2016/06/08
ケヴィン、ジョー、そしてニックの3兄弟で結成された、2000年代を代表するアイドル・グループ、ジョナス・ブラザーズの三男、ニック・ジョナス。グループ解散の2013年からは、ニックはソロ・プロジェクトを着実に進行させ、翌2014年には、実質上のソロ・デビュー作『ニック・ジョナス』をリリース、米アルバム・チャートで6位にデビューし、大躍進を遂げた。
本作からは、2ndシングル「ジェラス」が、2015年の米ビルボード・ソング・チャート最高位7位をマークし、全英(UK)チャートでは2位まで上昇するなど、世界的大ヒットを記録した。その勢いに乗って、2年ぶりとなる新作『ラスト・イヤー・ワズ・コンプリケーティッド』を、2016年6月10日にリリースする。本作からは、1stシングルとしてリリースした、トーヴ・ローとのデュエット曲「クロース」が、米ソング・チャートで15位まで上昇中、そして、2ndシングルとして「チェーンソー」がカットされたばかりだ。
アルバムのプロデュースは、前作からの大ヒット曲「チェインズ」を手掛けた、ジェイソン・エビガンや、ニックとのウワサも浮上した、セレーナ・ゴメスの大ヒット曲「グッド・フォー・ユー」をプロデュースしたサー・ノーラン、おなじみマックス・マーティンやシェルバックといった人気プロデューサーを中心に、ニック自身も全曲制作に携わっている。ゲストには、トーヴ・ローの他に、人気ラッパー、タイ・ダラー・サインとビッグ・ショーンも参加している。
本作のテーマは、元恋人のオリヴィア・カルポとの破局、つまり「失恋モノ」が中心になった内容。ニックの甘くも切ないヴォーカル・ワークにはピッタリで、お得意のファルセットが、歌詞の世界観をうまく表現している。既にリリースされた「クロース」、「チェーンソー」のような、正統派のポップ・ソングもあれば、流行のトロピカル系ダンスチューン「シャンペイン・プロブレムス」や、男気溢れるヒップホップ・トラック「ベーコン」、「グッド・ガールズ」もあり、幅広いジャンルを見事、自分流に歌いこなしている。
前作『ニック・ジョナス』も素晴らしかったが、本作『ラスト・イヤー・ワズ・コンプリケーティッド』は、さらにニックのアーティスト性が高まった内容に仕上がっている。今年は、次男ジョーが結成した4人組バンド、DNCEが「ケーキ・バイ・ザ・オーシャン」でブレイク中だが、もしかすると、それに刺激を受けて、素晴らしい内容のアルバムが完成したのかもしれない。
Text: 本家 一成
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