、そしてラストは歌い出しを高橋健介が務めたスペシャル・ヴァージョンでの「TONIGHT!」で締めくくられたLUCKY TAPESのステージ。ハッピーでありつつ、このまま終わってほしくないという少しの切なさを感じさせる祝祭的なムードが、終始会場を満たし続けた。
対するWONKは、Kento NAGATSUKA(Vo)、Ayatake EZAKI(Key)、Kan INOUE(Bass)、Hikaru ARATA(Dr)からなる4ピース・バンド。今年6月に来日を控えるロバート・グラスパーやそんな彼も一目置くハイエイタス・カイヨーテといったモダン・ジャズ、フューチャー・ソウルに対する日本からの回答ともいえる新進気鋭の注目株。昨年9月に1stアルバム『Sphere』をリリースして、こちらも一気に早耳リスナーたちの話題を掻っさらった。
幕開けはピアノとサックスが絡み合う静謐なIntroからスタート。そこにKento NAGATSUKAの甘い歌声が乗って「over」に続く。“エクスペリメンタル・ソウル”を掲げるだけあって、パフォーマンスには巧みな変拍子やメロディーのフックなど、ところどころに聴き手をハッとさせる仕掛けが組み込まれている。楽器の腕前も確かなもので、各パートのソロでは客席からの喝采を巻き起こしていた。ステージ上ではクールな佇まいが印象的なWONKだが、そのパフォーマンスは実にダイナミズム溢れるもの。彼らがライブ・バンドであることがよく分かる熱演ぶりだ。マイケル・ジャクソンの「Butterflies」や、ダリル・ホール&ジョン・オーツの「I Can't Go for That」、J・ディラのメドレーといった洋楽カヴァーも完成度が高い。ステージ後方のカーテンが開き、夜景をバックに背負いながら、フィナーレはアルバムのリード・トラック「savior」で迎えた。
共演に先駆けて公開されたインタビュー(http://www.billboard-japan.com/special/detail/1850)からも分かる通り、音楽的ルーツやバンドの在り方こそ違う両者だが、そう遠くない未来、日本の音楽シーン全体を巻き込む台風の目になることは間違いなさそうだ。2017年の躍進にもますますの期待がかかる。
Text: Takuto Ueda
Photo: Yuma Totsuka
◎公演情報
【LUCKY TAPES×WONK】
2017年3月16日(木)
ビルボードライブ東京
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像