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2017/02/25 17:50

田村芽実(アンジュルムOG)×野沢トオル【minako-太陽になった歌姫-】対談 vol.2「本田美奈子.さんが選んでくださった」

 2016年5月30日 日本武道館にて「時間はかかっても、必ず大きく深みのある人間になってステージに戻ってくる」と約束し、アンジュルムを卒業した田村芽実。2017年5月17日~上演される舞台【minako-太陽になった歌姫-】の主演として芸能活動をいよいよ再開する。これに伴い、同舞台の脚本・演出を手掛ける野沢トオルとの対談が実現。今回はその第二弾をお届けする(第一弾はこちら→ http://bit.ly/2lotSIc)。

<アンジュルム卒業公演で受け取った愛「その愛を私が返していく番」>

--2016年5月30日【アンジュルム コンサートツアー 2016春『九位一体』~田村芽実卒業スペシャル~】@日本武道館(http://bit.ly/1sKdhPx)。野沢トオルさんの愛情(クリエイティブチーム(構成/演出/映像))も込められた卒業公演は、今振り返るとどんな公演だったなと思いますか?

田村芽実:夢のようでした。本当に現実だったのかどうかも分からないぐらい、夢のようでしたね。たくさんペンライトがあって、自分の色に染まったりして嬉しかったし、スタッフの皆さんもすごく愛情を注いでくださって、卒業セレモニーの衣装もすごく可愛らしいものを作って頂けて。私、そんなにたくさん生地を使わないものでよかったんです。その分、次のアンジュルムの衣装を豪華にしてほしいと思っていたので……

--どれだけ良い子なんですか(笑)。

田村芽実:だってそうじゃないですか! 私は卒業するので、フリフリのドレスとか着たいと思わなかったんですよ。逆に脱いで、剥いでいきたい。脱皮みたいなイメージが自分の中でもあったので、そんなに華やかなイメージをしていなかったんです。でも衣装さんとかたくさんの方々が「華やかにしたい」ってあの衣装を作って下さって。それと「自転車チリリン」のベンチも「ミュージカルをやっていきたい」という私の想いを汲んでお芝居仕立てにする為に用意してくれたもので、これまでの私だけじゃなくてこれからの私のことまで考えて下さっていたんですよね。本当に皆さんの愛情を感じましたし、その中でコンサートをやって、そこでまたファンの方たちから大きな愛をいっぱい頂いて。私はそれを持ち帰ってきたので、ここからはその愛を私が返していく番だなって思います。

--そうして田村さんは女優として独り立ちされる訳ですけど、実は野沢さんも【minako-太陽になった歌姫-】が独立後初のプロジェクトになるんですよね?

野沢トオル:そうですね。今まで集団で演劇を創っていることが多かったんです。そこで作家として書く仕事をやってきたり、自分が表現者となって芝居や演出をしてきたんですけど、去年50歳を迎えまして。そこで組織の中で演劇をやるということから外れて、自分がいろんな方たちと一緒になって演劇を作っていく第一歩。それが【minako-太陽になった歌姫-】なんです。なので、僕も旅立ちの先にあったのが今回の舞台だし、田村芽実もアンジュルムから卒業した先にあったのがこの舞台だったんですよね。

田村芽実:不思議!

<奇跡の満場一致「3つの点が同時に田村芽実を推したんです」>

--そこで本田美奈子.さんの舞台を手掛けようと思ったきっかけは?

野沢トオル:とあるプロデューサーの方が「本田美奈子.さんの生き方を作品に出来ないだろうか?」「どういう作家さんにお願いしようかな?」とずっと考えていらっしゃって、そのプロデューサーの知り合いが僕の舞台を勧めてくれたんです。それがきっかけで3本ぐらい僕の作品を観て頂いて、去年の夏に「じゃあ、一緒にやりましょう」と正式に本田美奈子.さんの舞台をやらせて頂くことになって。

--そして本田美奈子.役に田村芽実を抜擢する訳ですが、野沢さんは彼女が本田美奈子.に憧れていたことを知らずに主演抜擢したんですよね?

野沢トオル:知らなかったです。でも「絶対に田村だ」と思ったんですよね。で、それとは別に、それから数日後にアンジュルムのスタッフさんと食事をした席で「今後、本田美奈子.さんの舞台をやるかもしれないんですよ」って伝えたら、スタッフさんが「実はね、トオルさん知らないと思うんですけど、田村は本田美奈子.さんが大好きで、小さい頃から憧れていたんですよ」と聞いて「本当に?」ってなったんです。

--そうだったんですね。

野沢トオル:その後すぐにプロデューサーの方と一緒に高杉さん(高杉敬二/株式会社ビーエムアイ エグゼクティブプロデューサー)と会うことになった訳ですよ。それで初めてお会いしたときに「本田美奈子.さん役は、実は僕の中でひとりいるんですよね」と伝えたら「僕の中にもいるんだよね」って仰ったんです。なので「ちなみにどなたですか?」と聞いたら「モーニング娘。のね……」と言われて「うわ、どうしよう?」ってなったんですけど、「モーニング娘。のね…………田村芽実が良いんだよね」って。

一同:(笑)

--勘違いされていたんですね(笑)。

野沢トオル:それで「田村芽実、知ってる?」って逆に聞かれて。それでまずはそもそも田村が所属していたグループの認識自体が違う点を修正させて頂いた上で、僕とアンジュルムとの仕事上の関係性など一連の流れを説明したら「そうなの? じゃあ、彼女でいいじゃない」ってなったんです。

--では、事前の情報交換も打ち合わせもなく「本田美奈子.役は田村芽実」とそれぞれに思っていて、満場一致で田村芽実に決まっていたということですよね。

野沢トオル:このお話は、3つの点があったんですよね。プロデューサーの方と「本田美奈子.さんの作品を一緒につくろう」という出発点から始まって、アンジュルムのスタッフさんとの食事会の点、そして本田美奈子.さんのプロダクションという点。この3つの点が同時に田村芽実を推したんです。

<ヤキモチとはちょっと違うんですけど、それに似たような感情>

--結果的に同じ人を見ていたという奇跡。この話を知ったとき、どう思いました?

田村芽実:ビックリしましたけど、私は「本田美奈子.さんが選んでくださったのかな?」と思いました。小さい頃から「いつか本田美奈子.さんの役をやりたい」という夢があって、寝る前に本田美奈子.さんに毎日お祈りをしていた時期があったんです。「私が本田美奈子.さんの役をやりたいです!」って。なので、本当に選んでくれたんだなって思ってます。

--本当にそうかもしれませんね。「そんなファンタジーみたいな話ないよ」って言えないぐらい、奇跡の連鎖が実際に起きてますから。

野沢トオル:いろいろ不思議だよね。僕も歌手をやっていた時代があるんですけど、その中で唯一記憶に残っている歌手が本田美奈子.さんだったんです。これは【minako-太陽になった歌姫-】のオフィシャルサイト(http://bit.ly/2l8qcrA)にも少し書いてはいるんですけど、とある大学の学園祭に僕らが呼ばれたときに、同じくジョイントで一緒にライブをやっていたのが本田美奈子.さんだったんです。当時19歳、31年前ですよ。で、リハーサルの合間にお手洗いから戻ってきたら、体育館で本田美奈子.さんがひとりで歩いてて。当時の社長に「あれ、何やってるんですかね?」って聞いたら「ステージの広さを歩幅で数えてるんだよ。で、どこで立ち止まるか、どこで何をするか計算してるんだ」って。当時は「え、そんなことないでしょ?」って思っていたんですけど、今回【minako-太陽になった歌姫-】を手掛けることになって高杉さんにその話をしたら「彼女は舞台を歩きながら「ここで振り向いたほうがいいかな?」「いや、次のフレーズで振り返ったほうがいいよな」って確認作業をいつもやっていたんだ」って。

--本当だったんですね。

野沢トオル:そんな31年前に観た彼女の作品を創るとは思ってなかったし、本当に不思議な縁だなって感じてます。スマイレージからアンジュルム時代の田村と一緒に仕事をしていて、田村に主演をやってもらうことになって、その田村が小さい頃に本田美奈子.さんに願いをかけていて、夢を見て、そして【minako-太陽になった歌姫-】という作品が生まれる。やっぱり人間っていうのは……推し量れない縁で結ばれていくんだなって思いますよね。

--そんな奇跡のような巡り合わせから憧れの役に選ばれた訳ですが、自分としてはどんな風に本田美奈子.さんを演じたいと思っていますか?

田村芽実:本田美奈子.さんと私の一番の共通点は、やっぱり「歌が大好き」というところだと思うので、とにかく私生活から歌を愛する。そして本田美奈子.さんを演じる……っていうことも考えつつ「もし自分だったらどうするだろう?」「自分がこの状況に置かれたらどういう行動を取るだろう?」って考えながら創っていけたらいいなと思ってます。その為には、私が本田美奈子.さんという人間に近づくことも大事だと思うので……っていう風に考えてるんですけど、いろいろ考えていくと、大好きな本田美奈子.さんが好きかどうか分からなくなってきちゃって。「なんでだろう? なんでだろう?」って考えていたら、本田美奈子.さんっていう人間が素晴らしすぎて“手が届かない存在”に感じるようになってきちゃって、ヤキモチとはちょっと違うんですけど、それに似たような感情を抱くようになっていたんです。「どうすれば本田美奈子.さんに近づけるのか」って。でも、ただただ歌を愛して、周りの方たちと愛を育んでいくことを大切にすること。それが第一歩なんじゃないかなと今の時点では思ってます。

vol.3へつづく―――

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada

◎舞台情報【minako-太陽になった歌姫-】
2017年05月17日(水)~21日(日)CBGKシブゲキ!!(東京都渋谷区)
チケット:スペシャルチケット”minakoシート”2/25先行発売決定
詳細:http://stage-minako.com/news.html#07
概要:2005年に急性骨髄性白血病で逝去した、歌手「本田美奈子.」。日本の歌姫と呼ばれた彼女の軌跡を描く。愛と夢と希望の物語。2017年春・野沢トオルの脚本・演出、株式会社BMIエグゼクティブプロデューサー・高杉敬二氏の総合監修により遂に舞台化が決定した。
http://stage-minako.com/

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