2017/01/18 17:00
人気アーティストが突然サプライズでアルバムをドロップしたり、ダンス動画の予想外のネット人気から曲が爆発的にヒットしたり、短い準備期間のみで曲がリリースされたり、今の時代、何がヒットするのか予測するのは難しい。
ただ、データから見えてくるものはある。米ビルボードの豊富なチャート・データを使って2017年の洋楽の動向を予測してみよう。
まず、ニールセン・ミュージックが発表した2016年の年間アルバム・セールスの年度末集計データによると、アメリカで最も売れたアーティストは2年連続でアデルだった。2017年にはブルース・スプリングスティーン、トゥール、U2、カニエ・ウェスト、ドレイク、ベック、ロード、ブラッド・ペイズリー、ナイン・インチ・ネイルズ、アーケイド・ファイア、ミーゴス、ハイム、サム・ハント、ビッグ・ショーン、ケシャ、リトル・ビッグ・タウン、そしてもしかするとケイティ・ペリーなどが新作を発表するだろうとみられているが、これらの大物アーティストをもってしてもアデルの数字を超えるのは難しく、思いがけない所からのスマッシュ・ヒットか、テイラー・スウィフトがニュー・アルバムを発売するくらいしか太刀打ちできないだろう。
ちなみにアデルが2017年にニュー・アルバムをリリースする予定はないが、その他に2017年の年間アルバム・セールスを左右しそうなトレンドを5つのキーワードでまとめた。
<女性アーティスト>
テイラー・スウィフトは、これまでリリースの間が3年以上空いたことがない。世界中で大ヒットした『1989』は2014年にリリースされているので、今年新作をドロップする可能性はある。そうなるとアデル同様、今年の話題をかっさらい、チャートの上位を支配するのは必至だろう。彼女は現在6thアルバムを制作中であるとの情報は聞こえてくるがまだ詳細は明らかになっていない。
ケイティ・ペリーも4thアルバムを制作中で、前作から4年近く経っていることや、多くの女性アーティストがメインストリームとポップ・チャートを支配している現状から考えると、ケイティの新作は大ヒットが予想される。
前作から5年経っているケシャもニュー・アルバムを発売予定だ。ケシャはグーグルが発表した2016に最も検索されたアーティストの3位にランクインしており、これはプロデューサーにしてかつての恩師、ドクター・ルークを相手取った訴訟が継続中で、年間を通して話題になっていたことがその理由だった。新作の発売が遅れているのもこの訴訟が原因だが、その話題性も手伝ってニュー・アルバムが発売されればヒットにつながることが予想される。
他にもハイムやロードもアルバムをリリース予定なので、2017年は女性アーティストから目が離せない。
<ヒップホップ・ミーム、二匹目のドジョウ狙い?>
ミーゴスのバイラル・ヒット「バッド・アンド・ブージー/Bad and Boujee」が米ビルボード・シングル・チャート“Hot 100”で初の1位を獲得したことから、2017年1月27日に発売されるニュー・アルバム『カルチャー』への期待が高まっている。レイ・シュリマーもNo.1ヒット・シングル「ブラック・ビートルズ」の勢いを次のアルバムの成功につなげられるか注目だ。
この2作の成功や、デザイナーの「パンダ」のようなキャッチーな曲のヒットから、今後は似たような楽曲が次々とネット経由のヒットを狙って登場してくるかもしれない。
また、突然のツアー中止や入院など、2016年も何かと話題に事欠かなかったカニエ・ウェストは、現在プロデューサーのピート・ロックとタッグを組み、ビデオ・ゲームにインスパイアされたニュー・アルバム『Turbo Grafx 16』を制作中だ。まだタイトルくらいしか明らかになっていないが、彼の一挙一動に注目が集まる中、ニュー・アルバムが発売されれば『ザ・ライフ・オブ・パブロ』に続く大ヒットになることは間違いないだろう。
ドレイクも『More Life』と題された次回作を2017年の初めにドロップすると去年末に発表している。
<反骨精神>
まもなくトランプ政権が発足するが、先の見えない時代の訪れと共に多くの反骨アンセムが登場するかもしれない。2017年にニュー・アルバム『ソングス・オブ・エクスペリエンス』をリリース予定だったU2も、発売を延期してスタジオに戻り、今の時代を反映した曲をレコーディングするかもしれないとコメントしている。
エミネムもトランプ次期大統領を痛烈に批判した8分のシングル「キャンペーン・スピーチ」を2016年10月にドロップした。9thスタジオ・アルバムがリリースされる日も近いだろう。
<EDM+女性ボーカル=ヒット?>
2016年に大ブレイクしたアーティストの代表格と言えばザ・チェインスモーカーズだろう。大ヒット・シングル「クローサーfeat.ホールジー」は米ビルボードのダンス/ミックス・ショー・エアプレイ・チャートの首位に17週君臨し続けて記録を塗り替えた。ニールセン・ミュージックによるとこのシングルは2016年にアメリカだけで2,268,000枚のセールスを記録し、デジタル・ソングとして2番目に多く売れた曲となった。
「ドント・レット・ミー・ダウンfeat.ダヤ」も1,795,000枚売れており、このことから2017年は他のEDMグループが彼らのやり方を模倣し、そこそこ知られている女性シンガーをフィーチャリングしたダンス・トラックをリリースするという現象が起きるかもしれない。
<ストリーミング>
2016年は初めてストリーミングがフィジカルとデジタル・セールスを上回った。現在はまだ基本的にスポティファイとアップル・ミュージックの一騎打ちとなっているストリーミング業界だが、サウンドクラウドとタイダルの買収が噂されているアマゾン・ミュージック・アンリミテッドのオンデマンド・ストリーミング・サービスのデビューや、パンドラの新しいプレミアム定額サービスの開始など、まだまだ成長の余地がありそうだ。
フランク・オーシャン、ドレイク、ビヨンセなどの大物がアップル・ミュージックやタイダルで曲を独占配信するかぎり、2017年もファンはストリーミングを愛用し続けるだろう。
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