2012/05/23
昨年夏にシングルとミニアルバムを1枚ずつリリースし、インディーズシーンに衝撃を与えた4人組 宇宙人が、5月23日にミニアルバム『慟哭』をリリースしてメジャーデビューを果たした。
それまで表立った活動はそれほど行ってこなかったにも関わらず、10年【FUJI ROCK FESTIVAL 】のルーキーステージに出場する大抜擢を受け、以来、耳の早い音楽ファンから「何者!?」と密かに噂されてきた彼ら。
メンバーは20代前半から後半の4人からなり、作詞作曲は全て、ボーカルのしのさきあさこが行っているという。以前よりインタビューなどでも音楽、とりわけ自分たちの楽曲について語ることを拒み、方々から“謎の”と形容されてきた異質な集団だ。
以下は、先日行ったしのさきへのインタビューから、冒頭のくだりを抜粋したものになる。
東京のイメージって何かありますか?
「無いです」
元々持っていたイメージは?
「無いです」
実際に過ごしてみて感じたことは?
「無いです」
……地方との違いも?
「感じ無いです」
出会い頭の“無いです”4連発。新人ミュージシャンとしてはかなり大胆な佇まいとも言えるが、かわいらしい笑顔からは悪意は感じられず、かといって単なる無垢とも思えない。一瞬、心が折れかけたのも事実だが、それ以上に“この人おもしろい!”と興味が湧いてしまう魅力が、人柄にも溢れている。
さらに、しのさきは音楽を殆ど聴かないと語るが、彼女たちが生み出すサウンドはトリッキーながら緻密で、いびつながらポップでと、近年の新人の中でも抜群の聴き応えを持っている。相応の素養や造詣も然ることながら、大人も楽しめるほどの深みまで感じさせる音楽なのだ。
ということは、隠したい何かがあるのだろうか? 何故、自らの音楽について語りたがらないかを訊ねてみると、「作った人が“こうです”って言うと、そういう曲にしかならなくなる」からだと彼女。それは聴き手にムードを感じてもらうためなのだという。
押し付けがましいのが嫌で、例えばテレビならお笑いが苦手。音楽では、バンドステッカーを楽器に貼ることや、ライブハウスの楽屋一面に描かれたバンドマンのサインも、あげくは“バンド”と呼ばれることすらも苦手なんだとか。
宇宙人となる前は、空白スペースが3つの“ ”という名で活動しようと思っていたというエピソードも象徴的だが、以上から察するに、聴く上での先入観やイメージを極力排除し、純粋に音楽を楽しんでもらう。エンターテイメント性が重視される現在のシーンにおいて、けっこう骨のある気風を持った音楽人だと思えてくるから不思議だ。
現在、レーベル公式YouTubeでは、前述の最新アルバム収録曲『もっともっとイン・ザ・ルーム』と『ファンタスチックヨーグルト』のミュージックビデオが公開されているが、こちらの映像には志茂田景樹氏が登場し、軽快なステップを披露。
5月31日にはロックバンド N'夙川BOYS(ンしゅくがわボーイズ)とももいろクローバーZの妹分アイドル 私立恵比寿中学という、異色の共演で贈るレコ発イベントも。こちらへの意気込みとして、しのさきは「映画「太陽を盗んだ男」を観てから来た方がいいんじゃないかと思います」という謎のメッセージを残している。
今回のメジャーデビューで、宇宙人はその名をさらに広めていくだろう。トリッキーなイメージが先行しがちかもしれないが、是非一度、宇宙人からの発せられるその音、そのメッセージに耳を傾けてみよう。
◎ミニアルバム『慟哭』
2012.05.23 RELEASE
KICS-1769 2,000円(tax in.)
◎【(宇宙人レコ発)3MAN LIVE「西向く侍」supported by HMV】
05.31(木)赤坂BLITZ
出演:N'夙川BOYS(ンしゅくがわボーイズ)×私立恵比寿中学×宇宙人
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