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2016/10/13

ポップ・シーンに一切媚びない、断固たるスタンスを貫き自身初の全米1位に…ソランジュ『ア・シート・アット・ザ・テーブル』(Album Review)

 2016年10月22日付米ビルボード・アルバム・チャートで、自身初の初登場1位を獲得した、ソランジュの3rdアルバム『ア・シート・アット・ザ・テーブル』。女王・ビヨンセの妹として、ゴシップ記事などには頻出していたが、アーティストとしての快挙は、8年前に2ndアルバム『ソランジュ&ザ・ハドリー・ストリート・ドリームス』(最高位9位)が初のTOP10入りを果たして以来である。

 本作は、9月30日にサプライズ・リリースされ、1週間で7万枚を越えるセールスを獲得。全21曲という大ボリュームながら、捨て曲は一切なく、良質なR&Bソングのみで構成されている。アルバムの制作は、ソランジュ自身と、ディアンジェロやジョス・ストーンの作品を手掛ける、ネオソウル界の一人者、ラファエル・サディークが担当している。

 デスティニーズ・チャイルドのメンバー、ケリー・ローランドや、人気ラッパーのQティップやリル・ウェイン、「ウップス!」(2002年)のヒットで知られるトゥイート、R&BシンガーのBJ・ザ・シカゴ・キッド、プロデュース業でも大活躍をみせたザ・ドリームなど、いわゆる実力派と呼ばれる面々がゲストとして参加。彼らの個性を活かしつつ、ソランジュ独自の世界観を表現した、クールな作品に仕上がっている。

 先行シングル「クレーン・イン・ザ・スカイ」は、ソランジュのファルセットが光る、浮遊感漂う美しいナンバー。絶景の元、妖艶に揺れるソランジュに見入ってしまうミュージック・ビデオも、完成度高い。続いてリリースされた、「ドント・タッチ・マイ・ヘアー」は、髪質にコンプレックスを感じていることをテーマに、価値観やプライド維持を訴える、奥深いメッセージ・ソングになっている。黒人女性らしさをアプローチしたという意味では、姉・ビヨンセの新作『レモネード』に通ずるものがある。

 ただ、『レモネード』と明らかに違うのは、本作に収録されたナンバーには、ポップ・シーンに媚びた、いわゆる「売れ線」を狙ったタイトルは一切ないということ。デジタル音を起用した、打ち込み系のサウンドがヒットしている傾向にある、昨今のヒットチャートは一切無視して、生楽器の演奏や歌に重点を置き、レトロな音作りに特化したのが、吉と出たようだ。インタールドを上手く起用した、アルバム・トータルで素晴らしい作品に仕上がっている『ア・シート・アット・ザ・テーブル』。姉妹共にNo.1デビューを果たした快挙も、評価したい。

Text:本家一成

◎リリース情報
『ア・シート・アット・ザ・テーブル』
ソランジュ
2016/9/30 RELEASE
https://goo.gl/KPfQx2

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